ペールの一生
ペール・ギュントの祖父と父親は、先祖が貴族だったのにもかかわらず、金遣いが荒かったため、あっという間に没落してしまった。
父親は酒を飲んで暴力を振るい、母親にやつあたりをしてとうとう、家を飛び出した。
そんなペールの野望は、皇帝になって楽をすることであった。
「おっかさん、おっかさん。俺がよう、皇帝になったらよ、病気も治るぜ」
母親はペールがかわいかったので、何も言わなかった。
あるとき、ペールは友達のイングリッドの結婚式があると聞いて、飛び入り参加した。
しかし誰もペールを呼んでおらず、かかわりたくないので白い目で彼を見ていた。
ペールはありったけの酒をがぶ飲みすると、
「てやんでえ、俺様がそんなにうざってえかよ。あっそ、べつにいいがね!」
テーブルをひっくり返したり大騒ぎ。
最近一目惚れしたソルヴェイグにちょっかいを出し、俺と踊れと強要したが、
「乱暴だからね、あなたは、嫌いよ」
つんとおすまし。
無視されたと怒ったペールは、やけくそになり、イングリッドをかっさらって森の中に逃げ込んだ。
「ペール、あたしホントはね、あの金持ちのどら息子、好きじゃなかったんだ。だってペールのほうが、顔いいし、かっこいいもんね」
「だろう、だろう、俺様のほうがお前にふさわしいぜ」
ガハハと大笑い。
ペールのたくましさにイングリッドはどきどき。
ところが、森の中に魔王の娘がさまよっているのを見て、
「ここは彼女に取り入って、魔王の座をいただいてしまおう」
イングリッドをあっさり捨てると、魔王の娘に近づいた。
怒ったイングリッド、
「なんなのよ、おぼえてらっしゃい。あんたを村には入れないから!」
魔王は魔王で、娘がやっと嫁に行くかと大喜び。
ところが配下のトロールはペールが気に入らない。
「魔王様、コイツはキリスト信者だぜ」
トロールに城を追われて逃げ出すペール。
逃げた先は、アラビアの砂漠地帯、灼熱地獄。
そこでペールは絶世の美女、アニトラと出会う。
ペールは拾った盗賊の着物を着て貴族に成りすまして、首領に近づいた。
「ペールといったか、おぬし、気に入ったよ」
首領は酒を勧める。
アニトラはペールを新婚旅行に連れて行けとだまし、根こそぎ財産を盗んで一文無しにしてしまった。
「ああ、そんな」
母親のオーゼも死んで、ペールは身よりなし、金もなしで、結果、山に小屋を建ててすむことにする。
すると、煙突から煙が立ち昇っていた。
中をのぞくと、ソルヴェイグが暖炉に火をくべてペールの帰りを待っていたのだった。
「俺には、お前しかいなかったんだよな。今までごめん」
ソルヴェイグはペールに膝枕をしてやり、歌を歌う。
ペールの死に顔は、安らかであった。
ってことで、ご紹介。
トロールに襲われて逃げ出す臆病者。
北欧系って、こういうのばかりな気がするよ。
「サガ」のエイナルは、ずるい感じだし、フラヴンケルってゴジはいじわるだし。
簡単に殺したり死んだりしすぎ。 汗