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十二:まおうさま、出迎える。

 家に帰って来たジャンは家人達への挨拶もそこそこに女の子の部屋へ向かった。

途中で姉付きのメイドであるライハイマーに会ったので、自分が居ない間に女の子がどのような事をしていたかについて軽く会話をした後に軽い足取りで廊下を歩いて行った。


 女の子に大勢の人間を見せるためにハイトーンメモリージュ、映像と音を同時に記録出来るメモリージュを国家中枢から預かったためだ。

預かった映像は市井の様子や軍事訓練映像、国を上げての祭りや劇など一貫性が無い。女の子がどのような物を好むか解らなかったし、知識を与えて損は無いと言う判断の元だ。


「リツァ、入るぞ」


 そう言ってノックもせずにジャンは勢いよく扉を開けた。

元々気配に敏くジャンに至ってはレイラインが繋がっているため女の子はジャンが屋敷に到着した時から此方に向かっているのは理解していた。

そのため「おかえり」と云うように扉の前で待機していた女の子は、勢いよく頭をぶつけた。


「すっ、すまん。大丈夫か? 」

「うー」


 勿論扉が開くのは理解していたが、ぶつかってくると言う経験が無かった女の子は初めての事に驚き、ぷるぷると頭を振って声を上げた。

途端頭の周りに淡い光が舞い、うっすらと赤くなったおでこを治癒していった。


「あー」


 光が舞い落ちたあと、もう一度ジャンに向かって女の子は声を上げた。


お帰り。お帰り。遊ぶ? お歌! 


 女の子が姉に歌を習っていたのは先に出会ったライハイマーから聞いていたので、ぽんぽんと頭を撫でながら優しい目をして女の子を抱き上げた。


「帰って来た時は『おかえり』と云うんだ。お か え り。云ってごらん? 」


喋る。喋る。繰り返す。音。


 簡単な単語を選んでレイラインに乗せながら、ジャンは日常生活の単語を女の子に仕込んでいった。


「う う あ い」

「お か え り、だ。凄いじゃないか、『い』の音が増えたぞ! 」

 

 結局お帰りと云わせる事は出来なかったが、その後も色々とあってシークウェス家ではその日、女の子の語録が増えた事による御目出たパーティとしてディナーが若干豪華になった。

そして女の子は音の出し方を覚えるとご飯が多くなると云う誤った認識をする羽目になるのはほんの少し後の話。



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