表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

プロローグ

 焚き火を囲む五つの人影。

 一人は鍛え上げられた筋肉を覆う鎧の修理をしているの大男。

 一人は小柄な身体を包むようにロープを身につけている少女。

 一人は人当たりの良い笑顔を浮かべ、火の番をしている少年。

 一人は少し離れた距離で大剣の手入れをしている青年。

 最後に月夜に輝く白髪を風に靡かせている女性。

 年齢も種族も、そして目的も違うままに旅路を共にする五人。


「いよいよですね」


 少年がポツリと呟く。

 誰かに問いかけたものではなかったが、皆が彼の方を見る。


「まさか本当に魔王退治をする羽目になるなんてね」


 苦笑する少女に女性はうっすらと微笑む。


「リースのおかげ」

「まあ腐れ縁だからね。ムエンの面倒なんてこーんな小さい頃からみてきたんだから」


 小さい体を大きく使って茶目っ気たっぷりにウィンクする。


「とっとと倒して自分の人生を楽しまないと」

「うん‥‥‥」

「まったく勇者とか勝手に決めた挙句、世界を救えだなんて酷い話だぜ」


 大男が吐き捨てる。

 リースと少年も頷く。


「教会に属する僕が言うのもなんですが、いくらなんでも無茶苦茶ですよね」

「サセルみたいに良い‥‥‥良い?」

「そこで悩まないでくださいよ」

「ふふっ、冗談よ。サセルみたいに良い人もいるのだけどね。ほとんどは女神様の予言が第一って感じ」


 サセルは頭を掻いて小さく頷く。


「俺は昔っから聖職者って奴が気に食わねえ。だが、坊主は気に入っているぜ。根性があるからな!」

「アンドレさんはそればっかりですよねー」

「馬鹿野郎! それが一番大事なんだよ!」


 はいはいとサセルが適当に肯定するとそれで満足したのかアンドレは鼻を鳴らし、ガハハと笑う。

 そんな二人をムエンとリースは優しく見守る。


「縁って話ならアンタと一緒だなんて夢にも思わなかったわ」

「俺もだよ」


 大剣の柄を磨きながら青年は相槌を打つ。

 目線は合わないのか合わさないのか。

 リースは肩をすくめる。


「敵というか商売敵のようなものでしたからね」

「俺は未だに夢に見るぜ。獲物を目の前で横取りされたんだからな」


 アンドレの言葉に青年は負い目があるのか手が止める。


「あれは‥‥‥悪かったと思ってる」

「ふん、許してやるよ」


 あっさりと許され、拍子抜けする青年を横目にサセルとリースが思い出話に花を咲かせる。


「あの頃のグレンは剥き出しの剣って感じで見てられなかったわ」

「むっ」

「余裕がない周りが見えない誰も信じない」

「くっ」

「俺は一人だ復讐者だとか色々ほざいていたよな」

「やめてくれ……」


 白旗をあげる青年ーーグレン。

 故郷を滅ぼした四天王が一人、鮮血のエルガーを追い続けていた剣士。

 ムエン達一行とは幾度となく衝突した。

 仇であるエルガーとの死闘の際、手を組み、今に至る。


「ムエンは最初から仲間に誘っていたのにアンタって奴は」

「‥‥‥俺の目的はエルガーだけだ。魔王退治とかどうでも良かったんだよ」

「今は?」


 過去形に気づいたリースはニヤニヤしながら聞く。

 グレンはバツが悪そうに視線を逸らし、


「お前らだけでは心配だからな。手を貸してやってもーー」

「今更照れ隠しとかないわ」

「‥‥‥まあ、盾ぐらいにはなってやるよ」


 明らかに本心を隠した言葉が静寂の中響く。

 視線を合わせないグレンとは対照的に四人は満足げに微笑む。


「グレン」


 ムエンがグレンへと身体を向け、名を呼ぶ。


「ありがとう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ