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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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大事なもののために4

「撮影に切り替えてっと……」


 配信は切るけれど撮影はする。

 視聴者も増えてきてもうすぐ投げ銭解禁の条件を満たす。


 もしかしたらフロッグマンのゲート攻略動画によって条件に到達する可能性もある。

 このままイリーシャにしっかりと撮影してもらう。


「盾を一度貸して」


 ゲートに入っていくが警戒は最大限に保たねばならない。

 モンスターはゲート付近には現れないというのは一般的に言われることだが、ブレイクを起こしたゲートではそんなこと関係なくなる。


 ゲートを通ったらすぐにモンスターがいる可能性もある。

 仮にブレイクを起こしていなかったとしても、まずはゲートの偵察から行うのは基本中の基本なのである。


 この中で最初に入って偵察を行える人なんてマサキしかいない。

 ダイチから盾を受け取ったマサキはゆっくりとゲートの中に入っていく。


「……まあしょうがないか」


 入ってすぐ足が泥に濡れて圭は顔をしかめる。

 ゲートの中は沼地のようになっていた。


 フロッグマンがどんなところに住んでいるのかと考えてみれば納得の場所である。


「モンスターは……いないな」


 ゲート周りを確認する。

 ひとまずフロッグマンの姿は見えない。


 マサキはみんなのことをゲートの中に呼び込む。


「ジメジメ……」


 イリーシャは軽くため息をつく。

 ゲートの中の沼地は雨が降っていないけれども、湿度が高くて空気がまとわりついてくるような感じがある。


 あまり気持ちいい空気ではない。

 地面もぬかるんでいて軽く足が沈み込む。


 場所によっては水分が多くて、足がとられてしまうかもしれない。

 

「いいか、狙うはボスモンスターだ。ともかくゲートを閉じるんだ」


 ブレイクを起こしていようともゲートの基本は変わらない。

 ボスを倒せばゲートが閉じる。


 ひとまずゲートを閉じれば、それ以上フロッグマンがゲートから出てくることはない。

 フロッグマンレベルのモンスターなら、ゲートが閉じてしまうと慌てふためいて逃げていくだろう。


 一晩くらい旅館も持ち堪えられるはずである。


「ゲートはモンスターの領域だ。アース、油断するなよ」


「分かりました!」


「まあそんなに難しく考えることもない。同じように盾で防御してくれればいい」


 ゲートの中だからとモンスターが急激に強くなることなどない。

 ダイチの動きは悪くないので同じようにしてくれれば問題はないだろう。


「ボスは……あそこだろうな」


 木も生えておらず見通しがいい。

 遠くの方に岩を積み重ねたような山が見える。


 ボスがいるならそこだろうとマサキは思った。

 盾をダイチに返して、岩山に向かって進む。


「なっ!?」


「フロッグマンだ、みんな構えろ!」


 少し盛り上がったように見える泥の塊からフロッグマンが飛び出してきた。


「くっ!」


「へぇ」


 ダイチは盾を構えて一歩大きく前に出た。

 フロッグマンの視線は前に出てきたダイチの方に向く。


 みんなを守ろうという意識なのかもしれない。

 無意識だろうが、タンクとして見ても良い動きにマサキは少し驚いた。


 フロッグマンの舌が盾を叩きつける。

 今度は転ばないと足に力を入れ、腰を落として体全体で衝撃を受け止めた。


 盾の扱いを見ると戦いにおけるセンスも良さそうだ。


「レイレイ!」


「はい!」


 盾を叩きつける舌をマサキは鷲掴みにした。

 引き戻そうとするフロッグマンと引っ張り合いになって、舌がピンと張られる。


 レイが伸びた舌に向かってナイフを振り下ろして、スパンと切断してしまう。


「トラ!」


「ウィ」


 舌を斬られて悶絶するフロッグマンにイリーシャは氷の槍を放つ。

 大きく開け放たれた口に氷の槍が突き刺さってフロッグマンはそのまま絶命する。


「今のいい感じだったぞ」


「ほ、本当ですか……? 必死で……」


 ゲートに入るまでの二回の戦いでは手が震えていたダイチであるが、三回目ともなると慣れてきたのか緊張はしても手は震えていない。

 フロッグマンも見た目的にも能力的にも脅威的なモンスターではない。


 マサキたちが小慣れたように倒すので、恐怖も少し薄れたようだった。


「簡単だなんて言わないけど……やってみると意外とできるもんだろ?」


「そう、ですね」


 ダイチは盾で攻撃を受け止めることも難しいかもしれないと思っていた。

 けれどもいざ戦ってみれば盾で受け止めるぐらいはできるものだった。


 自信がついたというほどではなく、まだそれなりにフロッグマンに対して恐怖はある。

 攻撃しろなんて言われたら、また手が震えるだろう。


 しかし攻撃を防ぐだけなら何とかやっていけそうな感じがある。


「それでいいんだ。自信過剰になりすぎず、だからといって恐怖に飲まれない。ちょうどいい感じだよ」


 圭たちは比較的容易くフロッグマンを相手にしているように見えるだろう。

 ダイチ自身も力で押し負けているとは思っていない。


 こうなると調子に乗るような人もいる。

 何だ大したことないじゃんとモンスターを舐めてかかって死んでいってしまう。


 ダイチは今のところそんな心配がない。

 ケアするところが一つ減ってありがたい限りである。

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ちょこちょこ主人公の名前が「圭」になるのはなぜ?
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