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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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大事なもののために2

「一応武器も渡すけど……基本的にはあまり前に出ないで盾で防御を」


「……分かりました」


 多少キツめだがなんとか装備を身につけたダイチに盾と剣を渡す。

 剣を渡すかは悩んだ。


 自衛の手段ぐらいないとダイチも不安だろうと思った。

 だが素人が剣を持っても上手く扱えないどころか、危険な場合もある。


 ダイチはタンクタイプであり、体が頑丈だ。

 見たところ運動神経も悪くなさそうなので、防御に徹してもらうつもりだった。


 ここまででマサキもタンクっぽい役割を果たすことはあったので、小さめではあるけれど盾も持ってきていたのである。


「大丈夫そう?」


「……は、はい」


 やはりいざいくとなると覚悟をしていても緊張する。

 ダイチの表情は硬かった。


「あとは……これつけて」


「えっ? これって……」


「いいから」


 最後に手渡されたものにダイチは困惑する。

 しかし意味があるのだろうとそれを身につけた。


「んじゃいくぞ」


 マサキも同じようなものを身につけ、レイとイリーシャも同様だった。


「……これなんなんですか?」


 ダイチがつけさせられたものは仮面だった。

 レイは狐、イリーシャはトラ、マサキは犬、そしてダイチはパンダであった。


 なんで仮面をつけるのか分からなくて、ダイチは困惑している。


「仮面、がおー」


「そ、それは分かりますけど……」


 なんで仮面をつけるのか聞きたいのだと、仮面の中でダイチは苦笑いを浮かべる。


「配信するからだよ」


「えっ?」


「ゲートまで行く様子を今から配信する。顔映ると面倒だろう」


「な、なんでですか?」


 理由を聞いてダイチはさらに困惑する。

 レイはダイチの困惑具合を見て、当然の反応だよなと苦笑する。


 今こんな状況で配信しようとするマサキにはレイもちょっと驚いていた。


「これから俺たちは危険に飛び込む。この配信は俺たちの最後の姿になるかもしれない」


「…………それは……」


「これを見てモンスターに異常があれば後に戦う人に何かが伝わるかもしれない。モンスターの戦い方が分かれば被害は減るかもしれない」


「……変に口挟んですいません」


 深い理由があった。

 記録を残しておくことは大事である。


 圭たちが敵わなくとも、配信していれば情報が残される可能性がある。

 勇敢に戦った姿が残されるかもしれない。


 たかが配信と思ったのだけどちゃんとした意味があって、変に疑問に思った自分をダイチは恥じた。

 もちろん緊急生配信となれば多少期待して見てくれる人もいるんじゃないか、なんて思いもある。


 時間が時間なので見てくれる人は限られるだろうが、夜中で暇している人の注目を集められる可能性もある。

 ともかく配信はしてみれば何かが起こるかもしれない、とちょっとした期待があるのだった。


「ダイチ、お前は今からアースだ」


「ア、アース?」


「顔隠してんのに名前呼んだら意味ないからな。それともパンダがいいか?」


 ダイチだからアース。

 なんとも単純だけど、今からオシャレな名前を考えている暇はない。


 レイなんて実はひねりもなく、名前そのままである。


「アースでいいです……」


 これでダイチも仮面と呼び名が決まった。


「ど、どうも……ええと、今日は急遽配信してます」


「がおー」


 マサキは早速配信を始める。

 自撮り棒につけたデカスマホのカメラをレイに向ける。


 レイも多少カメラに向かって話すことに慣れてきている。


「これからブレイクしたゲートを攻略します。近くに人がいる場所があって危険なので、しょうがなく私たちが頑張ります」


 [急に配信?]

 [ゲートブレイクだってさ]

 [レイレイー! トラー!]

 [なんか知らないやついない? マサ仮面チェンジ?]


 撮影しているマサキにはスマホの画面が見えている。

 深夜にも関わらずちらほらと見てくれる人はいるようだった。


 いつもマサキたちのチャンネルを見てくれている人もいたりして、思ったよりも反応は悪くない。

 当然ながらマサキたちの配信を知っている人たちは知らないパンダ仮面がいることに疑問を抱く。


「この人はちょっと今回手伝ってくれるアースさんです」


 [アース……]

 [新たなメンバーパンダ君か]

 [頑張れよ、アース]


「それじゃあゲートに向かい……えっ?」


『緊急クエスト!

 アースのゲート攻略初陣を配信せよ!

 報酬:少し防御力を上げてやろう』


「これは……」


 [どうした?]

 [なんだなんだ?]


 急にマサキたちの前に表示が現れた。


「神の試練だ」


 病院の時にも現れた、神が直接与える試練だ。

 神が何かの試練と報酬を提示してくるもので、こなせばその報酬がもらえるのである。


「お、俺? 配信って、どういう……」


 試練の中にはダイチの呼び名であるアースが出ている。

 なぜ急に自分のことが出てきたのかとダイチは困惑している。


「神様に気に入られてるのかもな」


 そもそもダイチに会いにきたのは、神様のお気に入りリストに載っていたからである。

 どうやら神様もダイチの覚醒者としての活動を応援したいらしい。


 ついでにゲートの攻略を配信しろということは、マサキがゲートの中を映せることを知っているようだ。

 神様も過去の配信動画を見ているのかもしれない。

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