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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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スカウト1

 持つべきものは友。

 しかもお金持ちの友達ならなおよし。


 ケンゴとの関係が改善された。

 カズキを連れてきたり、レイやイリーシャを紹介する都合上覚醒者としてやっていることもケンゴには話した。


 するとケンゴはマサキのことを支援すると申し出てくれた。


「サラにはお前が覚醒者としてやってることは言ってない。お前が死んだら彼女は悲しむだろう。そしてお前が死んだらきっと俺が責められる。だから死なないように……お前のこと少しは支援してやるよ。俺もまたこうして会えた友達は失いたくないからな」


 カスミを転院させた後二人で飲んだ時にマサキはそう言われた。

 昔からマサキもケンゴもサラには弱かった。


 ある程度の本音もあるのだろうし、サラを盾にすればマサキが断れないことも知っているのだ。

 回帰前のマサキなら例えわだかまりが解消したとしても断っていたかもしれない。


 しかし今のマサキは使えるものは使う。

 金で出来ないことも多いが、金で解消できることも多い。


 金があれば楽になることも、金がなくては出来ないこともある。

 強力なスポンサーになってくれるというのなら断ることはない。


 そしてマサキはケンゴにあるお願いをしていた。


「温泉〜」


「イリーシャちゃんは温泉好きなの?」


「うん、好き」


 マサキたちは今とある温泉街を訪れていた。

 人間とはたくましいものである。


 ゲートが出現し、モンスターが溢れて世界中が混乱に陥り、観光なんてしている場合じゃなくなった。

 けれども覚醒者が現れて、表面上でも平穏が戻ると観光なんかもまた回復の傾向を見せ始めた。


 当然立ち直れなかったものやモンスターに荒らされてしまったところもあるが、温泉は覚醒者も療養で使うということもあって意外と立ち直りが早いところも多かった。

 マサキたちが訪れた温泉街も三割ほど立ち直れなかったものの、七割ほどは頑張っていて、結構人も賑わっている。


「お風呂好き」


「イリーシャ、結構長風呂だもんな」


 マサキなんかはシャワーだけで済ませてもいいのだけど、イリーシャはお風呂にちゃんと入りたい派だった。

 だから毎日自分で浴槽洗ってお風呂を入れている。


 水道代が、なんてケチくさいことは言わない。

 別に入れるならマサキも文句はないのでお風呂に入っている。


「目的忘れるなよ?」


「もちろんです!」


「……なんだっけ?」


「イリーシャ?」


「マサキが知ってれば別にいいから」


 悪びれもしない顔でイリーシャは答える。


「今回の目的はスカウトだ。覚醒者を引き入れにきたんだよ」


 日頃からもう一人ぐらい欲しいなとマサキは考えていた。

 三人でも上手くやれているが、もう一人か二人ぐらいいた方が安定するし戦略の幅も広がる。


 レイは接近ダメージディーラーで、イリーシャは遠距離ダメージディーラーである。

 マサキは万能型でバランスは悪くないものの、どれかの役割の人がいればマサキも自分の役割を決めて動ける。


 ついでにマサキには動画配信の時に撮影するなんてタスクもあった。

 そこでマサキはスカウトできそうな人を探すため、ケンゴに人探しをお願いしていた。


 もちろん探してもらっていたのはただの人ではない。

 神様からもらったリストにあった名前の人を探してもらっていたのだ。


 マサキが人を探そうにもどうしても限界はある。

 こうしたことはやはりお金の力で解決するに限る。


 ケンゴにお願いしてみたところ何人かリストにあった人が見つかった。

 ある人は覚醒者として活動していたり、またある人はただの会社員だったりした。


 神様のリストだけじゃどんな人なのか、どんな能力を持つのか分からないのでなかなか人が見つかっても難しいところはあった。

 覚醒者としてもう能力が判明している人に限定して、さらに調査をしてもらった。


 その中で一人、マサキはスカウトしたい人を見つけたのである。


黒瀬大地クロセダイチ。それが今回スカウトしたい相手だ」


「えっと……泊まる旅館の人だっけ?」


「その通り。もうちょっとで着くはずなんだけどな」


 うっすらと温泉の臭いがする道を歩いていくと一軒の旅館が見えてきた。

 黒瀬旅館と古めかしい看板には書いてあって、それだけでも歴史を感じられる。


「雰囲気が良いところですね!」


 落ち着いた温泉宿という感じにレイとイリーシャも目を輝かせている。


「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でしょうか?」


 旅館に入ると和服姿の女将さんが出迎えてくれた。


「三名で予約しているウサミです」


「ああ、ウサミ様。お待ちしておりました」


 明らかに怪しい三人組だろう。

 せめてマサキとレイだけなら恋人同士の旅行にも見えるだろうけど、二人よりも明らかに歳が下で外国人のイリーシャは浮いて見えるはず。


 しかし女将さんは全くなんの疑問も表情に出すことなく笑顔で受け入れてくれた。

 旅館の中も綺麗にしてあり、細やかな気遣いが随所にうかがえる。


 スカウト云々を抜きにしてもかなり良い宿のようである。


「こちらがお部屋となります。ご夕食は六時。お風呂はいつでも入れます。何かご用がありましたらあちらの内線をお使いください」


「ありがとうございます」


「それではごゆっくりと」


 部屋に案内された。

 畳敷の部屋は非常に雰囲気が良い。

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