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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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病院を守れ2

「特殊重症者の病棟……五階の508号室がキサキちゃんの病室よ。特殊重病者の病棟だものね……来てほしくない気持ちもよく分かるわ」


 おばちゃんはため息をつく。

 特殊重病者の病棟とは一般の病気ではなく、魔力というものが現れてから新たに出てきた病気にかかった人が入院している病棟であった。


 重病者とはいうものの魔力関連の病気で入院していれば特殊重病者の病棟に入院するので実際どの程度の病気なのかは分からない。

 ちなみに特殊重症者というのはちょっと古い呼び方で、今は魔力症病棟というのが普通である。


「508ですね。ありがとうございます」


「ただ勝手に行くのもダメよ?」


「分かってますよ。……うっ!」


 急に耳鳴りがした。

 耳の近くで大音量の不快な音を流されているような激しい耳鳴りきマサキは顔をしかめた。


「二人とも急にどうしたの? 大丈夫かしら?」


 おばちゃんが心配そうな顔をする。

 見るとイリーシャも同じように顔をしかめている。


「これは……おばちゃん、病室には戻らないで」


「どうして? それよりで見てもらった方が……」


「俺たちは大丈夫だから。いいから……少しの間ここにいて。きっとすぐに分かるはずだから」


「ええ……分かったわ」


 マサキに肩を掴まれておばちゃんは小さく何度も頷いた。


「イリーシャ、車に行くぞ」


「ん」


「ああ、そんなに走っちゃ……」


 マサキとイリーシャは走って駐車場に止めてある車に向かった。

 古い中古車のトランクを開けるとそこにはマサキたちの装備が入っている。


「レイにも連絡しておかなきゃな」


 何も言わずにいたらまたきっと怒る。

 レイにゲートが発生したことと来られるならきてほしいこと旨を送信してマサキは急いで装備を身につける。


「病院内にゲートが発生しました。落ち着いて病院の外に避難をお願いします。繰り返します……」


 サイレンが鳴って病院内にアラートが発せられる。

 先ほどの耳鳴りはゲート発生の予兆であるとマサキは分かっていた。


 まさかこのようなタイミングでゲートが発生するだなんて思いもしなかったけれど、万が一に備えて戦うための装備は持ってきていた。


「目指すは魔力症病棟の五階だ」


「りょーかい」


「ついでに、ほれ」


「配信、するの?」


「ああ、中の様子が分かれば外からも救援が出しやすい」


 マサキはイリーシャに虎の仮面を渡した。

 イリーシャは仮面を見てマサキが配信するつもりなのだとすぐに察した。


 外に出たゲートの生配信はみんなが食いつく。

 ただそれだけでなく病院内の様子が分かれば助けに来た覚醒者が向かってきやすいという利点がある。


 カズキの妹は覚醒者に助けてもらえずに死んだ。

 つまりマサキたちが助けに行っても覚醒者がおらずモンスターが多い可能性が高いのだ。


 助けるべき入院患者がいて、モンスターもいる。

 配信を見てるとは限らないけれど見ていて、誰かが連絡なんかしてくれれば助けに来てくれる可能性は上がる。


「……私につけるの?」


「ああ、今回はその方がいい」


 いつもは揺れを防止する自撮り棒みたいなもので撮影しているが、今回はイリーシャの胸にデカスマホを装着する。

 魔法使いのイリーシャは後ろ、接近戦闘タイプのマサキは前に出て戦う。


 その都合でマサキがスマホを持つよりもイリーシャが持って撮影した方がいい。

 今回は本気の戦いになる可能性もあるので手持ちはやめて胸につけられるハーネスを利用することにした。


「よし、行くぞ」


 マサキは犬のような仮面を着けて配信も開始する。


 [なにこれ? 緊急生配信?]

 [このチャンネルあれだろ? ゲートの中の様子を撮影してるとかで話題になってるとこ]


 イリーシャの胸にスマホをつけているので画面は見えていないが、これまで公開してきた動画によって注目している人も少なくなくてすでに見始めている人がいた。


「がおー」


 イリーシャは仮面を外してスマホのカメラの前でチラチラとさせる。


 [映ってるの野朗のケツだと思ったら撮ってるのトラちゃんなのか]

 [レイレイ出せ]

 [声だけでも可愛い]

 [この感じ……体にカメラつけてるのかな?]


「たった今病院にゲートが発生しました! 俺たちは患者の救出に向かいたいと思います!」


 マサキは走りながら生配信の目的を軽く説明する。


 [ゲート!?]

 [まじかキタコレ]

 [まだなんの警報も出てないぞ?]

 [トラを映せ、バカタレ]

 [それは確かにwwww レイレイもいないし]


 どこから聞きつけるのか配信の視聴者どんどんと増えていた。

 病院の構造はある程度頭に入れてある。


 こうした時にエレベーターは使えないので非常階段を目指した。


「あなたたちは何者ですか?」


 入院患者たちが階段を降りて避難を開始している。

 医者だろう白衣の人がマサキたちを見つけて警戒心をあらわにする。


「覚醒者です。患者の避難を手伝おうと思いまして」


「覚醒者……なぜそんな仮面を?」


「ちょっと事情がありまして……」


 [疑われてるwwwwww]

 [そりゃ変なマスクしてたら当然]

 [おい、トラを出せ]

 [周りの感じは本物っぽいな]


 流石に仮面は疑わしすぎるのか覚醒者だと言ってもすんなり受け入れてくれない。

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