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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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人類の敵1

「よし、これで二回目の生配信も終わり!」


 ゲートから出てきてマサキは体を伸ばす。

 たった今ゲート攻略の生配信をやってきたところだ。


 二回目の生配信も非常に好評。

 突発的に始めたにも関わらず、視聴者はかなり多かった。


 最初の生配信の話が広まったせいなのか、二回目の配信には海外からのアクセスも多くて色々な言葉のコメントも来ていた。

 配信の秘密を話してくれたら投げ銭するという人もいたが、まだまだ何かを話すつもりはない。


「それにしてもだいぶ遠いところまで来たな」


 配信するための電波装置の設置や調整のために、前回に引き続いてサポート部隊も来ている。

 なぜなのかケンゴも一緒だ。


 今回マサキが選んだゲートは、日帰りでも行けるような距離ではないほどに遠い場所にあった。

 何でこんなところなのか、とケンゴは疑問だった。


「バレないようにな」


 生配信は難しい。

 撮影したものを編集して流すなら都合の悪いものは消せるけれど、生配信だとどうしても隠せないものはある。


 ゲートの中の映像で場所を特定されるリスクは少ないが、出ているモンスターなんかからあのゲートだとバレる可能性は否定できない。

 できるだけバレにくいようにと考えて、さらにバレてもマサキたちには辿り着きにくいように遠いところを選んだ。


 ただ生配信して、攻略したいなら近場がいいけれど、身バレ対策に色々なところのゲートに遠征するつもりだった。


「まあ、お前の判断に文句をつけるつもりはないけどな」


「……なんか雰囲気暗いな? 何かあったのか?」


 少しケンゴの態度がおかしいとマサキは気づいた。

 これまで散々お世話になったのだから悩みがあるなら聞くぐらいはする。


「……お前になら話してもいいかもな」


 ケンゴは少し悩んだ素ぶりを見せたが、軽くはため息をついて困ったように笑った。


「サラが元気になったからな」


「サラが元気になって……なにか問題があるのか?」


 マサキは不思議そうな顔をする。

 ケンゴもサラが元気になることは喜んでいた。


 そのはずなのに今の口ぶりでは、元気になってはいけないような何かがあるみたいに聞こえた。


「問題、あるんだよ」


「何が問題なんだ?」


 そのまま死ねばよかったとでも言うのか、とマサキは眉をひそめる。


「家の問題……要するに家督争いってやつだよ」


 ケンゴは深いため息をつく。


「家督争いだって? そんな話、初めて聞いたぞ」


「初めて話したからな」


 家督争いなんて、マサキも初耳の話だ。

 驚いた顔をするマサキに、ケンゴは小さく首を振る。


「家督争いが……何なんだ?」


「ふっ、大きな家には大きな家の苦労がある。サラは見ての通り……外国の血が入ってる」


「ああ、そうだな」


「俺と同い年で、俺と兄弟だけど、俺とサラは双子ではない」


「…………」


 マサキにも少しだけ話が見えてきた。


「サラは俺と腹違いの兄妹。父親が同じで、母親が違うってわけだ。特にサラの母親は親父と婚姻関係にはない、婚外子ってやつなんだ」


「まあ……実際そんな話したことないけど…………何となくはな、分かってたよ」


 マサキも子供ではない。

 よく考えてみればサラとケンゴの関係が普通のものではないことに気づく。


 はっきりと話題に出したことはなかったが、こうして話に出てくるとうっすらとは理解していたのだ。


「問題はここからだ。俺には兄貴がいる」


「それは聞いたことがあるな」


「上に二人……悪い兄貴じゃないんだけど、俺たちが背負ってるものはあまりにもデカい」


 山神グループはかなり大きな企業である。

 その価値も非常に大きい。


「兄弟で誰が山神グループを受け継ぐか……これが問題なんだ」


「サラも後継者に含まれるってことなのか?」


「ああ、そうなんだ。親父にも情があるのか、現段階で山神グループの五パーセントの株式が与えられてる。俺たち兄弟はそれぞれ七パーセント、親父は全体の六割を持ってる」


 少し難しい話になってきたなとマサキは思った。


「細かな説明は省くと……サラの五パーセントをみんな欲しがってるんだ。親父が死んだ後、株式の半分を引っ張れれば山神グループのトップになれる。五パーセントはデカいんだ」


 マサキの考えを察したように、ケンゴはざっくりとした説明で理解しやすいようにしてくれた。


「これまでは死ぬと思われてたからあまり気にされてなかったんだ。だけどサラが回復することになったら五パーセントの行方はサラ次第となる。兄貴たちがどうするかな……牽制するか、取り込むか、あるいはもっと卑怯な手を使うかもしれない」


 ケンゴが険しい顔をする。

 サラは体が回復したことで兄弟間の後継者争いに巻き込まれることになってしまった。


 ケンゴが心配していたのはそのことである。


「まさか直接手を出すとは思わないけど……どうしてくるものか」


 またしても深いため息を漏らす。


「変なところに売るわけにもいかないし、俺が五パーセント受け取れば兄貴たちが黙ってない。今も親父に期待されてこうして自由にやらせてもらってるから兄貴達の目も良くないんだ」


「……なんか大変なんだな」


「なんかで済ますなよ」


「サラもお前も困ったことになったら言えよ。まあ……覚醒者なりに力はあるからな」


「暴力で解決なんかできないよ」


「やってみないと分かんないだろ」


 難しい家庭内の政治争いにマサキが介入できることなんかないのは分かっている。

 それでも腕っぷしが欲しいなら手伝えることぐらいはあるかもしれない。

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