毒にも負けず6
「これがそんな好きかよ!」
飛びつくように手を伸ばしてきたポイズントマトヘッドスケアクロウを横に飛んでかわす。
イリーシャがカズキを引きずって少しずつ離れていくのが見える。
本当ならポイズントマトヘッドスケアクロウを遠くに引き剥がすために、イリーシャたちとは反対方向に逃げたいところである。
しかしイリーシャたちと反対側に逃げてしまうと、毒エリアからの脱出が遠のく。
いざとなればマーレイも捨てていくが、今はカズキが命懸けで守ろうとしたのだから持って帰るつもりだ。
マーレイを持っていくことを考えるということは、自分の脱出を考えておかねばならないということでもある。
あまり毒エリアの境界から離れては、後々辛くなってしまう。
それにそもそもマーレイを手放しても見逃してくれるとも限らないのだから、うまく逃げる向きを調整してイリーシャと離れつつ毒エリアの境界を目指す。
「ウサミさん!」
「ササヤマさん、ウエノさん、こいつはマーレイを狙ってます!」
ようやくササヤマたちが駆けつける。
マサキはアタッシュケースをササヤマに放り投げる。
「交代で持って逃げましょう!」
人が増えてもポイズントマトヘッドスケアクロウを倒すのは難しい。
ただ倒すことはなく、逃げればいい。
マーレイの存在は厄介だが、逆に利用することもできる。
ポイズントマトヘッドスケアクロウがマーレイを追ってくるのなら、マーレイを囮にしてしまえばいいのだ。
「なっ……!」
マサキを執拗に追いかけていたポイズントマトヘッドスケアクロウがササヤマの方に向く。
「そのアタッシュケースを狙っているので、パスしながら移動しましょう!」
一人でマーレイを持ったまま逃げるのは厳しいが、三人で危なくなりそうならマーレイを回しながら逃げればリスクは大きく下げられる。
「こっちの方に逃げましょう!」
まだ全力で移動すればイリーシャたちに追いついてしまう。
違う方向に向かいつつ逃げる。
「ウエノ……!」
ポイズントマトヘッドスケアクロウが迫ってきて、ササヤマはウエノにアタッシュケースを投げる。
中のマーレイは少し心配であるが、今はそんなことを細かく気にしている場合ではない。
「えっと……ウサミさん!」
アタッシュケースをそれぞれパスしながら移動していく。
投げにくいし、キャッチしにくいアタッシュケースであるものの、覚醒者の高い身体能力なら大きな問題はなかった。
「大丈夫か!」
「もう少しです! 走り抜けましょう!」
地面の色が変わる境目が見えた。
そしてその向こうにはウヤマたちの姿がある。
カズキの姿はないけれども、イリーシャはいる。
「ここからなら……!」
マサキの後ろにポイズントマトヘッドスケアクロウが迫る。
マサキは勢いをつけてアタッシュケースを投げる。
その先はウヤマだった。
「なっ、うおっと!?」
高く上がって飛んできたアタッシュケースをウヤマは受け取った。
「……全員戦闘準備だ!」
ウヤマたちは毒エリアの外にいる。
どうするのかと思ったが、ポイズントマトヘッドスケアクロウはそのままウヤマに向かって行った。
流石に今回いるメンバー全員でならポイズントマトヘッドスケアクロウとも戦える。
何人か多少の毒には冒されたものの、なんとかポイズントマトヘッドスケアクロウを倒すことができたのだった。




