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神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~  作者: 犬型大


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毒にも負けず4

「花一つでも毒持ちか」


 マサキは毒花粉を見てため息をついてしまう。

 毒耐性を持つカズキには毒の花粉も全く通じないのだけど、他の人はそうもいかない。


 体についた花粉から他の人に毒が移ってしまうこともあるので、手袋なんかを着けて防御しているのだ。

 採取だって引っこ抜いて終わり、ではない。


 マーレイは繊細だ。

 引っこ抜いてしまうと効果が落ちてしまう。


 そのために慎重に根っこから掘り出す必要がある。


「これの土をブラシで払ってくれるかい? 多分もう毒は出ないから」


 カズキは丁寧にマーレイを土から取り出すと、花のところを軽く叩く。

 すると残っていた毒花粉が放出される。


 マサキはマーレイと柔らかなブラシを受け取って、マーレイの根っこについた土を払う。


「これに入れてくれるかな?」


 カズキは手に持っていた小さめのアタッシュケースを地面に置いて開く。

 そこにそっとマーレイを寝かせるように置く。


 カズキが掘り出して、マサキが土を払う。

 そうしてマーレイを採取していく。


 チラリと視線を遠くに向けると、ササヤマたちが必死にポイズントマトヘッドスケアクロウを引きつけてくれている。

 今のところはまだ大丈夫そうだけど、何があるか分からない。


 作業はできるだけ早めにした方が良さそうだ。


「どれぐらい必要なんですか?」


「実験して……実用化することを考えると四つほどあれば足りるかと。ただ余裕を持って六つ……報酬としてお金が欲しいならそれ以上あれば、というところですね」


「あと一つ……」


 すでに三つを採取している。

 ひとまず最低限必要な分だけは確保したい。


「とりあえず六つを目指しましょうか」


 できるなら薬を作るのに余裕は欲しい。

 ササヤマたちには申し訳ないけど、もう少し頑張ってもらう。


 追加報酬も欲しいが、欲張るとロクなことにならない。


「い、急ぎますね!」


 ボスのポイズントマトヘッドスケアクロウのナワバリのせいか、他のモンスターは寄ってきていない。


「これで六本!」


 マーレイの必要な数は集まった。

 マサキはササヤマたちの様子をうかがう。


「撤退しましょうか」


 ササヤマたちもだいぶ余裕がなさそうだった。

 これ以上採取に時間を割くのは厳しそうだ。


 お金よりも安全とみんなの治療の方が大事である。

 マーレイはまだ生えているものの、今回はここで撤退することにした。


「イリーシャ、合図を」


「ん」


 採取を終えて撤退することをササヤマたちに伝える。

 イリーシャが魔法で氷を打ち上げて、パッと爆発して白い氷が散る。


「見たな」


 ササヤマたちがイリーシャの魔法を確認したことを、マサキはしっかりと見ていた。

 そのままもう少しササヤマたちにはポイズントマトヘッドスケアクロウを引きつけてもらい、その間にマサキたちは毒エリアから脱出する。


「大丈夫ですね?」


「はい!」


 アタッシュケースはカズキをしっかりと閉じて、抱きかかえるようにして持つ。

 あとは無事に帰ればミッションコンプリートとなる。


「じゃあ行きましょう」


 イリーシャを前に、間にカズキを挟んで、後ろはマサキが担当する。

 そのまま行けば何事もなく脱出できる、はずだった。


「ウサミさん! ボスがそっちに!」


 ササヤマとウエノは二人で上手くポイズントマトヘッドスケアクロウを引きつけていた。

 体力的にはキツくなってきていた。


 それでもマサキが合図を出して撤退を知らせてくれたので、あと少し耐えればいいと思っていた。

 たが突然ポイズントマトヘッドスケアクロウが動きを止めて、マサキたちの方に向い始めたのである。


「チッ……そう簡単にはいかないか!」


 何が原因でマサキたちの方に来たのかはわからない。

 もしかしたら、マーレイを持ち逃げしようとしていることを察知したのかもしれない。


 ササヤマとウエノがポイズントマトヘッドスケアクロウの気を引こうとしているが、全く無視している。

 意外と速度も速く、唐突な行動に距離を空けられてしまって回り込むことも難しい。


「イリーシャ、氷で壁を作るんだ!」


「りょーかい」


 マサキも流石にポイズントマトヘッドスケアクロウに勝てると思うほど自惚れていない。

 ただ少しでも時間を稼いでカズキを逃さねばならない。


 イリーシャが振り返りながら魔力を込めた杖を振る。

 マサキの後ろに身長の倍はありそうな高さの氷の壁が迫り上がる。


 Eクラスとは言いつつもすでにDクラスの力はありそうだ。


「これで少しは……チッ!」


 時間を稼げるだろう。

 そう思っていたマサキはみるみると氷の壁が紫色になっていくのを見て、思わず盛大に舌打ちしてしまった。


「マサキさん!?」


 氷の壁もさほど時間稼ぎにならない。

 そう判断したマサキは足を止めて体を反転させる。


「二人は走り抜けろ! 俺一人ならまだ逃げられる!」


 マサキには回帰前の経験がある。

 最後の最後まで生き残ったのは運もあるが、やはり逃げ足の速さだってその理由だ。


 魔法使いタイプのイリーシャと戦えないカズキがいるよりはマサキ一人でどうにか時間を稼いで、ササヤマたちが駆けつけてくれるのを待った方がいい。

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