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君を置いていく。

作者: かんずり

君がここに来てからどれくらい経つんだろう。

街で出会って、一目で君が欲しくなった。運命の出会いだと思った。

君を家に連れて帰ってその日から毎日一緒に過ごしたね。君といる時間は快適で幸せで、ずっとこの日々が続くと思っていた。


無口な君は何も言わない。時には冷たく、時に暖かく、この家で僕を待っていてくれた。この家に帰ってきたくなるように。君がここにいてくれるだけで良かったんだ。


君も僕も時を重ねて、生活スタイルが変わっていく。

今年の冬、僕の出世をきっかけに引越しが決まった時も君はそばで暖めてくれた。君の温もりは僕を癒してくれて、その日はそのままリビングで寝てしまったっけ。


少し前から様子がおかしかった。今まで従順だった君は少しずつ反抗して、言うことを効かなくなった。急に水をかけられた時は怒っているのかと驚いてしまった。どこか悪いのかと君の身体を隅々まで見たのに、僕には何も分からなくて。不甲斐ない。


最後の日、やっぱり君は何も言わない。こんなに長く過ごしてきたのに別れはあっさりだ。

業者に荷物を引き渡して部屋は空っぽだ。

君と僕だけが残る部屋は冷えきっていて、出会ったあの日と比べられないくらい居心地が悪い。

君を残して新しい場所へ移る僕を怒っているのだろうか。君にアクションを起こしてももう何も応えてくれない。


戻ってきた業者が声をかける。

「荷物の運び出しは以上ですね。……あのエアコンは本当にいいんですか?」

「はい、新しい住居に最新のがあるみたいなので。」


思いつきで書きました。


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