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あなたの隣で  作者: 淡雪
9/12

二人の時間

「結構混んでますね。あ、でもあそこ丁度空いているんで席取りに行ってきますよ」


「ありがとう!」


午前中の買い物を終え、昼食を食べながら午後の予定でも組もうかという話になり現在はフードコートに来ていた。なかなかの込み具合であったが何とか席を見つけてご飯も買うことが出来たので一休みすることになった。


「意外とすんなり座れて良かったですね」


「そうだね、こういう場所のお昼時って厳しいイメージだったから何か意外だったよ」


「僕も気になったんですけど、調べてみたら外の芝生のエリアでも飲食可能だったんですよね。テイクアウトのお店も結構出てるみたいです」


「あーなるほど。今日みたいな天気だと外の方がいいよね」


「場所も広いですし、そのまま遊べるから家族連れだとあっちのエリアが人気なのも分かります」


二人で施設の充実ぶりに感心しつつ、話は午後どうやって過ごそうかという内容に移った。


「ひーくんはどこか行きたい所ある?」


「僕は本屋にも行けましたし具体的に行きたい所は無いですね。」


「そっかー。私も買い物はとりあえず落ち着いたし。。ん?ここって映画館あったっけ?」


「どうでしたっけ?」


二人でフロアマップを確認してみると


「お、ありますね。本当に何でもあるんだなぁ」


「ねぇねぇ、特に予定なければ映画見に行かない?」


「そうですね、久しく見に行って無かったですし面白いかもしれません」


「決まり!じゃ映画館に行こう!」


変わらず楽しそうにはしゃぐ先輩に押される形で、午後の予定は映画館に向かう事になった。


それにしても先輩は午前中からフルスロットルで動いているのにまだ全然元気でびっくりしてしまうな。無限に体力があるのは子供みたいだと言ったら怒るだろうかなど考えていると目的地に着いていた。



「立派な映画館ですね」


「そうね、このフロアは映画館だけになっているのがまた素敵だね」


先輩の言う通り映画館のあるフロアは他の施設は入っておらず映画館のみとなっている。フロアは少し薄暗くなっており、映画の世界に没頭できるようなっていた。周りを見ると売店や映画の広告チラシがあって、僕も思わずテンションが上がってきた。


「ひーくん楽しそうだね~。」


そんな様子を見て察したのか先輩がニヤニヤしながら聞いてきた。相変わらず少しでも油断すると突っ込んでくる人だ。


「正直テンション上がりましたね。映画も好きですけど映画館の非日常的な空間も好きなんですよ」


「あぁ~それ分かる気がするな。私もこの雰囲気好きだよ」


「落ち着きますよね」


「そうそう。落ち着くし、ここに入るだけで始まる前からワクワクして楽しいよ」


そんな話をしながら今放映している映画を確認してみると、アクション系・恋愛物・ホラー系・SF物と幅広くやっているようだ。


「どれか見たいのありますか?」


「えーっと、前から気になってるものがあるんだ。恋愛物なんだけど大丈夫かな?」


「それ僕も気になってたやつなので全然大丈夫です。それにしましょうか」


「うん!」


丁度もう少しで始まる回が空いていたのでそのまま予約し、飲み物やポップコーンなどを買って席に着く。

その後すぐ予告動画が流れ、本編が始まった。

内容は高校生の恋愛話で主演は旬の俳優・女優を使ったよく見るキャスティングだったが、内容は主人公達の甘酸っぱいやり取り、誤解からのすれ違い、仲直りからのフィナーレとシンプルながらも見入ってしまうものだった。


途中でちらっと隣を見ると先輩も同じように真剣な眼差しで映画に集中していた。

改めて見るとやっぱり可愛い顔してるなぁ。普段は先輩が気取らず焦らずで振舞ってくれているから強く意識する事が少なかったけど。



「いやー面白かったね!」


「そうですね。よくあるテーマの内容だったので最初はどうかなと思いましたけど、引き込まれて見ていましたよ」


「だよね!見られてよかったな。あと誰かと見るとすぐ感想話し合えるのも楽しいよね」


「そこも含めて映画鑑賞って感じですよね。僕も楽しいです」


「私の好みで選んじゃったので喜んでもらえたなら嬉しいよ」


見たかったのは事実だし面白かったのも事実なので正直に感想を伝えているだけだが、映画を選んだ時少し不安そうにしていた先輩が今は楽しそうになっているのは僕としてもホッとする。


「素直な感想を言っただけです。僕もみぃ先輩が少しでも楽しめたのだったら嬉しいですよ」


僕の言葉に少し意外そうな顔をしてちょっと顔を反らした。耳が心なしか赤いような…


「どうしましたみぃ先輩?体調でも悪いんですか?」


「何でもないからこっち見ないで…」


その反応が可愛かったので、先ほどの仕返しとばかりにわざともう一度顔を覗き込みながらからかってみる。


「いやいや、体調悪いんだったら素直に教えてください。なんだったら僕おんぶしますよ」


「もーーーーだから違うの!大丈夫だってば!!」


「すみません。からかいすぎました」


僕が笑って謝罪をしても先輩はまだ怒っているアピールをしている。


「もう!!さぁ帰るよ!」


「分かりました。みぃ先輩」


あくまでアピールなので怖くないうえ、一緒に帰ろう宣言しているので周りの人たちは微笑ましい目で僕達を見ている。

その視線に気が付いたのか、逃げるように足早に駅に向かう先輩の事を僕は急いで追いかけていくのだった。




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