表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの隣で  作者: 淡雪
12/12

からかい

 「それで試験勉強は集中して出来たんだ?」

 

 「はい、おかげ様で進みましたよ」


 「なら良かった!あ、けどそれならわざわざ私と勉強する必要も無くなっちゃったかな?」

 

 「いやいや!いじわる言わないで下さい。めちゃめちゃ頼りにしてるんですから」

 

この前の勉強会から少し時は進んで僕と先輩は試験に向けて勉強会をしている。あの後の打ち上げは楽しんでもらえたようで皆からからは好評だった。僕もまだあまり話せていないクラスメートとも話すことが出来て、交友関係が広がったので勉強会に続いてとても有意義な時間だったと思っている。

楽しかった時間はあっという間に過ぎ、いよいよ試験が再来週に近づいてきたので先輩による勉強会が現在開催されている。平日も合間を見て行っていたが今日は一日使って集中してやろうと先輩が提案してくれたので、その提案に僕が甘えた形である。


「あの先生なら多分この範囲出してくると思うんだよね。あ、そうそう。ここ覚えとくと楽に問題解けるよ」


「分かりました。ちょっとやってみます」


「うん。頑張って!それにしてもノート綺麗にまとめてるんだね。これなら復習もやりやすいでしょ?」


「いや復習した事ないですね」


「それならなんでこんな丁寧にノート取ってるの…」


何気ない雑談をしながらも順調に勉強は進んでいく。それにしてもめちゃくちゃ教え方が上手くて分かりやすいな。この前の勉強会はかなり集中して出来たと思ってたけど、その時よりも今雑談しながらやってる方が明らかに進んでいるし理解も出来ている。

午前中の早い時間から始めていたけど、かなりペースがよく進んでいる。この調子なら今日一日で僕が困っていた範囲は終わらせる事が出来そうだ。

だけどその分僕に付きっきりで教えてくれている先輩は大丈夫なんだろうか。僕のせいで前より成績が落ちたりしたら申し訳なさすぎる。


「平日も休日も時間取ってもらって今更なんですけど、みぃ先輩の勉強の方は大丈夫なんですか?」


「んー?ちゃんと授業聞いてればそれで事足りるよ。試験前に少し復習するくらいかな。」


「授業で事足りるってのが理解できないんですけど…」


「いやいやうちの先生たちはちゃんと授業中に試験に出る所のヒント教えてくれてるよ。その話が出た時の範囲を重点的に復習する感じ」


「でもそれノート取りながらできます?」


「それは慣れだよ。これから出来るようになるって!」


聞いてもあまり参考にならないアドバイスだったが先輩の勉強は邪魔していないようだった事は良かったと思おう。


「そういえばみぃ先輩は友達と勉強会とかしないんですか?」


ふいに思った素朴な疑問を先輩にぶつけてみる。まぁさっきみたいな事言うくらいから必要ないのかもしれないけど。


「そうね、あんまり勉強会はしないけど終わった後の打ち上げはやるつもりだよ。まだ場所は決まってないけど、この前行ったショッピングモールとかいいかも」


「それいいですね、僕達も終わったらまた打ち上げやろうかなぁ」


「そのためには今頑張らないとね。さ、続き始めましょうか」


「はい!」







勉強会はそつなく進み、夕方になった所で夕食の準備もあるので終了することになった。

この時期くらいは出来合いの物でもいいのではと提案したが、まだ試験前だから大丈夫と力強い返事が返ってきたので商店街に買い出しに行く事になった。


「前からこの雰囲気が好きだったけど、いきつけのお店が出来てより好きになってきたわ~」


「それだけ通ってますからね。さて今日はどこに行きましょうか」


「ひーくん何食べたい?頑張ってたからリクエスト聞いてあげる」


「いいんですか?うーーーん。何にしようかな。。カレー?違うな。オムライス!もやっぱり違う。。あ、ハンバーグがいいです!ん?なんで笑ってるんですか??」


夕飯のメニューを悩む僕の姿を見て先輩は始めはクスクス笑っていて、途中から堪えきれないといった顔で大笑いしていた。真剣に考えていたんだけど。


「ごめんごめん、出てくるメニューが子供が好きなメニューだったから面白くて。あとそれを真剣に考えてる姿が可愛かったから」


子供っぽい所を見られた恥ずかしさと、先輩からしたら何気なく言っただけの「可愛い」って言葉に照れてしまって顔が真っ赤になってしまった。

そんな赤くなった顔を見て、僕が怒ったと思ったのか先輩は笑いながらだったけどまた謝ってきた。


「そんな顔真っ赤にして怒らないで。そんなつもりじゃなかったのよ、許してね」


別に怒って顔が赤くなったわけじゃないけど、照れて赤くなった方が僕としては恥ずかしかったから拗ねたように演技することにした。


「許しません。けど一緒に美味しいハンバーク作ってくれたら許します」


それを聞いてまた先輩は体を揺らして笑っていた。しまった、想像以上に子供っぽくなってしまった。


「分かったわ。これ以上ひーくんに嫌われないよう頑張るからね。おねーさんにまかせなさい!」


「おねーさんって…まったく何言ってるんですか。」


結局最後までいいように遊ばれたような気がするけど、こうやってふざけあってるこの時間も楽しいと思ってしまった僕の負けのようだ。



読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ