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あなたの隣で  作者: 淡雪
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試験勉強

そして時間が進んであっという間に週末になった。人数が当初より増え、最初からファミレスで行うのは迷惑ではとの意見が出たため、場所は学園の中にある学習室を借りて行う事にした。この学園は家だと集中出来ないのに近くの勉強する環境が無い人など幅広いケースに備えて週末でも勉強出来る環境を整えている。本当にすごい…


「この問題ってどうやるんだっけ?」


「公式使うんだろ」


「英文意味わかんなー」


「漢文なんて覚えてないよ…」



各々悲喜こもごもの声が聞こえてくる。いや、悲鳴しか聞こえないか。

自分で復習をして勉強したり、各自で得意教科を教え合ったりとやり方は様々であるが、悩みながらも皆で楽しそうに勉強している。


勉強会にならないんじゃないかという心配は、学習室という学内の施設である事・時間制である事・打ち上げを別途セッティングした事で杞憂に終わっていた。

きちんとした場所で時間制に加えて終わった後のご褒美も待っているとあって皆想像以上に頑張っている。元々進学校に進学するだけあって根は真面目だから心配する必要も無かったのかもしれない。


おかげで僕も集中して勉強することが出来たので個人的には大満足の勉強会だった。結果に反映できるかは微妙だけど…


「皆お疲れ様!事前に話してたけど今日はこの後来れる人は学園近くのファミレスで打ち上げって事で!用事ある人は気にしないで帰っても大丈夫だから。俺たちはここを片付けてから行くから先に入っててくれ」


学習室の予約も打ち上げ会場の予約も早野が今回行っていた。本人は大した事をしていないと言うが、打ち上げ会場はともかく学習室の休日申請は書類が面倒なのに全て手配していたから大変だったはずだ。

僕は途中から手伝えたから大変さは身に染みて分かったけど、ほとんどのクラスメートは初めて学園の施設を利用するからその部分は当たり前だけど分かっていないはず。だけど参加した皆は大変だったことを薄々気づいているようで、感謝を伝えながら次の会場に向かっている。

早野はお礼を素直に受け取りながらも少し照れ臭そうにしていた。


「何だかむず痒いな。別に自分が言い出したことだからやったまでなんだが」


「そんな事ないよ。元々二人でやるつもりだったんだから、人数が増えそうとなった段階で正直辞めても良かったのにきっちりやり遂げてるんだからスゴいよ。みんなそれを分かってるからお礼を言ってたんだよ」


「んー、まぁ今日は素直に受け取っておくか。実際大変だったしな」


早野はハニカミながら冗談目かして言ってきた。

こんな会話をしていると本当にいいやつだってのが改めて分かる。


「そうそう、素直に受け取るのが一番」


「あ、それはそうと勉強の方はどうだったか?俺はわりと進んで満足しているけど」


まだ少し照れ臭いのか話題を変えてきた。


「僕も思ったより出来て良かったよ。気分良く打ち上げに行けそうだ」


「そりゃ会を開いて良かったと思えたよ。元は二人で話した事だからな。最低この二人が満足してれば大成功だよ」


「そうだね。ほんとありがとう」


「いいって事よ。さぁ会場に向かおうか」



ちなみに打ち上げの会場は学園の近くのファミレスを選んでいた。中が広く二階建てになっており、二階は貸し切りのスペースがあるため学生たちに重宝されている。試験後はそのまま打ち上げをする学生が多いのでなかなか予約を取る事は難しいのだが、試験前の休日は逆に空きがあったようでタイミング良く予約することが出来たのだ。


会場の片付けて鍵を返却した後、僕たちもクラスメートから少し遅れて会場に向かうことにした。

その道中、試験について先輩と話していたことを不意に思い出した。


「そういえば早野はうちの学園で先輩の知り合いっている?」


「そりゃ部活に入ってるからな。それなりにいるさ」


「確かにそれはそうか。今回の試験だけど、ここ数年先生が変わってないから出題傾向がほぼ同じっぽいんだよね。だから過去のテスト持ってるマメな先輩がいれば結構有利に勉強進められるかもしれないんだ」


「マジか!?比較的先輩方は真面目な人が多いから、資料持ってるか聞いてみようかな」


「聞ける人いるなら絶対その方がいいよ!」


「ありがとう!いやこれは助かるわ」


「いやいや僕も聞いた話だから気にしないで」


それを言った後にしまった余計な事を言ったと思った。

そんな事を言ったら…


「ん?そういえばそれ誰から聞いたんだ?部活にも入ってないのに誰か知り合いでもいたのか?」


そうなるよね…早野はいい友達なんだけど今まだ全ての現状を話すわけにはいかない。何とか誤魔化さないと


「あーーっと、実は前近くに住んでた知り合いが先輩にいてさ。その人から聞いたんだ。あ、勿論信頼できる人だよ」


「ふーーん。まぁいいか。情報は本当にありがたいしな!おっ、ファミレス見えてきたな。皆待ってるだろうし早く行こうぜ」


「だね」


僕の明らかに動揺した姿を見て思うところがあったと思うがひとまず飲み込んでくれたようだ。

今回はたまたま踏み込んでこない相手だったが、油断してしまったことを反省しないと。何かあった時に僕だけじゃなくて先輩に迷惑がかかってしまう。

改めて気を引き締め、クラスメートが待つ会場に向かったのだった。

読んで頂いてありがとうございます

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