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あなたの隣で  作者: 淡雪
10/12

試験

先輩と一緒にショッピングモールに行って暫くたったが、今の所特に問題も生じず平和な日常を過ごしている。まぁ平和と言いつつ、健全な男子高校生には一つ屋根の下に女子がいるだけで刺激的な生活である事には違いないのだが。。


ただ、そんな事を考える時間も少なくなるほど高校生活も本格的に授業が始まって毎日が忙しくなってきた。元々ギリギリで入れただけに毎日の授業についていくのがやっとの中で、追い打ちをかけるように最初の試験の期間も近づいてきたため勉強する時間が増えてきた。




「ここは試験の範囲に入っているからな。じゃあ今日はここまで。しっかり復習しておくように」


そう言って男性教師が教室から出ていく。内容を理解するのはひとまず後回しにして必死でノートを取った後、盛大なため息をついていると後ろから声をかけられた。


「大変だよな。俺も部活と両立出来るか不安になってきたわ」


さわやかな笑顔で話しかけてきた彼は早野陸(はやのりく)。サッカー部に所属していて運動神経は良く、加えて端正な顔立ちをしているからクラスの中でも人気がある人気者だ。僕とは席が近かった事がきっかけで仲良くなった。

ちなみに本人も言っていた通り授業は少し苦戦しているみたいだけど、全国に行くような部活と両立している状況なので、帰宅部の僕とは比べるのも失礼なレベルだ。


「そんな事言ってしっかり両立出来てると思うよ。僕の方が100倍ヤバい。」


「そうかな。けどやっぱ試験直前まで部活休めないのはキツイな~。家帰ってから勉強したいけど疲れて寝ちゃうしね」


「そりゃ放課後あれだけ動いてればね。そんな事聞くと僕も甘えてないで少しずつ勉強しないとって気になるよ」


「あ、でも今週末はグラウンド整備の関係で休みなんだよ。せっかくだから一緒に勉強会でもしない?一人だと絶対サボる未来しか見えないし」


「それいいかも!僕も一人よりも誰かいた方が勉強する気が起きるし」


「じゃどこかファミレスとかでやろうか」


そんな話をしていると周りのクラスメートも聞いていたようで、その勉強会に参加したいと言ってくる人が結構出てきた。高校にあがって初めてのテストということもあって自分の勉強法が合っているのか気になる人も多いらしい。


「分かった分かった!とりあえず黒板に簡単な出席票貼っとくから参加するやつは丸つけといてくれ。やるのは今週末で待ち合わせ場所は学園の最寄駅近くのファミレスってことで!」


参加者の収集がつかなくなりそうになっていたため早野がすかさずその場を取りまとめる。リーダー気質というか面倒見がいいというか、でもとにかく助かった。


「なんかこの感じだと勉強会になるか微妙な感じになりそうだな」


苦笑いしながら早野がコソッと僕に耳打ちしてきた。今の時点でそこそこの人数が参加し、男子だけでなく女子も参加する人がいるみたいだ。それにテストが近いといってもまだ時間に余裕はあるし、言う通り勉強会という名のクラス会とかになりそうだな。


「まぁそうなったら諦めるしかないね。まぁその時は改めてどこかで一緒に勉強しようよ」


「そうだな。その時はコッソリ話して予定決めよう」


そう二人で約束した時に丁度次の授業の先生が入ってきてこの話は終わり、授業が始まった。









「そんなわけで今週末は勉強会に行くことになりました」


「そうなんだ、最初のテストって不安になるよね。私もそうだったよ」


家に帰ってから週末クラスメートと勉強会をすることを先輩に報告していた。最初のテストは先輩も印象的だったようで頷きながら過去を思い返しているようだった。


「みぃ先輩は最初のテストって成績良かったんですか?」


「んー、確か学年で5番とかだったかな?ケアレスミスが多くてさ~もったいなかったよ」


バケモノみたいな成績だった。この学園10番以内に入ってる人たちは東大・京大とか余裕で入れるって聞いてるぞ…


「思っていた以上に凄まじいですね」


「まぁ数字が出るものは全力でいくのがうちの家訓だからね。ずっとそうやって教わってきたのよ」


「家訓ですか…何でそんなにみぃ先輩が負けず嫌いだったのか分かったような気がしますよ」


「何が言いたいのかな??まぁひとまずそれは置いといて、勉強会は結構集まるの?」


「そうですね、なんやかんや半分くらい来そうです」


「なるほどね~それだと真剣な勉強会にはならなそう」


「さすがに鋭いですね。最初は二人でやろうかなと思ってたんですけど周りに聞かれてしまって。だから今回は恐らく途中からクラス会みたいになっちゃうんじゃないかなと思ってます」


先輩は僕の話をフムフムと聞いていたが、ふと何か思いついたようだ。いつもと同じようにニッコリ笑って提案してきた。


「そしたらさ私が勉強見るよ!」


「えぇ!だって先輩も試験ですよ?」


「過去の復習にもなるし、そもそも私は授業で全て理解出来てるから時間かけて勉強しないの」


「さらっと天才発言しますね」


「それに私たちの時と先生は変わってないはずだから試験の傾向も大きくは変わってこないはず。短い期間でもそれなりの点数は取らせてあげられると思うけど?」


「ゔっ」


正直かなり魅力的な提案だ。これが可能なら今週末はクラス会として純粋に楽しむことが出来る。

というかもう悩む状況でも無いな、申し訳ないが早野には問題の傾向を共有する事で許してもらおう。


「みぃ先輩。すみませんがよろしくお願いします」


「うん、素直でよろしい!」


頼ってもらえて嬉しい先輩は任せてとグッと可愛いポーズをこちらに決めていた。








読んで頂いてありがとうございます。

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