表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

第2話 魔法は使えないの


 ベランダに銀髪碧眼で水色のワンピースを着た魔法使いが現れた。冬なのに裸足、ワンピースと言っても紐のワンピース。見るからに寒そう。

 腰まで伸びた長い銀髪に夜でも一際輝く綺麗な碧い瞳。


「私を喚んだかしら?」


 魔法使いは都市伝説じゃなかった。友達に自慢しよう。


「……」


 俺は驚きの余り、数秒固まっていた。

 しばらくして――


「ああ。俺を速読にさせてくれ」


「無理よ」


「はぁ!?」


「私、魔法なんて使えないから」


 ……え? 嘘だろ?

 こいつほんとに魔法使い?


 けど空は飛べてるし、手にはステッキのようなものを持っている。明らかに不審者だけど、魔法使いのオーラは漂わせている。魔法が使えない、というだけでこいつを魔法使いじゃない、と決めつけるのはまだ早い。


「どんな願いも叶えてくれるって……」


「なに? そんな噂、信じてたの? 馬鹿じゃない?」


 ダメだ、こいつ。召喚しなきゃ良かった。多分このままこいつと絡んでたら、俺のメンタル、ズタボロになるに違いない。


 どうやら、この魔法使い、毒舌クーデレらしい。容姿は整ってるのに……残念だ。


「じゃあ何で魔法が使えないのに、俺の前に現れたんだよ」


「喚ばれたから」


 それはその通りだ。


「それは、ごめん。もう帰っていいぞ」


「嫌よ。あんたの安眠、妨害したいから」


 はああああ!?


「お前、性格悪いって言われない?」


「んー、初めて会った人間があんただから、言われたことない」


 だろうな。これから沢山言われるんだよ。


「私の名前はステラ。あんたの名前は?」


 知らない魔法使いに名前を気安く教えていいのだろうか。


九条くじょうともり。高校二年生だ」


「ともり、ね。オッケー。でも私、学年なんて聞いてないけど?」


「……っ!」


 後でこいつの鼻に七味唐辛子入れようかな。そして、極めつけにもてなした大福に山葵も忘れずに。

 でも俺は知らなかった。ステラは家の中には入れないことに。


 ステラは優しくしたら、少しは性格変わるかもしれない。そんな微かな希望を込めて、こう告げた。


「取りあえず寒いから、部屋の中入れよ」


「――私、ベランダから動けないの」


 ……え?

 どういう意味だ、それ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ