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プロローグ
冷たい風が私の頬を撫でる。その風に舞う桜の花びらの下、私と彼、ノアは立っていた。
一年前には鮮やかな色彩をまとっていた白黒の桜の木は、まるで時間が止まったかのよう。……いや、時間が止まっていればどれだけ良かったかな。とにもかくにもそれは、この物語が終幕を迎えようとしていることを告げているようだった。
風が止むと、その場には深い沈黙が広がる。
「……シロ。」
先に声を上げたのは、ノアだった。私は彼の次の言葉を待つ。
もう少し。あともう少しで……!!
私の願いが叶う。
……この物語は、私とノアの一年間を綴ったものだ。