表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無償の愛  作者: あお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/48

相談



「で、アレンは俺に聞いてきたってことか」


お店で使ってるパンを買うためにお使いに来た私は、コクリ君(パン屋の息子)がレジを担当してくれた事にチャンスとばかりに、昨日の事と恋について聞いてみた。

すると、なんだかお義母さんがレインをからかう時のようなニヤニヤ顔を浮かべながら、コクリ君からお釣りと共に大量のロールパンを渡される。


「コクリ君…面白がってる?」


こっちは真面目に聞いているのにと、ジト目でみると、ハハハと明るく笑われる。


「ハハ、悪い悪い。真顔でいきなり”恋したことある!?”って鬼気迫った顔で詰め寄られて、しかも話聞くと初々しいのなんのってな!」


大人になったなーとぽんぽん頭を撫でられるけど、同い年じゃないか。

そりゃあいきなり聞くことじゃないと思うけど、でも今の私は誰かに聞きたくて仕方なかった。

それでお義母さんとお義父さんに聞くより、年も近いコクリ君に聞いた方がいいと思ったんだ。


受け取ったお釣りをポケットに入れて、もう一度コクリ君を見ると顎に手を当てながら天井を見上げていた。


「んー、恋ねー、ぶっちゃけ意識したことないっていうか、興味なかったなー」

「そうなの?」

「ああ、教会に通ってた頃は何度か告白されたけど、俺パンの事しか考えてなかったし…、好きとか感じなかったから断ったんだよな」


と話すコクリ君はモテてたんだなと思うのと同時に、聞く相手を間違えたと思った。


でも、レインと同じくらいの身長があり、鍛錬をしてない割に程よく筋肉がついているコクリ君は明るい性格で、しかも自分のしたいこともしっかりと持っている彼は人気があったんだろう。

私は講座にも通ってないから、どういう環境かはわからないけど、きっとそれなりにキャーキャー言われていたに違いない。

あ、でも、同性愛も少ないけどいるらしいから、黄色い声にまぎれた野太い声もあったのだろうか。


私にもコクリ君は初めから気さくに話しかけてくれて、同い年(で申請している)だけど、お兄ちゃん的な感じだ。

恋愛感情だけではなくて、尊敬や友愛にも恵まれていそうだ。


「なんで好きって感じなかったの?」

「あー、なんだろう、なんていえばいいのかな…」


んーと唸ってから、私にわかりやすく言葉を選んでいるんだろう、ちらりとみて続ける。


「俺にとって今一番はパン作りなんだけど、告白してきたそいつと付き合ったとして、後で好きになる可能性もあるけどさ

触りたいとも触ってほしいとも思わなかったし、パンより優先できねーし、第一俺の作ったパンを一番に食べて欲しいって思えなかったんだよな。

恋ってさ、まぁよくわかんねーけど、俺は直感だと思ってんだよ。小麦粉見ると俺は触りたいし、捏ねたいって思うんだけど、人相手にそう思える人をまだ見つけてねーんだ」


わかるか?と聞かれけど、例えで言われた捏ねるとか小麦粉とかが、頭にこびりついて首を振ってしまった。

そんな私の反応を見てコクリ君が苦笑する。


「まぁ、要するに気持ちだよ気持ち。

アレンが俺と同じ直感型でないかもしれないから、あんまり変なこと言えねーけどさ

いつもと違った自分を感じたら、その時の自分の感情を良く考えて、悩んでみればいいんじゃね?」


コクリ君の言葉がすっと入った気がした。

いつもと違う自分の気持ちを考える。

それなら私にもできそうだし、わかる気がした。


「てか早く店戻ってやれよ。それ店用のパンだろ?」


手に持っているパンを指さされ、私は愕然とする。

少し話すつもりだったのに、いつの間にか話し込んでたのだ。


「やばい!あ!コクリ君ありがとうね!」


あわただしく店を出て、お店に向かう。

お店を出る時笑われた気がしたけど、気にしない。

お店の中で食べる飲食店のイートと、持ち帰りのコクリ君家のパン屋では多少なりとも距離はあるので、パンをつぶさないように抱きかかえて必死に走ったのであった。






「ごめんなさい!」


お店に着くと、開店しようとしていたところだったので、ほっとした。

パンが品切れってわけではないけれど、今日の早いうちにはなくなってしまう、お昼ぐらいまでもてばいいってぐらいの量しかなかったから、開店直後で間に合ったことに安堵した。


「転んじゃうから、そんな急がなくてもよかったのに」


とお義母さんにも笑われたけど、その後ありがとうと優しい手つきで頭を撫でられる。


お店に入って、ポケットに入れていたパンのお釣りをお義母さんに渡して、私はエプロンをつけた。

1カ月も経つと、ある程度要領を掴め、今はホールに立つ時間も増えている。

厨房の洗い場との往復をしてると、声を掛けられ、振り返る先にはジャンさんがいた。


「ジャンさん、いらっしゃ…」

「本当なのか!?」


お店に入ってまっすぐ私の元まできたジャンさんは、なにやら戸惑っているような困惑している感じで、ガッと私の両肩を掴んだ。


「え、…と何が?」


本当なのかって聞くってことは、なにか私に関しての事を周りから聞いたってことだと思う。

最近なにかあったといえば、料理をお義父さんに習っていることと、騎士寮に招かれたことぐらい。

あとは、まだ行われてないけど、ヴォルさんから魔法の使い方を教わることくらいかな。

ちなみにこれはヴォルさんの休みに合わせるから、まだ先かな?

でも教えてもらう事については、お義父さんとお義母さんにしか言ってないからジャンさんは知らないと思う。


「騎士と付き合っているって噂!」

「へ?」


付き合ってる?!


「誰が?」

「アレンが!」

「誰と?」

「第二騎士団長と!」


第二騎士団長って誰だっけ。

と思ってしまうくらい頭が一瞬働くことを放棄した。


「…ッがう!違う違うよ!!」

「…じゃあ、付き合って…ないん、だな?」


恐る恐る問うジャンさんに、私は首を思いっきり縦に振って答えると、安堵した表情に変わった。

というか何その噂!

どこから聞いたのジャンさん!


「そうか…よかった」


ほっと息をつくジャンさんは、力強く掴んでいた私の肩から手を放し、「今日のメニューはなんだ?」と聞くので、「ピクシーの肉の角煮だよ」と答えた。

ピクシーの肉は脂身もあって、煮込むと噛む必要がなくなるほどに柔らかくなり、とてもおいしいんだよね。

機嫌が良くなったジャンさんに、ほうれん草のお浸しが入っている小鉢を差し出す。


「さすがうちの子。モテルわね」


ぼそっと呟かれたお義母さんの言葉は独り言だったのか、振り返っても微笑まれるばかり。

まぁ、いいか。と思ったけれど、私とヴォルさんが付き合っているって……。

違うのに、手を繋いだこととか、抱きしめられたところとか思い出したら、ヴォルさんがいないのに何故かドキドキして、顔が熱くなった。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ