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交差点から振る物語

作者: 瀬田一

単調なあらすじですが是非読んでください。サクッと読み終わるので隙間時間などにぴったりです。

交差点から振る物語


 通学に使っているこの交差点。ビルが建ち並び、信号が青になると全方向から大量の人が溢れ出す。うんざりする都会の喧騒を表している。

でも、今は違う。

(あ、いた。)

心の中で呟く。交差点の反対側にいる彼女は顔立ちは可愛いが、膝丈まであるスカートや化粧っ気のない顔など、校則を遵守した姿はキツそうな印象を与える。

気づけば毎朝彼女を目で追っていた。今やどんなに人がいても彼女だけは見つけられる。僕は一目惚れしていた。

彼女を好きになってから世界が変わった。交差点では彼女以外目に入らないし、音も聞こえない。都会の喧騒がまるで嘘みたいだ。ただの通学路の一部だった交差点が色づきはじめてカラフルなものに変わった。

僕はどうしても彼女と話がしたかった。名前が聞きたかった。二か月間毎朝そんなことを考えていたが、話しかけられずに眺めるだけで終わってしまう。だが、そんな僕の思い、というか念のようなものが通じたのか、最近は彼女とよく目が合う。

(これは脈ありか?わからない。でも嫌いなら目なんて合わせてこないはず。よし、思い切って話しかけてみよう。)

 信号の待ち時間に決意を固め、今か今かと青になるのを待っている。

 信号が変わった。彼女が歩く方向に向かうと同時にさっきまでの決意を曇らせる不安が襲った。

(急に声をかけてキモイと思われないか?そもそも彼氏いるのか?いや、彼女の制服は女子高だ。彼氏なんていない。いない…はず。あーどうしよう、これで嫌われたら。いやいや大丈夫、今日の朝の占いは絶好調だった。ていうかもう目の前にいる。話しかけなきゃ。)

 和太鼓のようにうるさい鼓動を鎮めながら声をかけた。

「あのーよくお見かけするんですけど、お名前なんていうんですか?」

 僕は一生で一番の勇気を振り絞った。

 彼女の返答までの時間は永遠のようにも感じられたし、一瞬のようにも感じた。

「あーいつもこっち見てくるキモイ人ですね。君ストーカー?もうやめて欲しいんですけど。」

 爽やかな朝日に照らされた彼女の顔は、汚物を見るような蔑んだ目で僕を見て、そう告げて去った。

 クラクションを鳴らされるまで動けなかった。

(僕の青春は終わった。)

  その日は学校に行けず近くのトイレでずっと泣いていた。




(もう、どうしよう。いつも見かける気になってる男の子が声をかけてくれたのに、あんなこと言っちゃったよ。どうして私は素直になれないんだろう…)


最後まで読んでいただきありがとうございます。1000文字以内に抑えるのって本当に大変です。ですがまた何か投稿すると思うのでその時は読んでください。

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