炎の魔女と憤怒
私は怒ってなどいない。
誰が何と言おうと、怒ってはいないのだ。
世界に満ちる愚かさに、人々の無理解に、怒ってはいない。
力なき者達。なぜ彼らはそうも簡単に騙される。
権力を持った人間が右と言えば、右だと思うのだ。
白だと明らかなものでも、彼等が黒だと言えば黒になるのか。
分からない。
理解できない。
けれど私は怒っていない。
なぜなら彼等は可哀そうだからだ。
きっと頭が致命的に可哀そうなのだろう。
愚かな人間は、愚かなままだから正常な判断ができないと聞く。
ならばきっと、そういう事だ。
地を這う蟻に、法を述べても学習はしないだろう?
そこらに生きる微生物に、規則を教えて何になる。
だから私は怒らない。
ただ、愚かな物達を哀れみながら、少しでもこの世が綺麗になるように焼き払っていくだけなのだ。




