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大罪と魔女シリーズ

炎の魔女と憤怒

作者: リィズ・ブランディシュカ



 私は怒ってなどいない。

 誰が何と言おうと、怒ってはいないのだ。


 世界に満ちる愚かさに、人々の無理解に、怒ってはいない。


 力なき者達。なぜ彼らはそうも簡単に騙される。

 権力を持った人間が右と言えば、右だと思うのだ。

 白だと明らかなものでも、彼等が黒だと言えば黒になるのか。


 分からない。

 理解できない。


 けれど私は怒っていない。


 なぜなら彼等は可哀そうだからだ。


 きっと頭が致命的に可哀そうなのだろう。


 愚かな人間は、愚かなままだから正常な判断ができないと聞く。


 ならばきっと、そういう事だ。

 地を這う蟻に、法を述べても学習はしないだろう?

 そこらに生きる微生物に、規則を教えて何になる。


 だから私は怒らない。

 ただ、愚かな物達を哀れみながら、少しでもこの世が綺麗になるように焼き払っていくだけなのだ。



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