第八話 非戦闘系魔法少女だって言ったじゃない!?
無言のまま、栞と顔を真っ赤にさせながら学校に辿り着く。
すると正門から生徒たちが逃げるように飛び出してきた。
うん、嫌な予感しかいない…・・逃げよう!
「待ちなさい」
ギュッと腕を掴まれた!?
振り返るとバーコードヘヤーの校長先生だった。
「わ、私の学校が滅茶苦茶になってしまう。き、君は、アレだろ? 魔法少女なんだろ? が、学校を救ってくれ!!」
「えっ!?」
「だから、ビーストを学校から追い出してくれ!!」
意味不明。
まずビーストがわからない。
転生前の女子バージョンの記憶がないのが辛い。
しかし、ビーストって言うぐらいだ、きっと魔物なんだろう。
そして……。
「よくわかりませんが、マジカル♡キュアドルは非戦闘系魔法少女です! 私にはどうにも出来ません」
逃げ出した生徒たちが見守る中、校長先生と押し問答していると、校内から巨大な火の玉が飛んできた。
「マジカル♡ドール!!」
火の玉目掛けて特攻させると、火の玉と共に消滅してしまった。
ごめん……。
その隙に……
「希望と勇気を守る正義の使者、マジカル♡キュアドル!!」
魔法陣のルーン文字が増えながら黒く輝く。
光の中で、女性の女性知らしめたる体の部位が、肥大化しながら美しい形に整う。
だが秘部の中の秘部だけは辛うじてブラックサキュバスの衣装で隠されている。
そして、はち切れんばかりの恵体にほぼ全裸のような衣装のブラックサキュバスが姿を現す。
「うぉっ!? ブラックサキュバス!!」「スゲーエロ可愛い!!」「はぁ……ん。ブラックサキュバス様ぁ!!」「学校を救って!! お願い!!」
様々な声援が、ブラックサキュバスの魔力を通して、快感に変わる。
校内にいたビーストが正門を抜け姿を現した。
ビーストは四足歩行の獅子であり、校舎の二階に届くほどの巨大なビーストだ。
ビーストは間違いなく、こちらを見ている。
こちらを間違いなく、敵視している!!
大きな口から巨大な火の玉を何発も吐き出す。
「マジカル♡シールド!!!」
耳を劈く爆発音と身を焦がすような熱波が身を襲うが、マジカル♡アーマーが守ってくれている。
そして、生徒を守るようにマジカル♡バリアも同時に発動していた。
魔力的には何も問題ないが、生徒をいつまでも守っていられる自信がない。
「皆、下がって!!」と言いたいが、「その程度の攻撃では、私の引き立て役にもならないわ」と虚勢を張ってしまう。
どうするの!?
ブラックサキュバスに攻撃するスキルも魔法もないのに!!
考えろ、考えるの!! ブラックサキュバスは、エロいことを力に変えることが出来るのよ!!
ビーストの火の玉は、ただの目くらましだった。
ビーストはブラックサキュバスには目もくれず、背後にいる栞に飛びかかる。
「待ちなさい!!」
ブラックサキュバスが司る力、誘惑の制御を解放する。
勿論、周囲の生徒までも誘惑しないように、ビーストのみを誘惑する。
これが特訓の成果だ。
誘惑されたビーストは何の疑念も抱かず、まるで最初からこちらを狙っていたように、左腕を食い千切られた。
これが……栞だったら……。
痛みに顔を歪めたりしない。
ブラックサキュバスは、エレガントでエロティックでなければならない。
僅かに秘部を隠すブラ的な衣装を残された右腕で脱ぎ捨てると、校舎の二階に届くほどの巨大なビーストの頭を抱きしめる。
勿論、エロいことをするから念動力を使えるようになれという理論のエロティカルキネシスだ。
ビーストの鼻先がおっぱいに埋もれた。
「もう大丈夫よ。何も怖がることも、全てを壊そうとする怒りもいらない。そう、エロティカルは正義よ」




