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マジカル♡キュアドル!!  作者: きっと小春
第ニ章 長阜県のビーストロード編
15/23

第四話 今出来ること

 橘さんは、中学生のマジカル☆ウィッチを呼び出していた。

「可憐と花には、ビーストロードを倒してもわうわ」

「えぇぇぇぇ!?」

「む、む、む……無理っすよ。橘先輩!!」

「あのね……私も後ニ、三年で魔法少女も卒業。その前に……私が見守って上げられるうちに経験させたいの」

「で、でも……」

「うん? 何? あなた達は、私がいなくなった後、自分たちでどうにか出来るの?」

「そ、それこそ、無理ですよ!!」

「で、でも……私達、契約してないんですよ……」

「馬鹿、花! それは先輩も一緒でしょ……」

「私は……契約してるわよ?」

「だ、誰とですか!?」

「孤高の先輩が……」

 ドヤ顔の橘さんに引っ張られ、驚き顔の二人の目の前に立たされた。

「「ブ、ブラックサキュバス!?」」

「ふふーん。どう? 滅茶苦茶可愛いでしょ?」

 二人は、私を覗き込むように、ゴクリと生唾を飲んだ。

「ほら、三人共。何しているの? 早く契約しなさい」

「「「えっ?」」」

「本当なら、誰にも触れさせてくないけど、三人共私の大事な……だから許すわ」

「でも、三人と契約したらブラックサキュバスでも、魔力がもたないんじゃ?」

「ふふ。大丈夫。歴代のマジカル♡キュアドルの中でも、ぶっちぎりの魔力を持っているから」


「花さん……い、いきますよ」

 私は経験者で、花さんはファーストキス。

 花さんは、目をしっかりと閉じて……少し震えていた。

 花さんの手を握り、そっと唇を重ねた。

 ぎゅっと花さんは手を握り返してくる。

 花さんの唇をこじ開けるように、舌をねじ込む。

 契約とは、キスでお互いの魔力を交換すること。

 花さんの記憶や思考が、一気に脳内に流れ込んでくる。

 そして、花さんが小5の自分に全てを委ねた意思まで伝わってきた。


「はい、そこまで!!」

 嫉妬した感じの橘さんが、無理やり私達を引き離した。

 花さんは、恥ずかしいのか両手で顔を覆っている。

「つ、次は、私だね。よ、よろしく……。ちなみに私も初めて」

 花さんとのやり取りを見ていたからか、少し興奮気味の可憐さん。

「い、いきま……」

 なんと、可憐さんから唇を奪ってきた。

 な、なんか……体の魔力が吸い取られる感じが……。

 可愛い……大好き……。

 そんな可憐さんの声が聞こえる。

 あ、ありがとう……。

 嫌われなくて良かった……。


 契約を終えた可憐さんは、手をグーパーしながら橘さんに尋ねた。

「力が漲ってる。これって契約の効果なんですか?」 

「ふふふ。その通り。ざっと数倍は強くなってるわよ。少しは自信が出てきたかしら?」

「さて、愛は今まで通りマジカル♡キュアドルの警護をお願いするわ」

「は、はい」

「ビーストとビーストロードの事は私達に任せて、二人はマジカル♡キュアドルの役割を」


 ♂ ⇒ ♀


 昨日のビースト事件の報告のため、臨時の朝礼があった。

 教室へ戻りながら、今後の活動について考えていた。

 マジカル♡キュアドルの役割と言われても、校内で変身すると怒られるんだよね。

「痴女、あまり目立たないで」

「はぁ? だ、誰が痴女?」

 杏はビシッと私を指差す。

「男子を誘惑して、マジカル☆ウィッチを三人も手駒にしてる」

「杏! それは橘先輩が決めたことです!! 滅茶苦茶怒られますよ!?」

「それは駄目。今言ったこと取り消す」

 流石の杏も橘さんの事は怖いらしい。

 これ以上、杏に何を言っても無駄と思い忘れることにした。


「何をするんですか!!」

 愛ちゃんが男子の腕を掴んだ。

「愛、腕へし折るべき」

「ちょ、ちょと!? 二人共突然どうしたの!?」

「この男子が、杏のお尻を触ろうとしたんです」

「待って。調べる必用があるかも」

 愛ちゃんが男子を壁に押し付けている間に、ブラックサキュバスに変身する。

「うーん……。禍々しい感じはないから、ただの変態みたい」

「やっぱり腕、へし折るべき」

「ご、ごめんなさい……助けて……」

「取り敢えず、先生に突き出したほうが良いかも」

 愛ちゃんの提案により男子を職員室で先生に引き渡した。

「ったく、どうせお前らが生徒を誘惑したんだろ?」

 またこいつか……。

「いいえ。変身もしていないし、他の生徒と同じ制服です」

 愛ちゃんがムキになる。


 二人が言い争いを始めると、偶然なのか校内放送でビースト出現が知らされた。


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