眠れる灰被りの白雪姫
むかしむかしある国で、貴族の家に可愛らしい女の子が生まれました。
その女の子は星のように輝く金の髪と薔薇のように赤い唇をもち、雪のように白い肌をしていたので、「白雪」と呼ばれました。白雪の誕生を喜んだ妖精は健康の祝福を贈り、白雪はすくすくと育ちました。
しかし白雪が生まれてすぐに母親は亡くなり、「白雪には母親が必要だ」と思った白雪の父親は、二人の娘がいるヴィルマ夫人と再婚しました。
夫人は美しい人でしたが、気が強く嫉妬深い人でした。そして魔法の鏡を持っていて、いつも壁に掛かったその鏡にたずねます。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」
「それはあなたです。ヴィルマさま」
鏡の答えを聞くと夫人は満足しました。鏡は嘘をつきません。
そして白雪が美しい少女になったころ、今度は白雪の父親も亡くなりました。すると夫人や二人の義姉たちは、前から気に入らなかった白雪を召使いのように扱いました。
白雪に与えられるのは粗末な服と質素な食事だけで、毎日掃除や洗濯、夫人と義姉二人の世話など働き続けて、服に付いた煤も落ちる暇がありませんでした。しかしそれでも白雪は明るさを失わず、美しくたくましく育ちました。
しばらくして、夫人はいつものように鏡に尋ねました。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」
すると鏡は言いました。
「それはもちろん白雪です」
「なんですって」
夫人は怒り狂い、狩人を呼び寄せて白雪を殺すように言付けました。殺した証として心臓を持ち帰るようにと命じられた狩人は、「たまには狩りをして羽を伸ばしましょう」と森へ白雪を連れて行きました。
狩人から狩りの仕方を教わった白雪は、すぐに狩りが上手になりました。白雪が狩りに夢中になったころ、狩人はためらいながらも剣を抜いて、白雪の心臓に突き刺そうとしました。しかし気付いた白雪は助けを求めました。
「どうか、どうかお見逃しください。獲ったものは全てささげます。家にも帰りません。森の奥でひっそりと暮らしますから。お願いします」
白雪を殺すことに迷いがあった狩人は、白雪の願いにしたがうと、イノシシの心臓を持って夫人のもとへ帰りました。夫人はそれを見ると白雪が死んだと思い、すっかり安心しました。
そして白雪は言葉どおりに森の奥へと向かいました。やがて誰の目にもつかない所まで行くと、白雪は大喜びしました。これで継母や義姉たちに会わなくて済み、面倒な仕事もなく自由に過ごしていけます。白雪は隣の国まで行けばさすがに誰も分からないだろうと思い、森を通り抜けるようにして隣国へ向かおうと決心して進み始めました。
しかし今の白雪には、水筒とナイフしかありません。せめて今後の食事と、眠れるような場所を見つけなければなりません。白雪は狩りを続けながら森を進み、兎を二羽しとめたところで、夕陽の差し込む場所に一軒の小屋を見つけました。
白雪はしばらく泊めてもらえないかと小屋をたずねましたが、誰もいないようでした。入り口は開いていたので空き家だと思い、ここで生活しようとしました。
白雪は兎を調理しようと思いましたが、いろいろなことが起きて疲れ切ってしまい、ベッドに入ると途端にぐっすり眠ってしまいました。
日が沈んであたりが暗くなったころ、家の主が帰って来ました。家の主はドワーフでした。山の中で金や銀や鉄の石を掘りおこしては、その石で剣や盾や道具を作って売っていました。今日は石をとって帰って来たところで、ランプに火をつけ食事をしようとすると、狩られた兎が並んでいるのが目に入りました。
ぎょっとして家中をさぐると、ベッドに寝ている白雪を見つけました。ドワーフは白雪がみすぼらしい格好をしているのを見て、浮浪人か何かが迷い込んで入ってきたのだろうと思い、今晩は見逃してやろうと自分は椅子で眠りました。
白雪は目を覚ますとドワーフがいたことに驚きましたが、ドワーフの怒っていない様子を見て、話し合いを持ちかけました。白雪はこれまでのことと、旅のしたくが整うまで泊めてほしいこと、代わりに料理や洗濯などの手伝いをすることを提案しました。ドワーフはうなずくと自分は「ベランメンだ」と名乗りました。
それからの白雪は狩りをしたり、料理に掃除に洗濯など一通りの家事や雑用を手伝いつつ、ドワーフから細工の技術を習いました。そして指輪や髪飾りなどを作っては売り、小銭を稼いで旅の資金を集めました。町に出るときは髪色や服装を変えて、もしも狩人や継母や義姉たちに出会っても分からないように努めました。
ある日、この国の王子は城で舞踏会を開くことになりました。どうやらお妃を見つけるためのもののようで、結婚ができる年齢で未婚の女性は誰でも参加できるものでした。
舞踏会には他国の女性でも参加できるとの噂で、そこで白雪は賭けに出ることにしました。もしも他国の姫や貴族と仲良くなれば、国を越える手助けをしてもらえるかもしれない。さらに運が良ければ、一緒に連れ帰ってくれるかもしれない。継母や義姉たちに出会うかもしれないけれど、以前の家では美しく着飾ったことがなかった白雪に、もしかしたら気付くこともないかもしれない。
そう考えると、白雪は舞踏会に参加するべくドレスを用意することにしました。ためたお金を崩して良い素材を買い、ベランメンからも許しをもらったことで、ドレスを作るための時間を増やしました。
そのころ夫人は白雪がいないものだと信じて、安心して鏡にたずねました。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰?」
「それはもちろん白雪です」
「なんですって」
「白雪です」
「生きていると」
「もちろんです」
「なぜ。どこで。どうして」
「白雪は逃亡しました。森の奥にある小屋に住んでいます。現在舞踏会に参加しようと準備をしております」
夫人は絶望と苛立ちが体中をかけ巡り、再び怒り狂いました。他人に任せたからうまくいかなかったのだと、今度は自分で白雪を始末しようと考え出しました。
白雪がおこがましくも舞踏会に参加するというのなら、森の小屋などという汚らわしいところへわざわざ向かう必要はない。舞踏会の会場で白雪を見つけ出し、ほうむり去ってやろう。そう考えた夫人は、舞踏会で白雪を殺すための準備と、会場へ向かうための準備を始めました。そして二人の義姉たちも舞踏会へ参加する準備を始めました。
白雪の方は舞踏会の前日にドレスが完成し、ベランメンは白雪をほめつつも寂しそうに言いました。
「よく似合ってるぜ。けどよ、もう行っちまうってぇのかよ」
「そうね。収穫がなければまたお世話になりたいけれど、できれば私はこの国を出たいの。だから私には『帰ってくるな』って言って。それが一番の花向けだわ」
「てやんでえバーロー。おととい来やがれ」
「ありがとう、ベランメンさん」
その夜はいつもより少し贅沢な食事をして、白雪とベランメンは別れを惜しみました。ベランメンがいなければ、ここまでうまくいかなかったかもしれない。継母や義姉たちに悪口を言われても泣くことのなかった白雪でしたが、その日だけはぽつぽつと涙を落としました。
舞踏会当日、白雪は自分で作ったドレスと首飾りと髪飾りを付けて綺麗に着飾り、お城へと向かいました。
舞踏会の会場はきらきらと華やかで、白雪は見たことのない世界に目を輝かせました。それはほとんどの庶民女性も同じようで、誰もかれもが楽しそうにしていましたが、王子だけは楽しそうではありませんでした。空を見つめ、椅子から立ち上がることはありませんでした。王子の友人である隣国の王子はその様子をたしなめましたが、この国の王子が変わる様子はありませんでした。
白雪が会場に一歩足を踏み入れると、その場にいた人々はすっかり彼女に見惚れてしまいました。そして一人の女性が「あ!」と声を上げて白雪に話し掛けてきました。
「この髪飾りをどこで手に入れたの? あのドワーフ製の新しい品物よね? 見たことがないデザインだわ!」
その声を聞いた女性たちは瞬く間に白雪を取り囲み、次々と白雪に質問をしました。白雪は自分の作っていた装飾品が町で有名になっているとは知らず、女性たちの間で人気になっていることにも気付きませんでした。
白雪は驚きながらも質問に答えていましたが、自分が作っているものだと答えると騒ぎはどんどん大きくなっていきました。やがて騒がしい様子に気付いた王子は、何かあったのかと友人とともにその中心へと向かいました。
中心人物を見た王子二人は、まるで雷に打たれたようでした。その女性が身にまとっている見たことのないデザインのドレスよりも輝く、白雪の美貌に二人は一瞬で惹きつけられました。
「どうか私と一曲、踊ってくださいませんか」
二人の王子が同時に白雪へと手を差し出しました。白雪が驚いて迷っていると、隣国の王子が笑って手を下げました。
「今日は君が主役だからね、先を譲ろう。なに、印象は後の方が強く残るものだ」
さらに隣国の王子は「姫、後で私と踊っていただけますか?」と言うと、うなずいた白雪を見てその場を離れました。
白雪が王子の手を取ると、曲が流れて人波が割れ、二人は会場の中央で踊り出しました。
白雪はお父さまが生きていたころに習っていたダンスを思い出しながら踊りました。久し振りでありながらも、王子のリードによって不自然なところは見当たりませんでした。
二人は互いにしばらく見つめ合っていました。白雪は王子のように、爽やかな見た目の青年を見たことがありませんでした。そして王子は踊りながら白雪に尋ねます。
「君が、下町で噂になっている装飾屋の、工房を持っているひとか」
「私の工房はありません。ベランメンさんの仕事場を少し借りていました」
「君が自ら作っているとでも?」
「おっしゃるとおりです」
「デザインから加工までの全てを?」
「材料と道具と技術はベランメンさんからいただきましたが、おっしゃるとおりです」
「……まったく、謙虚にすぎるな」
すると今まで笑っていなかった王子が笑い出し、誰もが二人を見つめていました。
やがて曲が終わると二人は互いに礼をとり、すぐに隣国の王子が白雪の元へやってきました。隣国の王子は笑顔を向けると、再び白雪に手を差し出して言いました。
「姫。お美しい。ぜひ私と一曲、踊ってくださいませんか」
白雪は頷いて隣国の王子に手を乗せました。彼は白雪の手をとると、手の甲に口付けを落としました。曲が始まると白雪の腰に手を回し、優雅に踊り出しました。二人に合わせて周りも踊り出し、会場は華やかな踊りで満ちていきました。
隣国の王子は括り付けた長い髪をなびかせながら、白雪に笑ってたずねます。
「私はオレガリオという。オレガリオ・マルコ・サンディバル。ヨハンもそうだが――ああ、あの仏頂面の彼のことだ――私も妃になってくれる人を探していてね。あなたの名前を持ち帰りたい。どうか教えてはもらえませんか?」
「私はシーラ・ユリアナ・キーフトです」
「なるほど名前も美しい。姫は雪のように幻想的で、野に咲く一輪のばらのように気高い。一体今までどこに隠れていたんです?」
「小屋に」
「小屋? 面白いお方だ」
オレガリオ王子は笑いましたが、白雪は「隠れていた」という言葉で、夫人や義姉たちのことを思い出して少し警戒しました。
「見つかってしまわないかしら」
「その美しさで、あなたを見つけられぬ人などいますまい」
「そんな……!」
白雪はオレガリオ王子の冗談に顔が真っ青になりました。曲が終わると途端に走り出し、会場を出ました。
「姫、お待ちを!」
オレガリオ王子が声を上げて白雪を追うと、ヨハン王子も二人を追いました。
オレガリオ王子の言うとおり、夫人は白雪を見つけていました。鏡の言う一番美しい人が白雪であるなら、会場で一番美しい女性が白雪であるからです。
夫人は会場を飛び出した白雪を呼び止めました。夫人は魔法によって全くの別人になっていたため、呼び止めた女性が夫人だと、白雪は気付きませんでした。
「そこのお方、ちょっと。休息室はどちらかしら」
「すみません私は詳しくありません」
「そう。あらあなた、息を切らせてどうしたの。これでも飲んで落ち着きなさい」
夫人は手に持っていたグラスを白雪に差し出しました。白雪は少し悩んだものの、そのグラスが会場で配られていたものと同じに見えたので、受け取りました。そして口を付けると、白雪はその場にくずれ落ちました。
倒れた白雪が死んだのかどうか、夫人は白雪を蹴って確かめました。ごろりと転がる白雪に息はありません。
しかし追い付いたオレガリオ王子がその光景を見て叫びました。
「何をしている!」
すると夫人は素早く逃げ出しました。夫人の動きはとても、かかとの高い靴をはきドレスを着た女性の動きとは思えない速さで、オレガリオ王子は驚きながら必死に追いかけました。
「あの者を捕らえよ!」
同じくヨハン王子も追い付き、警備隊に指示を出すと、白雪のもとへ駆け付けました。白雪に息はありませんでしたが、死んでいるわけでもありませんでした。祝福により、眠ったように白雪の時が止まっているようでした。
ヨハン王子は周りの従者に白雪を救護するようにと指示を出すと、自らも夫人たちを追いかけようと走り出しました。
そしてヨハン王子が追い付くと、オレガリオ王子と警備隊に取り囲まれた夫人は、その正体を現していました。月夜の下で、夫人は笑い声を上げます。
「白雪は死んだ! これで私が一番だ!」
「いいや彼女は死んでいない」
ヨハン王子が力強く言うと、夫人は発狂しました。そして魔法を振り乱し、次々と警備兵をなぎ倒していきます。魔法を使える者は少なく、その場で使えたのは夫人以外には王子二人だけでした。やがて応戦できる王子二人だけがその場に立っていました。
夫人は白雪を殺すぐらいで大きな魔法を使うつもりはありませんでしたが、王子二人に追いつめられたことで残りの力を全て使って、自分の姿を大蛇へと変えました。そしてするすると塔を登っていきます。大蛇は塔の上で毒霧を吐き、誰も近付けないようにしました。
やがて騒ぎを知った会場の人たちは混乱し、一斉に逃げ始めました。誰もが裏門の方へと逃げ帰りましたが、義姉の二人は異変を感じ、正面から出て塔の方へと向かいました。
二人が塔にたどり着くと、震え上がりました。多くの人々が倒れ、中心には母親が身に付けていたものの全てが落ちていました。母親はきっと死んだのだ。二人は大蛇を見上げて震えながら泣き出しました。
目の合った大蛇が二人の娘を睨むと、二人はたちどころに石像へと変わりました。大蛇には人間の見分けがつきませんでした。
オレガリオ王子が魔法の槍を投げ、ヨハン王子が魔法の弓を射っても、大蛇はするりと交わします。二人が苦戦していると、後ろから声が聞こえました。
「その弓を、貸してはいただけませんか」
驚いたヨハン王子が振り返ると、そこには白雪が立っていました。救護でかけられた、いやしの魔法により白雪は息を吹き返したのです。ヨハン王子は白雪をかばおうとしましたが、白雪の力強いひとみを見て、弓を手渡しました。
白雪は弓を受け取ると大きく息を吸い、思い切り叫びます。
「てやんでえバーローちくしょうべらぼうめ! おとといきやがれ!」
すると白雪の放った矢は大蛇の目に当たりました。大蛇は夫人のような金切り声を上げて塔から落ちていきます。白雪の言った謎の呪文に二人の王子は驚きましたが、オレガリオ王子はすかさず腹に槍を投げ、ヨハン王子も剣で尾を切りかかって追い討ちをかけました。
とどめを刺そうとオレガリオ王子が大蛇の頭を狙ったところ、大蛇は残りの力を使って白雪を睨みつけ、オレガリオ王子に向かって炎を吐きました。炎と同時に投げていたオレガリオ王子の槍は大蛇の頭を貫きましたが、彼が炎から身を防ぐのには間に合いそうにありません。
炎がオレガリオ王子を包もうとしたそのとき、炎は透明な板にぶつかったように目の前に広がるだけで、彼には届きませんでした。ヨハン王子が魔法の壁をオレガリオ王子の前に作っていました。
無事を確かめ合った二人は、大蛇がやがて砂となって消えていくのを見ました。安心した二人の王子が振り返ると、そこには三体の石像がありました。ヴィルマ夫人に少し顔の似た二人の娘と、白雪の石像でした。
自然とお開きになった舞踏会のあとは大変なものでした。負傷者の治療と、客人たちへのお詫び、そして石像を元に戻す方法を探すためにヨハン王子はあちこちかけ回りしました。
騒ぎは収まっていきましたが、石像を戻す方法だけは見つかりません。このまま戻すことができなければ、何年も何百年もその先も、彼女たちはずっとこの姿のままやがて朽ちていってしまうのかもしれない。ヨハン王子は悲しみと悔しさで胸の内があふれました。弓を構えていた名残りで前に出ていた白雪の手に、ヨハン王子の涙が落ちました。
ヨハン王子はあわてて涙をハンカチで拭きとると、思わず生きた人間に詫びるように、その手に口付けを落としました。
すると灰色だった指先はゆっくりと白く変わっていきます。鮮やかなドレス、きらめく首飾り、薔薇のような唇、星のように輝く髪、色づく白雪は、ヨハン王子を見ると穏やかに微笑みました。
ヨハン王子はたいそう喜び、思わず白雪を抱きしめました。
「良かった。本当に良かった」
ヨハン王子は冷静になると、白雪から離れてまっすぐ彼女を見て言いました。
「順番を間違えてしまったが、私はヨハン・サムエル・レイケンだ。まずは君の安全を約束しよう」
そしてヨハン王子は白雪の健康を調べるように周りへ指示しました。二人の義姉も元に戻りましたが、髪は真っ白になっていました。互いを見ると叫び声を上げ、二人そろって走り出すと、やがて行方が分からなくなりました。
数日後、ヨハン王子は白雪に求婚しました。白雪が隣国へ行くつもりだったのは、継母と義姉たちを気にしていたからでしたが、継母たちがいなくなったと知った白雪にはもう、隣国へ行く必要はなくなりました。白雪は求婚を受け入れ、国では盛大な結婚式が開かれました。
結婚式に招かれたオレガリオ王子は、笑ってヨハン王子に言いました。
「大蛇討伐の英雄としての名誉はもらったから、シーラ姫の夫としての名誉は引き下がるよ」
そして白雪に向かって言います。
「ところで『テヤンデエバアロオチクショウベラボウメ、オトトイキヤガレ』って何の呪文かな?」
すると白雪は少し恥ずかしそうに答えました。
「気合いを入れるおまじないです」
笑顔であふれた結婚式が終わると、白雪の新しく満ち足りた少し忙しい日々が始まりました。
それからというものテヤンデー・ベランメン商会の装飾品は隣の国でも人気に火がつき、それがきっかけとなりヨハン王子と白雪の国は豊かになっていきました。
森の奥にある小屋に住むドワーフの生活は変わりませんでしたが、時々美しい王妃と王によく似た男女がその小屋に訪れて、ドワーフと一緒にお茶を楽しんでいるという噂が、人々の間で楽しげに語られていました。