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SFC G.O.D 目覚めよと呼ぶ声が聴こえ

SFCのマイナーRPGをやってみた感想文です。

シナリオの良さに救われてクソゲーを免れていると云える作品。

メイン世界でのストーリーが始まる前日談、最初のスタート地点が茨城県の牛久市辺りから始まるという、茨城県推しのSFCゲームはコレとライブ・ア・ライブくらいなので、茨城県民としては、それだけで好感を持てたのは確かです。

以降のメインストーリーは、お遣い型の一本道なストーリー。フィールドが広く、特にヨーロッパに入ってからはアイルランド付近とトルコ辺りを徒歩で何度も往復するようなお遣いがあり非常に面倒。容量の問題か、広いフィールドに対して町(国)が少ないため、数個隣町の間でのやり取りイベントでの往き来でプレイ時間を稼いでいる箇所が多く、また、フィールドでのエンカウント率がかなり高めなので、これが非常にダルい。

また、各町の作り込みが非常に凝っているせいで、町のマップが非常に広く段差も複雑、建物内も何階もあって構造も複雑で、町の中を一回りするだけでも大変。(ニューヨークなどはハーレムとマンハッタンで町そのものが二階層だったりします)

町で重要な人物を探すだけでも結構な時間を取られます。

また、先述の通り、このゲームは敵とのエンカウント率がかなり高めになっている上、一回の戦闘に時間がかかります。それは、このゲーム、何故かボタン操作のレスポンスが悪く、前回選択位置記憶機能も無いため、戦闘時に『たたかう』のコマンドを選ぶにしても毎回「アレ?ボタンが効いてないのか?」と思うほど反応が鈍い上、その鈍い反応のまま毎回『サイコ(魔法)』やアイテムを一人一人選んでいかないといけなかったりして、結果的に戦闘が長引いてしまいます。これが一番の問題点かと思います。

ストーリーは一本道で、頼まれた事を次々とクリアしていくだけの『お遣いゲーム』ですが、話全体の流れは結構シリアスで面白いと思います。

途中に挟まれるサブストーリーの中には、青森の巫女が仲間になって宿屋に泊まると、仲間のアメリカ兵と子作りする描写があって、中国に渡った辺りでつわりで倒れて北京で離脱、一行が香港に着いた辺りで北京がエイリアンの襲来で崩壊し、出産間近の巫女が母子共に殺されてしまい、怒ったアメリカ兵が一人でエイリアンを追いかけてモスクワまで行ってしまうとか、主人公の母親が十数年前にエイリアンに拉致られて地下で地球侵略用エイリアンを生み続けているマザーエイリアンになっていて、「殺して」と懇願されて主人公自らの手で母を殺すとか、地球に来たエイリアンの家族は実は月の裏側で穏やか暮らす種族だったけど、主人公達は恨みを晴らすためコロニーごと爆破するとか、最後の敵は神であり、神を倒した後に自分の心境がラスボスだったりと、サブストーリーの一つ一つも結構萎える話が多いのですが、極めつけは第一のラスボスである神を倒してエンディングの宴の直前に、城の中の子どもが怯えて逃げていき「神を殺しちゃうなんて、この人たち怖い」と言って泣き出すところ。エンディング後に選択肢が出てエンディングが分かれるマルチエンディングになります。一つはそのまま『人間を脅かす悪は全て自分たちが制圧したんだからこれでいいじゃん』的な終わり方。もう一つは、例のアメリカ兵が「俺たちがこの世で一番強いんだから、この世界を征服する事も出来んじゃね?」みたいな事に気が付いて、もう少しストーリーが続く。

この二つのエンディングのどちらを選ぶかは結果的に大した差ではないのですが、先出の子どものセリフや怯え方が、このゲームの中で一番印象に残るシーンであり、このゲームを苦労して進めて行って見るべき重要なシーンかと思います。

以下、大まかな本筋のストーリーです。

太古の昔、人類が誕生する以前、地球には(現在)エイリアンと呼ばれている種族が住んでいました。エイリアンは高度に発展した文明や科学技術を持っていましたが、性格はとても穏やかで自然を愛し、地球を大切にするエコな暮らしをしていたため、地球を創造した神々もエイリアン達には好意的で、互いに意思を疎通し友好的な協力関係を持って暮らしてきました。そんな中、人類が誕生しました。人類は争いを好む凶暴な生き物で、自分本位に他の生き物を殺して食し、自然を破壊していきました。人類は自分達の生活圏を広げるために世界中に歩みを広げ、やがてエイリアン達の住む地域にも浸食してきました。戦闘種族ではないエイリアン達は、あっという間に人類に力で駆逐され、その数を減れされ続けました。地球や自分達にとって有益な種族に絶滅されては困ると考えた神は、神の力とエイリアン達の高度な文明技術を使ってエイリアン達を月の裏側にワープさせて避難させた上で、地球に大洪水を起こして、エイリアン達の文明の中枢であったアトランティス大陸とムー大陸を海の底に沈め、神自らも海に沈んだムー大陸の中に身を隠し地球と人間の行く末を見続ける事にしました。もし、エイリアン達の高度に発展した文明の力が野蛮な人間に利用されてしまったら、地球は壊滅してしまう恐れがあったため、アトランティスとムーは人間が到達出来ない海底に沈めてしまう必要があったからです。

それから現代まで長い年月が過ぎ、人類も進化を遂げ、科学技術も急速に発展したと同時に地球への環境破壊も目に余る程になっていました。

かつて暮らしを共にしてきた地球の神が人間によって傷つけられ苦しめられている姿を見続けてきたエイリアン達は、地球の神を救い、地球を取り戻し、かつての美しい地球に再生して、かつてのように地球で神と穏やかな暮らしをしたい、いや、そうすべきだと考えるようになり、強力な戦闘型のUFOなどを大量に製造していました。

そしてゲームの序盤のシーン、1999年の7の月、世界各国の都市上空に無数の巨大UFOが突如飛来して一斉砲撃、主要な都市はほぼ全て壊滅してしまいます。

一方でエイリアン達は地球にエイリアンを繁殖させるために人間の女性を拉致して肉体を改造して、大量にエイリアンを産み続けるマザーエイリアンを作って地球に放つ。

最終的にマザーエイリアンは主人公の母親だったと発覚。主人公は、これまで倒してきたザコ敵は全て自分の弟や妹にあたる存在だったと知りショックを受ける。そして主人公と対面したマザーエイリアンとなった母親は「早く殺して」と主人公に言い、主人公は母を殺さなければエイリアンの増殖を止められない状況を察してマザーエイリアンを殺す。

地球上のエイリアンを撲滅し、エイリアン達の現在の故郷である月の裏まで行ってみると、地球に行った夫や親の帰りを待つエイリアン達が穏やかに暮らしている町があった。しかし、主人公達には母や妻子を殺された恨みがあり、穏やかに暮らしているエイリアン達を町ごと爆破して根絶する。

ただ、美しい地球を取り戻して穏やかな暮らしを取り戻したいと願う種族を個人の恨みのためだけに撲滅ししてしまうという展開、どちらが正義なのか分からなくなってくる。

かつての好意的な共存者であったエイリアン達を絶滅させてしまった人間の行動に対し、地球の神が怒り、今度は神が人間に制裁を加え始める。

そこで主人公達は、かつてエイリアン達が築いた文明の力を世界各国を探し回って次々に呼び起こし、神に挑む事になる。

浮上したムー大陸で神を倒した後は2択のマルチエンディング。

一択は、神をも超える力を持った今、自分達が神となり、この世界を正しい道に導いて行けば良いだろうといった感じ。

もう一択は、主人公達全員が凡人としてエイリアン襲来以前の生活に戻り、神のいない世界で誰か他の人間が作っていく時代の流れに身を任せて生きていこうといった感じ。

本筋のストーリーは大体こんな感じです。

システムは全体的に旧世代のRPGと同等で、買い物もまとめ買いが出来ないなど、全体的にノロい印象。ステータスも荒削りで、最初40前後しか無いHP、MPがレベル99でそれぞれ9999まで上昇するのでレベルが1つ違うだけで、攻略難易度が激変する。それでもHPMPの急上昇を調整するためか、レベル98でHP6500くらいまでしか上昇しないのにレベル99になると『最大HP 3497 UP』なんて表示が出て、ピッタリ9999に帳尻を合わせてくる。荒いというか、もうレベル99までやり込んだらどうでもいいや的な、投げやりな調整が見てとれる。

ただ一つ良い点として、『チャクラ』というアビリティをステータスに付けられるところ。これはFF6のアクセサリーとほぼ同じシステムで、7つある『チャクラ』というアクセサリーみたいな物(気?)のうち1つを身につける事が出来て、それぞれのチャクラには歩いているだけでHPが回復したり、力や防御力が+5とか、先制攻撃率が上がったりだとかの効果が付く。また、チャクラにも熟練度のような7段階のレベルがあり、レベルが上がるほど付随効果が強力になってくる。後半になるとチャクラを2つ装備でき、7つのうちの2つの組み合わせによって新たな強力な効果、2回攻撃、獲得経験値2倍などが付く。FF6のような膨大な数のアクセサリーでアイテム欄が詰まるより、7つのチャクラに7段階のレベルと組み合わせで付加効果をまとめたアイディアは評価できる。

ただ、チャクラ2つ装備の中にはゲームバランスを崩すような強力な付加効果を持つ物が幾つかあり、更に良くないのは開発サイドが、その超強力付加効果を当然使うだろうと見越して終盤の戦闘バランスとっているため、それらの強力チャクラを付けないと敵が強すぎて先に進めなくなったりする。逆に全員が2回攻撃などにしてしまうとボスでさえ全員たたかうの一択で2ターンで倒せてしまったりと、自分で強さを調節しないと戦闘に面白味が無くなってしまう。

問題点を挙げたらきりがないゲームではあるが、ストーリーは面白い。最後までやってみる価値はあると思う。

最後に、このゲームの音楽、デーモン小暮閣下が作った事でも有名ですが、まともに聴けるのは1、2曲です。あとの全ての曲はSFCのゲームの中でも最低だと思います。聴いていてこっちが恥ずかしくなるような曲も多数あり、せっかくストーリーが良いゲームのイメージを著しく悪化させています。

わりと良いゲームだと感じました。

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― 新着の感想 ―
買い物もまとめ買いが出来ない→購入物を選んでいるときに 右で個数を増やせます。 前回選択位置記憶機能も無い→起動時の設定でいじれます。まぁ、たたかうを選んだ時の前回のコマンドの位置だけやけど。オートは…
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