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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦

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ギリエニア共和国の崩壊まで六

 ガイデア神殿の鍵にはガイデア神殿の鍵とは別のもう一つの機能として、次元すらも容易に破壊するほどの超強力な破壊兵器に変形するというものだ。


 この破壊兵器はギリエニア共和国の王族に伝わる伝承では一度も使用されたこという記述はないのだが、この伝承には鍵が変形した破壊兵器についての詳細な記述が残されていた。


 その詳細によると、ガイデア神殿の鍵にある特定の場所の小さな立方体を順番に押していくことで破壊兵器に変形するとのことである。


 この破壊兵器の見た目は砲台の砲身の部分のような筒状になっており、筒の真ん中は空洞になっていて、筒の中からは青色の光が外へと漏れ出している。


 そして、この破壊兵器は撃つためには大量の魔力が必要であるのだが、破壊兵器に込める魔力量が多くなればなるほど、その威力が高まっていき、最終的には次元すらも破壊できるほどの威力に昇華する。


 伝承の記述によると、最低威力の砲撃であったとしてもアルミナ族が最低でも1000人は必要であり、次元を破壊するほどの威力を出すにはギリエニア共和国の半分ほどの人口の魔力が必要になる。


 それに加え、この破壊兵器には砲手を守るような機能などはついていないので、次元を破壊するほどの威力を出してしまうと破壊兵器を撃った者まで巻き込んでしまうため、威力の調節には気をつけなければならない。


 だが、威力さえ間違わなければ、この破壊兵器はとてつもない代物であり、この破壊兵器によって焦土へと変えられた土地は生命を育む基盤が全て消し飛んでしまうため、生命が育まれる土地へと戻るまでに最低でも1億年はかかるとされる。


 伝承に残っている情報だけ見れば、この破壊兵器は敵国との戦争で使用されていてもおかしくないほどの代物であるのだが、先ほども言った通りこの破壊兵器は一度も使用されたことがない。


 それには伝承に記されていないこの破壊兵器を使用する際に発生するデメリットに理由があった。


 それは破壊兵器に魔力を送った者はその送った魔力量に関係なく、破壊兵器に生命力を奪われてしまい、命を落としてしまうことだ。


 実は破壊兵器のエネルギーとなる物の大部分が魔力ではなく、生命力であり、破壊兵器に魔力を注いでいるのではなく、魔力を経由して生命力を吸っているのだ。


 そのため、この破壊兵器を使用する度に多くの民が犠牲になってしまうので、ガイデア神殿の鍵に備えられている破壊兵器としての機能を使用しないことが王家に伝わる暗黙の了解である。


 それならば、何故この破壊兵器のエネルギーの元となるものが生命力であることが伝承として紡がれてきていないのかと不思議に思うかもしれないが、実は途中までは伝承として紡がれていた。


 しかし、ギリエニア王国の何代目かの王がこの伝承を改竄し、破壊兵器のエネルギーとして使用されるのは魔力だけとされ、後の時代に破壊兵器のエネルギーとして生命力が使用されるということは言い伝えられなかった。


 何故、この王が破壊兵器にまつわる伝承を改竄したのかは不明であるが、何かしらの目的があって行ったことは間違いないだろう。


 なので、王族であるナタリアでもこの鍵が変形した破壊兵器のエネルギーに生命力が使われるという事実は知っておらず、彼女の父である現国王もこの事実を知らない。


 そんなガイデア神殿の鍵が変形した破壊兵器の真実を知らないナタリアであったのだが、それでも鍵の兵器は大地を生命が育めない土地へと変える恐ろしい物であることは知っているので、黒と白の毛が混じる男性にこの鍵を素直に渡すことは出来なかった。


 そうして、ナタリアが鍵の扱いについて頭を悩ませていると、


男「おいおい、たかが鍵だぞ?そんなに悩む必要があるのか?確かに、始源の巨人に俺と合わせるのは危険だと考えるのも仕方ないと思うが、別に今のお前らには始源の巨人との関わりがないだろ?だから、お前らがあんまり気にすることはないと思うんだが?」


 黒と白の毛が混じる男性がナタリアにガイデア神殿の鍵を渡すことをそんなに渋る理由があるのかと不思議そうに質問したのだった。


 どうやら、この男性はナタリアがガイデア神殿の鍵を渡すことを渋っている理由が始源の巨人に自分と会わせることを警戒しているのだと勘違いしているようであった。


 確かに、始源の巨人がガイデア神殿で深い眠りについているため、彼が言うようにナタリアたち現代を生きる巨人族は始源の巨人との関わりは皆無であり、彼が始源の巨人と会うことへの抵抗はない。


 だが、そのことを素直に話してしまえば、ナタリアがガイデア神殿の鍵を渋っている理由が別にあることがバレてしまい、この男性からその理由を問い詰められてしまうだろう。


 この男性の素振りから、ガイデア神殿の鍵が破壊兵器に変形することを知らない可能性があるため、ここでこの情報が彼にバレてしまうのは流石にまずいとナタリアは考えた。


 そして、彼に理由を問い詰められてしまえば、ナタリアはガイデア神殿の鍵についての情報を話さなくてはならない状況に陥ってしまうため、何とか誤魔化せないかと思考を巡らせた。


 そうして、思考を巡らせた果てに考えついた答えというものは、


ナ「私はまだ王位継承を行なっていないので、ここで貴方にガイデア神殿の鍵を渡すことを決められません。すみませんが、答えを出すのは現国王である父の判断を仰いでからでも構いませんか?」


 この話を一度、保留にすることだった。



 




 


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