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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦
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ワカティナ防衛作戦(創視点)百二十ニ

 黒騎士の巨人は頭上から金属同士が擦れるような音が聞こえてきたので、嫌な予感がしながらもゆっくりと顔を音の聞こえてきた方向へ向けたのだった。 


 そして、顔を真上へ向けた黒騎士の巨人は視界の中に入ってきたものに言葉を失った。


 彼の視界に入ってきたものとは、超巨大な漆黒の刃であった。


 超巨大な漆黒の刃の大きさはちょうど黒騎士の巨人のことを挟み込んでいる二本の柱の間の距離と同等であり、漆黒の刃は二本の柱と接触しているため、漆黒の刃が黒騎士の巨人に向けて降下するごとに柱と擦れて不快な金属音を放ち、火花を散らしていた。


 火花を散らしながら降下している超巨大な漆黒の刃の速度も恐ろしいほど速く、先ほどまでは目で見えるかどうかの遥か上空にあったと言うのに、一度瞬きをした次の瞬間には目視ではっきりと分かる位置にまで近づいていた。


 超巨大な漆黒の刃がはっきりとその姿を目視できる位置まで近づいてきたので、黒騎士の巨人はこの漆黒の刃がどうなっているのかを確認してみると、この漆黒の刃は真っ直ぐになっているのではなく、刃の形は右斜めになっている。


 その特殊な形の刃に黒騎士の巨人は見覚えがあった。


 それはギロチンである。


 今自分へ向けて目にも留まらぬ速さで降下してきている漆黒の刃がギロチンの刃と同じ形をしていることに気づいた黒騎士の巨人は現在自分が刃が降りてくる位置に縛られていることに加え、二本の柱の間を勢い良く降下しているギロチンの刃から、自分がいる場所が超巨大な断頭台であることにも気づいたのだった。


 龍滅剣技 三式 龍滅断頭斬りゅうめつだんとうざんーーー


 龍滅剣技とは、龍騎兵団(ドラグーン・ナイツ)で使用されている対龍戦を想定した剣術である。


 ついでに、龍騎兵団の説明も行おう。


 龍騎兵団とは、神国アヴァロンが誕生するよりも遥か昔、世界の最初期の時代である混沌の時代にいたとされる龍と契約を交わした者たちのみで構成されている騎士団である。


 龍騎兵団は混沌の時代に存在したどの国にも所属しておらず、彼らの目的は世界に平和をもたらすことではなく、世界の均衡を保つことであり、彼らは契約を交わした龍たちと共に数多の戦場を駆け巡った。


 龍騎兵団は時に数多の侵略戦争を行い、侵略した国々を重税により苦しめていたその時代最強の軍事力を保持した帝国を一夜にして滅ぼし、侵略された国々を帝国の手から解放した。


 時に、龍騎兵団は大きな軍事力を保持しているにも関わらず、他の国に侵略戦争を仕掛けることはなく、貧しい国や他国に侵略戦争を仕掛けられている同盟国の救援を行うなど、思いやりのある素晴らしい王国を帝国のように躊躇なく滅ぼした。


 龍騎兵団は決して正義の味方などではなく、世界の調停者である。


 そのため、彼らは善悪の基準で救う者や破滅させる者を選んでなどおらず、彼らの判断基準はその者の存在が世界の均衡を崩しているのか、いないのかで選んでいる。


 そして、一夜でその時代の最強の軍事力を保持する国を滅ぼした点から分かるように、龍騎兵団は大きな力を持っており、伝承によると、龍騎兵団に所属している者たちの大多数が一人で世界を滅亡させられる力を持っているのだという。


 世界を滅亡させられるほどの力は騎士単体での力であるのか、龍たちと契約したことで得られる力も合わさっているのかは不明であるのだが、龍たちの力込みだとしてもその脅威は変わらないだろう。


 ちなみに、龍騎兵団の騎士たちが契約している龍たちは伝承にも記載されていないため、彼らが契約している龍たちは不明である。


 ここで、龍滅剣技の話に戻るのだが、龍と共に戦場を駆け巡っていた龍騎兵団が何故、対龍戦を想定した剣技である龍滅剣技を使用していたのかは時代背景に関係があった。


 現代の龍たちは神族に対して基本的には無干渉か、良き隣人として交流を深めている者たちがほとんどなのだが、混沌の時代の龍たちのほとんどが神族と敵対しており、ことあるごとに神族と争い合っていた。


 混沌の時代の龍たちがなぜ、神族と敵対していたのかは伝承にも記されていないため、不明ではあるが、世界の代弁者たる龍たちが神族と敵対するのにはそれ相応の理由があったのであろう。


 そして、混沌の時代の神族たちは数多の種族をまとめ上げる代表であったために、神族と敵対していた龍たちはほとんどの種族と敵対することになり、彼女たちは孤立していた。


 だが、最強生物として名高い龍種はたとえ孤立し、数多の種族と敵対していたところで絶大な力を持っているため、敵対したところで逆に返り討ちにされていた。


 そんな数多の生物と争いを続けているような時代であったために、龍たちの中で他の生物と契約する機会など訪れるわけもなく、混沌の時代において他の生物と契約した龍は異端とされ、排除対象にされていた。


 龍騎兵団に所属していた龍たちも例外ではなく、混沌の時代の龍たちに命を狙われており、龍騎兵団に所属していた騎士たちは己の相棒であり、大切な存在である契約した龍たちを守るために龍滅剣技を編み出したのだと伝えられている。


 なぜ、創が龍滅剣技を使えているのかは不明であるが。

 


 



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