ワカティナ防衛作戦(創視点)百六
何故なら、巨人たちの住む山脈群の中に入り、調査を行なっている間に巨人たちの住む山脈群は別の場所へと移動してしまうため、調査が終わり、帰ろうとしても元いた次元から遠く離れているので、帰還することが出来なくなってしまう。
ならば、巨人たちの住む山脈群が帰還することの出来る別の次元に近づくまでの間、巨人たちの住む山脈群の中で待っておけば良いのではないかという意見もあると思うが、先ほどの巨人たちの住む山脈群をもう一度思い出してみて欲しい。
巨人たちの住む山脈群にある山々は普通では考えられない超常的な気候を有していることが多く、その気候は生物たちが住むには適しておらず、場所によっては数秒間いるだけで死に至ってしまうほど危険な気候を持つ山もある。
それほどまで危険な土地に加え、巨人たちの住む山脈群は不規則な軌道かつ速度で移動しているため、巨人たちの住む山脈群がいつ次の次元に近づくのかは不明であり、今までの観測ペースから考えると、巨人たちの住む山脈群に長期間滞在する必要があるのは明白である。
それほどまで危険な土地に長期間滞在することは創などの馬鹿げた能力を持つ者たち以外では難しく、調査団は基本的に一般的な力の者たちで構成されているため、ほとんどの場合、巨人たちの住む山脈群に送り込まれた調査団は壊滅し、神界に帰還することは出来ないだろう。
それなら創のような馬鹿げた力を持つ者たちのみで構成すれば、巨人たちの住む山脈群の調査も出来るのではないかと思うかも知れないが、第一に創のような馬鹿げた力を持つ者がほとんど存在していないのに加え、創のような馬鹿げた力を持っている者たちは別の特別な任務が任されていることが多く、基本的に長期間の調査などには同行できない。
そのため、巨人たちの住む山脈群の調査は神国アヴァロンでは行われてはおらず、基本的に巨人たちの住む山脈群から来た巨人たちに情報を提供してもらうことで、巨人たちの住む山脈群の情報を更新していっている。
まあ、巨人たちの住む山脈群から来た巨人から情報を提供してもらっていると言っても巨人たちの住む山脈群から神界などに巨人たちが来ることは基本的になく、滅多な理由や変わり者の巨人でなければ、ほとんどの場合、巨人たちの住む山脈群でその生涯を終えることが多い。
そして、神国アヴァロンに巨人たちの住む山脈群から来たとされる巨人を最後に観測したのは今から3000万年前のことであり、その3000万年前から来た巨人から伝えられた情報から一度もアップデートされていないため、今神国アヴァロンにある巨人たちの住む山脈群にまつわるデータはあまり信用できない。
ちなみに、3000万年前に巨人たちの住む山脈群から神界にわざわざ来た理由をその巨人に聞いたところ、巨人たちの住む山脈群は住み心地が悪いのに加え、各山に住む巨人族が常に争っていたため、戦いがあまり好きではなかったその巨人は巨人たちの住む山脈群に嫌気がさし、神界に来たとのことであった。
巨人たちの住む山脈群に嫌気がさして神界に来たその巨人は現在でも神国アヴァロンの国内に住んでおり、今は神界でも有名なとある鍛冶屋に弟子入りをした際に身につけた鍛治スキルで自分の鍛冶屋を開いており、平和に暮らしている。
ここで話は戻るが、黒騎士の巨人の出身地とされるミガニヤ山脈は巨人たちの住む山脈群の中でも中心地であるガイデア山の近くにある山脈であり、ガイデア山から数えて三つ目に当たる位置にある。
黒騎士の巨人の故郷であるミガニヤ山脈は中心であるガイデア山の近くにあると言う点からミガニヤ山脈も何かしらの生存不可能に近い超常的な気候を有していると思われるのだが、ミガニヤ山脈はガイデア山付近にしては珍しい気候が荒れていない地域である。
ミガニヤ山脈は気候が荒れていない代わりに特殊な金属や貴重な宝石などの原産地であるのに加え、ミガニヤ山脈は気候が荒れていない点から他の山々よりも自然が豊かであり、農業や畜産にも適している土地だ。
そのため、資源が豊かであるミガニヤ山脈は太古からその潤沢な資源や生物が住むのに最適な環境に目をつけた他の山々に住む巨人族から侵攻を受けている。
そして、他の山々から攻めてくる巨人族や潤沢な鉱山資源を主食とした食生活など様々な要因が重なることで、巨人たちの住む山脈群に住む巨人族の中でも最強と呼ばれるアルミス族が誕生したのだった。