ワカティナ防衛作戦(創視点)百五
そうして、サイコパス創はロンギヌスからのアドバイスである人に恨まれるようなことを行うことをなるべく控えるようにすれば良いのでは無いかと提案されたのに、これからは生き残りが出ないよう徹底的に行おうとロンギヌスとの提案を完全に無視した思考に至っていた。
ロンギヌスの思惑とは真逆の結果に至ってしまった今回の提案であったのだが、創にとっては生き残りを許してしまったと言う爪の甘さに気付かされる良い機会となり、創は自分の爪の甘さを気づかさせてくれたロンギヌスに心の底から感謝したのだった。
ちなみに、二人のやり取りを聞いていた龍狩りの大剣はそんなに恨まれるようなことをしているかなと創との思い出を振り返ってみたのだが、彼女は基本的に龍との戦闘がメインであったため、あまり残酷な場面に出くわすことがなく、ロンギヌスの言っていることに共感することが出来なかった。
だが、ロンギヌスの意見に共感できていないのは龍狩りの大剣だけであり、ロンギヌスの意見に創も共感している様子であったため、龍狩りの大剣は自分だけ共感できていないのはまずいと思い、いかにも自分も同意見ですと言う雰囲気を出していた。
そうして、創がロンギヌスの意見に共感し、今度からは自分に復讐を誓うほどの恨みを持つ者たちが現れないように悪逆非道なことをする際には生き残りが出ないよう徹底的に行おうとロンギヌスの思惑とは全く別の思考に至ると同時に黒騎士の巨人が口を開いた。
黒『俺はかつて巨人たちの住む山脈群のミガニヤ山脈で栄華を極め、巨人族の中でアルミス族と呼ばれる巨人たちを中心に形成された難攻不落の城塞国家であるギリエニア共和国出身だ』
黒騎士の巨人は自分の出身地は巨人たちの住む山脈群の中にある山脈のうちミガニヤ山脈で栄華を極めたとされるアルミス族を中心とした城塞国家ギリエニア共和国であることを創に伝えた。
この巨人たちの住む山脈群はその名の通りたくさんの山脈が連なる土地であり、巨人たちの住む山脈群に連なる山脈の数は百を優に超えており、その連なる山々はどれも神界にある山とは比較にならないほど巨大である。
この土地は百を優に超える山脈が連なる土地であるという点から分かるように、巨人たちの住む山脈群は高低差がとても激しい土地であり、この巨人たちの住む山脈群に連ねる山々は普通の山では考えられない様々な超常的な気候をしているとされ、普通の生物では到底生き残ることが出来ない土地と伝説ではそうされている。
実際、その伝説通り巨人たちの住む山脈群に連ねる山々の多くは超常的な気候を有しており、その土地に適応していなければ、数秒間いるだけで死に至ってしまうほど危険な山も存在している。
この巨人たちの住む山脈群にある山々の中で特に危険とされる超常的な気候を有している山の多くは中心近くに存在しており、一つ例を挙げるとすれば、山脈全てが神でさえ一呼吸してしまえば死に至る猛毒で覆われているなど、生物が住むにはあまりにも適していないものが多い。
だが、あくまで神界や人界など比較的安全かつ緑豊かな地域に住む生物にとっての生きるのには適していないだけであり、この巨人たちの住む山脈群に最初から住む生物達はその土地に合わせて進化を遂げているため、これほどまで危険な土地であっても植物だけでなく、動物もたくさん生息している。
そして、この巨人たちの住む山脈群と呼ばれる地は巨人族たちの生誕したと伝えられている巨人族の起源にまつわる土地であり、伝説では巨人たちの住む山脈群に最初の巨人が世界から産み落とされたとされている。
この最初に世界から産み落とされた巨人は始源の巨人と呼ばれており、この始源の巨人が世界から産み落とされたとされる山は巨人たちの住む山脈群の中心にあるこの山脈群で最も標高が高く、頂上に到達した者は存在しないとされるガイデア山であり、その頂上に産み落とされたとされている。
この始源の巨人はガイデア山の頂上に産み落とされた後、己の分身体を創造し、その原初の巨人の分身たちがガイデア山から巨人たちの住む山脈群にある様々な超常的な気候を持つ山々に降り立ち、その降り立った山々の気候に対応した姿へと進化した者たちが現在の巨人族であるとのことだ。
この伝説から分かるように、巨人たちの住む山脈群にある山々にはそれぞれの気候に対応した姿へと進化した巨人たちが住んでおり、巨人たちの住む山脈群に住まう巨人たちは己が適応した山に国を作ったのだった。
ちなみに、巨人たちの住む山脈群は根源の中を不規則な進路かつ速度で進み続けているため、正確な場所を特定することは難しく、基本的に巨人たちの住む山脈群に行くにはどれかしらの次元に近づいた時に観測することが出来る。
まあ、簡単に例えると彗星みたいなものだ。
この不規則な進路かつ速度で根源の中を自由に移動し続けている巨人たちの住む山脈群のことを観測できたとしても基本的に外から観測するだけで、巨人たちの住む山脈群の中に入り、調査に行くということは行わない。