ワカティナ防衛作戦(創視点)八十八
創「その様子だと、俺が今から何をしようとしているのか気づいたようだな。それじゃあ、今から問題の解答を見せてやろうじゃねぇか」
創はニヤリとした笑みを浮かべたまま自分が今からすることが何なのか気づいたであろうリヴァイアサンに先ほど出した問題の答え合わせをするためにも自分が一体何をしようとしているのかを実際に見せることにした。
そして、リヴァイアサンに自分が一体何をしようとしているのか見せるためにも創は早速、先ほど展開した全てを貫く蒼炎の術式を改造したものにより、生み出した魔法陣の筒を自分の前まで持ってきた。
全てを貫く蒼炎の術式を改造して生み出した魔法陣の筒を自分の前まで持ってきた創は放たれ続けているレーザーを防いでいるため、右腕は使えないので、左掌の上に炎の権能を用いて、炎を生み出したのだった。
創の左掌の上に炎の権能によって生み出された炎は周り一帯を火の海に変えられるほどオーバーパワーな火力のあるものではなく、強さで言うとせいぜい小さな焚き火で生み出された炎と同程度か、それ以下のものであった。
能力の半分以上も解放している創が炎の権能によって生み出した炎にしてはあまりにも小さ過ぎる炎であったのだが、創が今から実行しようとしていることに気づいているリヴァイアサンからすると、彼が生み出した炎はあまりにも大きく感じた。
炎の権能で自分の左掌の上に炎を生み出した創はその左掌の上でメラメラと燃えている炎を先ほど自分の前まで持ってきた全てを貫く蒼炎の術式を改造したもので作った魔法陣の筒の中へゆっくりと入れた。
その瞬間、魔法陣の筒が何かに反応したかのように言葉では表現できないような爆音を轟かせ、強力な衝撃波を何度も発生させることで、周りの砂を巻き上げ、砂煙を起こしながら青白く輝き始めた。
あまりにも衝撃波が強烈であったため、先ほどまで創の真横に立っていたリヴァイアサンは魔法陣の筒が放つ強烈な衝撃波によって、少しずつ後方へ押されて行き、今は創の斜め後ろの位置まで押されてしまっていた。
そして、魔法陣の筒からは強烈な衝撃波や言葉では表現できない轟音だけではなく、魔法陣からは起動し続けるために創から常時送られ続けている膨大な魔力が溢れ出しており、魔法陣の筒の周りの空間は高密度の魔力によって、空間が歪み始め出した。
その魔法陣の筒から溢れ出している魔力の密度は異常であり、源流脈に流れている魔力の数倍以上の魔力密度を誇っており、あまりにも密度が濃いことから、リヴァイアサンは流石にやり過ぎではないかと思い始めた。
リヴァイアサンの言う通り、創は魔法陣の筒に流れている魔力は必要以上に流しており、あまりの魔力量に魔法陣の筒からは魔力と空気が擦れることで発生した膨大な電気が雷となり、魔法陣の筒の周りを駆け巡っている。
その異常なほど魔力密度の濃い創の魔力は術式を起動させようと、魔法陣の筒を形成している膨大な数の魔法陣一つ一つ順番に思考の速度で流れており、あまりの速さにリヴァイアサンは追いかけるので精一杯であった。
まあ、思考の速度で術式に魔力を流し続けている創が化け物であることは確かであるが、その思考の速度で術式に流れている魔力を普通に追えている時点でリヴァイアサンも相当や化け物である。
魔法陣の筒は膨大な数の魔法陣によって、形成されているとは言え、その魔法陣には思考の速度と同程度の速度で創から流し込まれているため、形成されている膨大な魔法陣の全てに魔力が流し込まれるまでにかかる時間はほんの僅かであった。
そうして、魔法陣の筒を形成している膨大な数の魔法陣の全てに魔力が行き渡った時、魔法陣の筒からは更に強力になった衝撃波と青白い光が溢れ始め、魔法陣の筒から溢れ出す光があまりの明るかったので、リヴァイアサンは耐えられずに目を細めた。
先ほどまででも恐ろしいほどの威力があった衝撃波も更に強力になってしまったために、リヴァイアサンは先ほどよりも衝撃波に体が持っていかれないように足に力を入れ、何とか吹き飛ばされないようにするので必死であった。
そのようにリヴァイアサンが衝撃波に何とか吹き飛ばされないように耐えていると、いきなり魔法陣の筒から放たれていた衝撃波が止み、魔法陣の筒から溢れ出していた光も収まった。
いきなりの出来事にリヴァイアサンは理解が追いつかずに固まってしまっていると、創は魔法陣の筒を動かし、自分たちに向けて放たれているレーザーの丁度中心部分である場所まで持っていった。
レーザーの中心部分まで動かされた魔法陣の筒を見てみると、先ほどまでは数多の術式によって構成されていた魔法陣たちが集まって出来ていた魔法陣の筒であったのだが、中心部分に動かされた魔法陣の筒はまるで、青白い砲台のようになっており、先ほどまでの文字がびっしりと刻まれていたものとは全くの別物であった。
そんな先ほどまでとは見た目まで違う魔法陣の筒にリヴァイアサンが見惚れていると、
創「全てを貫く蒼炎・改ーーー」
創がそう呟くと同時に青白い砲台からは想像が出来ないほどの超極太ビームが放たれたのだった。




