ワカティナ防衛作戦(ヘルム視点)十二
そうして、人型へと変わった黒滅龍レイルアルマのことを包んでいた光から現れた絶世の美女に目の前にいたヘルムだけではなく、少し遠くにいたアルベルトたちも釘付けになった。
その絶世の美女は黒滅龍レイルアルマの鱗と同じ美しく艶のある黒色の髪をしており、その美しい黒色の髪は彼女の腰の辺りまで伸びている。
この絶世の美女はその美しい黒色の髪を結んではおらず、髪型はいわゆるロングストレートと呼ばれるものである。
この絶世の美女の目はルビーのように美しい赤色をしており、彼女の目を眺めていると、その美しさから釘付けになってしまうだろう。
そして、この絶世の美女の身長は175センチと少し高めであり、スタイルも出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる完璧であり、この場にいるのがほとんど男性であったので、セントを除く全ての男性の視線は自然と彼女の大きな二つの双丘へと向かっていった。
ヘルムが自然とその絶世の美女の大きな二つの双丘の方へ視線が動きそうになった時、彼の肩に乗っていたベルヘイムがヘルムが目の前にいる絶世の美女の二つの双丘に目がいきそうになっていることに気づいた。
そのことに気づいたベルヘイムは直ぐに目の前にいる絶世の美女の双丘に目がいきそうになっているヘルムの顔面をその可愛い手からは想像できないほどの力で掴み、自分の方へヘルムの顔を向けたのだった。
いきなり自分の顔を物凄い力で掴まれたと思った次の瞬間、頭を捻じ切らんとするほどの力でベルヘイムの方へ顔を無理矢理向けられたヘルムは自分の目の前にいるベルヘイムの顔へと自然と意識が向いた。
ベルヘイムの顔に自然と意識を向けたヘルムは彼女の表情を見た瞬間、甲冑の中でニヤニヤしていたヘルムの表情が一瞬で凍りついた。
何故なら、ヘルムの視線の先には夫婦生活の中で一度も見たことがないほどの鬼の形相を浮かべているベルヘイムが目の前にいたからだ。
ヘルムが鬼の形相を浮かべているベルヘイムに怯んでいると、
ベ「ねえ?ヘルム?今どこを眺めようとしてたの?私に分かるように教えてくれる?」
ベルヘイムは鬼の形相を浮かべたままヘルムに一体どこを見ようとしていたのかを質問すると、そのヘルムに対する怒りからなのか、更にヘルムの顔を掴む手の力が上がった。
ヘルムの顔を掴む手の力が上がったことにより、ヘルムが被っている甲冑はミシミシと、王直属部隊特注の高い防御力を持つ甲冑からは聞こえないような金属が軋んでいく音が聞こえてきたのであった。
自分が被っている甲冑から金属の軋む音が聞こえてきたヘルムは自分の顔を掴んでいるベルヘイムが相当自分が黒髪美女に見惚れていたことに怒っていることが分かった。
なので、ヘルムは目の前に現れた黒髪美女のことよりも先に絶賛お怒り中のベルヘイムの機嫌を何としてでも直してもらうために行動を開始したのだった。
ベルヘイムに機嫌を直してもらうためにヘルムはまず、自分の顔をその見た目から想像できないほどの怪力で掴んでいるベルヘイムのことを無理矢理引き剥がしたのだった。
ヘルムに無理矢理引き剥がされてしまったベルヘイムはその怒りから、ヘルムの手から逃れようと翼や両手足をバタバタ暴れさせ始めたのだった。
しかし、ベルヘイムが一生懸命ヘルムの手から逃れようと暴れたところで、今のベルヘイムは小さいのに加え、本来の力よりも大きく落ちてしまっているため、本体ではないヘルムの力を持ってしても取り押さえられる。
そうして、ヘルムに取り押さえられてしまったベルヘイムはしばらくの間は抵抗していたのだが、少し時間が経つと暴れているのが疲れてしまったのか、ヘルムの手の中で大人しくなった。
ベルヘイムが大人しくなったことを確認したヘルムは彼女のことを持ち上げ、自分の顔の前にまで近づけたのだった。
ベルヘイムのことを持ち上げて彼女の顔を見てみると、ベルヘイムはシュンとした悲しそうな表情を浮かべており、今にも泣きそうなウルウルした目をヘルムの方へ向けていた。
そんな今にも泣きそうな表情を浮かべているベルヘイムにヘルムは声をかけた。
へ「なあ、ベルヘイム。お前が俺に怒っている理由も気持ちも理解できる。確かに自分で振り返ってみても俺はベルヘイムのことを裏切るような最低な行為をしていたなと思う」
ヘルムは今にも泣き出しそうな表情を浮かべているベルヘイムに先ほど自分が黒髪美女の大きな双丘をガン見しようとしていたことは最低な行為であると認めた。
そして、ベルヘイムがその自分の最低な行為にとても怒っている気持ちも理由も理解できることをヘルムは伝えたのだった。
ヘルムが自分に非があることを認めたことを伝えられたベルヘイムは先ほどまで今にも泣き出しそうな表情を浮かべていたのが一変し、ヘルムが自分の行いを反省してくれるのではないかと期待に満ち溢れた表情を浮かべていた。
そうして、ベルヘイムがヘルムに期待の視線を向けていると、
へ「だけどな、ベルヘイム......俺も他の奴らと一緒で男の子なんだ。だからな、ベルヘイム......目の前に絶景が広がっていたのなら、その景色に釘付けになってしまうのもーーー」
ヘルムが戯言を最後まで言い切る前にヘルムに掴まれていたベルヘイムは何とかして彼の拘束から抜け出し、ヘルムの顔面に向けて本気でパンチを繰り出した。
ベルヘイムからパンチを繰り出されたヘルムは予想外の攻撃であったために避けることも出来ず、顔面にモロに食らってしまったのだった。
そして、ベルヘイムのパンチを顔面に食らったヘルムであったのだが、そのパンチの勢いから首が右へ少し曲がってしまったのだが、吹き飛ばされることはもちろん、あまりダメージを食らっている様子はなかった。
一方、ヘルムにパンチを繰り出したベルヘイムの方はヘルムのことを殴った右手が赤く腫れ上がっており、涙をポツポツ流しながら自分の真っ赤に腫れ上がった手を動かさないようにもがき苦しんでいた。
そんなあまりの痛みに泣き出してしまったベルヘイムのことを殴られたヘルムは優しく抱き上げると、彼女の真っ赤に腫れ上がった右手を治癒の魔術で治してあげたのだった。
そうして、ヘルムがベルヘイムの真っ赤に腫れ上がった手を治してあげたことにより、喧嘩をしていた二人は仲直りすることに成功したのだった。




