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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦

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黒滅龍レイルアルマが親になったわけ五十四

 黒滅龍レイルアルマは病院のような施設にある通路をバルクレシスとフィンベルクについて行くように奥へと進んでいると、まだ遠くてよく見えないが、通路の先に大きなドアのようなものが見えた。


 その廊下の先にあるドアのようなものが気になり、黒滅龍レイルアルマは目を凝らしてぼんやりと見えているドアのようなものを見ようと頑張った。


 しかし、廊下の終着点であろう位置にあるドアのようなものとの距離が思った以上に離れていたため、黒滅龍レイルアルマの素の状態の視力ではドアのようなものが何なのか判別することは叶わなかった。


 そのため、黒滅龍レイルアルマは遠見の魔術でも使って確認しようとも思ったのだが、彼女はあまり魔導術は得意ではないため、簡単な遠みの魔術とはいえ、魔力操作をミスしてしまう可能性もある。


 もし、この濃度の濃い自然魔力で満たされている空間で魔導術が暴走してしまった場合、魔導術が周りの自然魔力を巻き込んで想定できないほどの大きな事故になるだろう。


 例えば、周りの自然魔力も魔導術に使用した魔力の暴走に反応するように暴走が連鎖していき、この超技術を持つ古代文明と同程度の技術力で作られた部屋を全て吹き飛ばすほどの大爆発が起こるという可能性もある。


 他にもこの自然魔力の巻き込み暴走により、全く知らない次元や世界につながるワープホールが発生してしまい、黒滅龍レイルアルマたちはそのワープホールに巻き込まれて見ず知らずの土地に飛ばされる可能性など、様々な問題が発生するだろう。


 そんな大ごとになったとしても黒滅龍レイルアルマは責任など取れるわけもなく、責任を取るどころか死亡してしまう可能性の方が生き残る可能性よりも圧倒的に高い。


 それに、黒滅龍レイルアルマだけが爆発に巻き込まれて死亡してしまったり、どこか知らない場所へワープさせられたりするのは自業自得だが、彼女がもし、このような事故を起こした場合は前を歩いているバルクレシスとフィンベルクも当然ながら巻き込まれる。


 黒滅龍レイルアルマは自分の都合のためにバルクレシスとフィンベルクの二人を巻き込むことなど、二人への罪悪感から出来るはずがなかった。


 他にも黒滅龍レイルアルマがこの事故で命を落としてしまったり、どこか知らない土地へワープホールで飛ばされてしまった場合、高確率で大好きな妹であるベルヘイムとは一生のお別れをすることになる。


 そんな大好きなベルヘイムと一生のお別れをすることなど、黒滅龍レイルアルマはもちろん嫌であるため、ベルヘイムとの一生のお別れは絶対に避けるべきことである。


 それに、ただでさえ本来の育ての親である滅戒龍グラン・ガイウスがいないのに加え、育ての親の後継者である黒滅龍レイルアルマまでいなくなってしまった時、ベルヘイムはひどく悲しむことになる。


 これ以上はベルヘイムに悲しい思いをして欲しくない黒滅龍レイルアルマは遠くにぼんやりと見えているドアの事は近づくまで諦めることにし、周りへと視線を向けた。


 周りに視線を向けた黒滅龍レイルアルマの視界には先ほど受付のような場所の前にあった長椅子のようなものが等間隔に壁に接するように設置されており、その椅子と椅子との間には時折どこかへ繋がる扉が設置されていた。


 この扉を見た黒滅龍レイルアルマはこの謎の建物は病院に近い施設だと考察をしていることからこの何処かへ繋がる扉の先には診察室があるのだろうと考察をした。


 廊下にある扉の向こう側には診察室があると考察した黒滅龍レイルアルマは少し扉の向こうが気になって開けようとも思ったのだが、勝手に行動するのは様々な問題が発生した時にまずいと思った。


 例えば、扉の向こう側には何か見てはいけないものがあったり、扉を開けると自動的に防衛装置が起動して襲われるなど、この病院のような空間はまだまだ未知数なところであるため、普通にこんなことが起きてもおかしくない。


 そんな危険を顧みて扉の向こう側に広がる光景を見たいほど好奇心は滅戒龍グラン・ガイウスのことが気になり過ぎている黒滅龍レイルアルマにはあるはずもなかった。


 そのため、黒滅龍レイルアルマは直ぐに廊下の左右に一定間隔で設置されている扉は前を歩いているバルクレシスとフィンベルクに許可を取るまでは絶対に開けないようにした。


 まあ、今は遂に見つかった滅戒龍グラン・ガイウスに会いに行くという大急ぎの要件があるので、この廊下に並んでいる扉を開けることはまずないのだがな。


 そうして、等間隔に設置されている扉を開けるのことを諦めた黒滅龍レイルアルマはこの廊下には他に何か変わったものはないかと視線を動かしたのだが、それと言って変わったものはなかった。


 この廊下には受付前にあった椅子のようなものと診察室に繋がるであろう扉以外には何も設置されておらず、全てのものが等間隔に置かれているせいで、黒滅龍レイルアルマは同じ場所をループしている気分になった。


 ループしている気分になった黒滅龍レイルアルマは一気に自分はちゃんと前に進めているのかと不安な気持ちになったが、ぼんやりと見えているドアのようなものが少しずつぎっくりと見え始めているため、前に進んでいることは確かであった。


 そうして、黒滅龍レイルアルマは不安な思いを心のうちに秘めながらバルクレシスとフィンベルクについて行き、ぼんやりと見えていたドアの目の前にまでやって来たのだった。






 


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