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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦

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ワカティナ防衛作戦(アルベルト視点)十六

 ベルヘイムはその後も黒滅龍レイルアルマがよく使用する技を説明していった。


 黒滅龍レイルアルマは四足歩行であるため、近接戦闘が苦手らしく、基本は息吹による中から遠距離戦を仕掛けてくるそうだ。


 そして、黒滅龍レイルアルマは近距離では己の司る力である破滅の権能を尻尾や前足など何かの媒体に付与して攻撃を仕掛けてくるそうだ。


 一応、黒滅龍レイルアルマは魔導術を使用することが出来るようだが、基本はただ己の体内に流れる赤雷の魔力を槍や剣などの形に変えたり、魔法障壁を展開する程度のものしか使えず、本人曰く「体に流れる魔力量が多すぎて制御が難しいの」とのことである。


 なので、彼女は近づかれてしまった時は全身から魔力の衝撃波を発生させ、その衝撃波に破滅の権能や死の権能を付与して攻撃しているとのことである。


 そして、ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマが使用する能力の中でも最も警戒しなければならない『石化の龍眼』について説明し始めた。


 この石化の龍眼はその名の通り相手を石化させる能力で、彼女の持つ赤黒い単眼が石化の龍眼である。


 石化の龍眼は黒滅龍レイルアルマの単眼に大量の魔力を注ぎ込むことにより開眼され、彼女の視界に入るものを容赦なく石化させる。


 この石化の能力は死の権能とは違い、相手の存在力に影響を受けることもなく石化させることができ、体の周りに強力な防御系統の力を発動していなければ、容赦無く石に変えられてしまう。


 だが、ベルヘイムによると石化の龍眼を使用すると大量の魔力と体力を失うのに加え、次に使用するまで長いインターバルを挟まなければならない。


 更に石化の龍眼を開眼する際には大量の魔力が黒滅龍レイルアルマの単眼に集まるため、相手が龍眼を開眼しようとしているか容易に分かる上に海岸までに時間がかかってしまうので、ベルヘイムによるとアルベルトたちなら対処可能であるとのことだ。


 そして、一通りベルヘイムから黒滅龍レイルアルマのことを聞いたアルベルトたちはクレーターの中心にいる黒滅龍レイルアルマの方に視線を向ける。


 黒滅龍レイルアルマはまだ翼の修復に手こずってしまっているようで、未だに彼女の右翼は治っていない。


 黒滅龍レイルアルマの様子からまだ話し合う時間は充分にあると判断したアルベルトたちは引き続き黒滅龍レイルアルマの対処について話し合いを進めることにした。


ア(さて、ベルヘイムさんから黒滅龍レイルアルマについて色々参考になる情報を教えて貰いましたが、どうします?)


 アルベルトは困ったような声で第十七汎用騎士部隊のメンバーたちに聞いた。


セ(やはり生捕がベストだと思いますよ。黒滅龍レイルアルマは存在力が非常に高い上に根源の味方となれば殺してしまった場合、反動で世界に大きな厄災が降り注ぐ可能性が高そうです)


 セントはアルベルトに黒滅龍レイルアルマを仕留めるのではなく、生捕にすることを提案した。


 この理由はセントが説明している通り黒滅龍レイルアルマは存在力が尋常ではないほど高い。


 そのため、彼女のことを仕留めてしまった場合、反動で世界に大きな厄災が降り注いでしまう。


 それに、ベルヘイムの話を聞く限りでは黒滅龍レイルアルマは悪龍と呼ばれる根源と敵対する龍ではなく、根源の味方の龍であるようだ。


 これらの理由により、黒滅龍レイルアルマは仕留めるのではなく生捕にする方が良いとセントは判断したようだ。


ア(やっぱり生捕にするのが一番ですよね。ですが、今の我々の力だけでは黒滅龍レイルアルマを生捕にすることなどほぼ不可能なんですよね........)


 アルベルトはセントの意見に賛同しつつも黒滅龍レイルアルマを生捕にすることは今の自分たちではほぼ不可能であると言った。


 セントも今の自分たちでは黒滅龍レイルアルマを生捕にすることは難しいと分かっていたようで、「やはり無理ですよね.......」と呟いた。


カ(だがよ、黒滅龍レイルアルマを仕留めるとしても今の俺たちじゃ勝率は良くて1パーセントもないと思うぞ?)


 カーサスは黒滅龍レイルアルマのことを生捕にするのではなく仕留める方向で行こうとした時、今の自分たちでは仕留めるにしても難しいと言った。


 これはヘルムがベルヘイムの力を100パーセント使用した時の勝率であり、ヘルムがベルヘイムの力を100パーセント引き出さなければ黒滅龍レイルアルマに勝つなど夢のまた夢である。


 だが、ヘルムは今の体は分身体であるため、ベルヘイムの力を100パーセント引き出した状態を長い間維持することは出来ないため、実際の勝率はもっと低くなってしまう。


 そうして、アルベルトたちが黒滅龍レイルアルマのことをどうしようかと悩んでいる時、ヘルムはベルヘイムと念話で話していた。


ヘ(やっぱり、ベルヘイム的には自分の姉であるレイルアルマのことを殺したくはないよな)


 ヘルムはベルヘイムにそう問いかけると、ベルヘイムは首を縦に振った。


ベ(うん、なるべくだったらレイルアルマお姉ちゃんのことは殺して欲しくないよ。だけど、ヘルムたちと敵対し続けるのなら殺されてしも仕方ないと思う)


 ベルヘイムは口では黒滅龍レイルアルマがアルベルトたちの手によって仕留められても仕方ないと割り切っているように言ってはいるが、彼女の声はとても悲しそうで、頭では理解できていても心はついてこれていないことは容易に分かった。


 ベルヘイムの悲しい表情や声を聞いたヘルムは何とかして黒滅龍レイルアルマのことを仕留めずに生捕にしたいと考えた。


 ヘルムはベルヘイムから過去に聞いた黒滅龍レイルアルマとの思い出話から何か状況を打破することの出来る情報はないか必死に探した。


 そして、ヘルムはベルヘイムが話していた過去の思い出話からとあることや思い出した時、頭に一つの作戦が閃いたのだった。

 


 

 


 

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