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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦

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ワカティナ防衛作戦(アルベルト視点)十三

 アルベルトたち第十七汎用騎士部隊のメンバーたちはクレーターの中心に佇む黒滅龍レイルアルマがアルベルトたちを睨みつけるだけで動かないので、その隙に黒滅龍レイルアルマに対抗するための作戦を考えることにした。


ア(あ、あ、聞こえてますか?)


 アルベルトは目の前で佇む黒滅龍レイルアルマのことを警戒しながら他のメンバーたちに通信の魔術で話しかけた。


セ(はい、聞こえていますよ)


 アルベルトがちゃんと聞こえているのか質問すると、セントが他のメンバーたちを代表して、通信がしっかり聞こえていることを伝えたのだった。


ア(それなら良かったです。それでは、黒滅龍レイルアルマをどうするのか、決めていきましょうか)


 アルベルトの言葉により、第十七汎用騎士部隊による黒滅龍レイルアルマ対策会議が始まったのだった。


ア(まずは黒滅龍レイルアルマについての情報を教えてくれますか?ベルヘイムさん?)


 アルベルトはヘルムの肩に某ポケットに入るモンスターの主人公の相棒のように乗っているベルヘイムに黒滅龍レイルアルマについての情報を教えて貰えるようにお願いした。


ベ(うん!良いよ!レイルアルマお姉ちゃんはとにかく息吹(ブレス)が凄まじく強いの!レイルアルマお姉ちゃんの本気の息吹は幾つもの次元を一瞬で崩壊させられる程の威力を持っているの!)


 ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマの放つ息吹の威力が凄まじいことをアルベルトたちに嬉々として話した。


 どうやら、ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマのことが大好きらしく、彼女のことを皆に自慢できることが相当嬉しいようだ。


 一方、ベルヘイムから黒滅龍レイルアルマのことを嬉々として話されているアルベルトたちはただただ黒滅龍レイルアルマの強さに絶望していた。


 だが、黒滅龍レイルアルマのことを自慢したいベルヘイムは皆が絶望していることに全く気付いていないようであった。


 そのため、ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマのことをアルベルトたちに嬉々として話し続けた。


ベ(それでね、レイルアルマお姉ちゃんは基本三種類の属性の息吹を使い分けて戦うの。一つ目は範囲は狭いけど射程と威力に優れた破滅の力を宿した息吹だね!この息吹の威力は凄くてね!あのバハムートさんでも受け切ることは不可能だと言われているの!それだけでも恐ろしいのに、この息吹にはおまけとして破滅の力も持ってるから存在力が高くにないとほんの少し触れるだけで何も残らず消滅されられちゃうんだ!)


 ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマの息吹について、まるで自分のことのように誇らしげに語った。


 ベルヘイムによると、黒滅龍レイルアルマは三属性の息吹をメインに扱っているとのことだ。


 そして、その三属性のうち一つである破滅の力を秘めた息吹は範囲が狭い代わりに威力と射程に優れているとのことだ。


 ベルヘイムが話していなかったので、補足しておく。


 黒滅龍レイルアルマの息吹の射程距離の最大値は未だに測定されていないため、詳しいことは分からないが、現在まである記録の中で最長の狙撃距離は次元を三つ超えた先の敵を撃ち抜いたものだ。


 そのことから分かるように、この破滅の息吹からはそう簡単には逃れることは出来ない。


 そして、この破滅の息吹はその名の通り破滅の力を秘めており、ある一定の存在力以下の者たちを容赦なく消滅させることができ、大体の敵は息吹の直撃を回避できても破滅の力によりその者自体の存在が消滅させられてしまう。


 ちなみに、アルベルトたちの存在力は非常に高いため、黒滅龍レイルアルマの破滅の息吹を食らってしまったとしても破滅の力により完全消滅することはない。


 まあ、普通に黒滅龍レイルアルマの破滅の息吹の威力は凄まじいので、ギリギリで回避したところで息吹の余波で大きなダメージを受けてしまうのだが。


 この能力により、黒滅龍レイルアルマに対して能力ではなく、数で対抗するのはとても部が悪い。


 これのせいで、過去にあった龍との大戦争で龍否定の者たちは今まで通り数で押し切ろうとしたのだが、黒滅龍レイルアルマの格好の的になってしまい、壊滅させられてしまった。


 そして、この破滅の息吹の最高記録はこの大戦争中に叩き出された記録で、龍否定派の者たちの増援部隊が黒滅龍レイルアルマのいる次元から三つ離れた次元で待機していたのだが、突如として空間に巨大な穴が開き、そこから黒滅龍レイルアルマの息吹が放たれ、その増援部隊は壊滅した。


 ベルヘイムが黒滅龍レイルアルマの破滅の息吹について嬉々としてアルベルトたちに話すと、彼らは黒滅龍レイルアルマの強さに先ほどよりも絶望しているようであった。


 特にアルベルトとセントは第十七汎用騎士部隊のメンバーの中でも絶望しているらしく、彼らは頭を手で押さえながら「マジかよ.......」と首を横に振っていた。


 一方、他のメンバーたちは黒滅龍レイルアルマの強さに驚きながらも「強過ぎる方が戦い甲斐があって良いぜ」と内心黒滅龍レイルアルマと戦うことを楽しみにている。


 特にヘルムは自分の妻であるベルヘイムよりどれくらい強いのか知らないようで、黒滅龍レイルアルマと戦うことを誰よりも楽しみにしているらしく、彼は甲冑の中で笑みを浮かべていた。


 そうして、第十七汎用騎士部隊のメンバーたちがそれぞれ心の中で色々と思っている中、ベルヘイムは彼らの気持ちなど知らずに黒滅龍レイルアルマについての情報を引き続き話し続けているのだった。

 

 




 


 

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