ワカティナ防衛作戦(優真視点)五
勇者とライネストが特殊個体のアスディルフェンたちを殲滅した後、コントのようなやりとりをしていると全身鎧で身を包んだ三人組が二人の元にやって来た。
そして、勇者とライネストに近づいて来た三人組のうち、二番目に身長が高い細身の男性らしき者が勇者に語りかけて来た。
男「隊長〜こんなところで座って何してるんですか?」
勇「おう、ウルバイズ!敵の殲滅が終わったからライネストと雑談をしていたんだよ。ほら、あっちの方に大量の死体が転がっているだろ?」
勇者は細身の男性ウルバイズに少し自慢げな口調で言った。
勇者にそう言われて後から来たウルバイズたち三人組は勇者の指す方へ視線を向けるとそこには大量の特殊個体のアスディルフェンたちの死体が転がっていた。
ウ「本当に死体しかころかっていないみたいすっね。これじゃあ、俺たちが来た意味がないじゃないですか。俺たちがここまで来た労力を返して下さいよ」
ウルバイズは心底ダルそうな口調で嫌味ったらしく勇者に愚痴を溢した。
?「ウルバイズ、お前の気持ちも分からなくもないが、相手が我々の予想よりも弱かったのだから仕方がないだろう。あまり愚痴を言うと隊長に迷惑がかかるのだから控えた方がいいぞ」
ウルバイズが愚痴っていると彼の後ろにいた一番身長の低い女性らしき騎士がウルバイズのことを諭し始めた。
ウ「相変わらずアスライド王国の姫騎士様であるマイア殿は真面目ですねぇ〜そんなに真面目だから総隊長の許嫁であるのに一切進展がないんですかねぇ〜?」
ウルバイズは自分のことを諭し始めた女性マイアに未だに許嫁である創とは一切の進展がないことを皮肉げに言った。
マ「なっ!?今は私と創殿との関係ないだろう!?それに創殿と進展がないのは私が未成年であるから仕方がないだろう!?」
マイアは恥ずかしさのあまりウルバイズに早口で創との進展がないことについての言い訳を並べた。
言い訳を並べているマイアは兜のせいで顔は見えていないがその様子から顔を真っ赤に染め上げていることは容易に想像出来る。
ちなみに、マイアは神国アヴァロンに含まれる連邦国家の中でもトップクラスの権力を保持する国アスライド王国の第四王女である。
そして、彼女は如月ファミリーズもまとめているちゃんとした創の許嫁である。
創とマイアがどうして、まだ結婚していないのかと言うと、それはマイアがまだ16歳であり、未成年であるからだ。
そして、創との進展が全くない理由は「俺はロリコンではないから未成年には絶対に手は出さない」と創が豪語しており、本当にどんな誘惑をしても全く動じないため、マイアは成人するまでは創とは節度ある付き合いをすることにしている。
ウ「まあ、確かに関係はないんですけど〜俺は総隊長とマイア殿の関係に進展がなくて〜とても心配しているんですよねぇ〜いっそのことマイア殿が総隊長の寝込みを襲ってみたらどうですか〜?案外サクッと最後までことが進むかもしれませんよ〜?」
ウルバイズがマイアのことを心配するふりをしながら彼女のことを煽った。
そうすると、
マ「なっ!?なっ!?ななななななにを言っているんだ!?お前は!?そ、そんなこと出来る訳がないだろう!?」
マイアは体を左右にブンブン高速で振り、ウルバイズの発言に動揺して呂律が回らなくなってしまい、大きな声で噛みながらウルバイズに言った。
その動揺具合からウルバイズの煽りは相当効いていることが窺える。
そうして、ウルバイズがマイアのことを煽って楽しんでいると、
?「ウルバイズ、そろそろマイアのことを弄るのをやめてやれ。マイアはそのことを結構気にしているようだしな」
後から来た三人組のうち一番身長が高くて明らかに体がゴツい男性がウルバイズにマイアのことを弄ることをやめるように言った。
ウ「まあ、ヒューグさんがそう言うのなら〜俺はもうマイア殿のことは弄るのはやめますねぇ〜」
ウルバイズは巨漢のヒューグにマイアのことを弄ることをやめるように言われてしまったので、これ以上はマイアのことを弄ることは無理だと思い、素直にヒューグの指示通りマイアのことを弄ることをやめた。
いつもならウルバイズは注意を受けてもマイアのことを弄り続けていたのだが、今回は珍しくウルバイズが手を引いたので、ヒューグは少し驚いてしまった。
これはヒューグだけに言えたことではなく、勇者とライネストもウルバイズが直ぐに手を引いたことに驚いているようであった。
ちなみにウルバイズが直ぐにマイアのことを弄るのをやめたかと言うと単純に良いネタが思いつかずに飽きてしまったからである。
そして、勇者たちがみんなで楽しそうに談笑をしていると、
ヤ『おい?お前たちはいつまでそこで話しているつもりだ?さっさとテントに戻れ』
第二十七突撃騎士部隊のオペレーターであるヤロンが怒気の籠った声で勇者たちにテントに戻るように指示を出した。
そうして、勇者たちはこれ以上ヤロンを怒らせると大変なことになると思い、急いでテントまで撤退することにしたのだった。




