ミスディルディア誕生秘話六
そうして、創たちはトワイライトに連れられてフェファイトスさんがいる工房まで案内された。
工房の目の前まで来ると工房の中から外へと響き渡る破壊音が更に大きく鮮明になり、中にいるフェファイトスさんは相当荒れていることが窺える。
そして、工房の近くに来たことにより、破壊音だけでなくフェファイトスさんが怒り狂いながら雄叫びを上げていたことも分かった。
アイナや草薙剣、トワイライトはフェファイトスさんが何かを破壊する度にその音に反応して体をビクンッ!と震わせている。
一方、創はフェファイトスさんのあまりの荒れ具合に呆れ果て、ため息をつくことしか出来なかった。
創「今から中に入ってフェファイトスのことを止めてくるけど、アイナたちはここで待っててくれ。中の様子を確認しなくても中は危険であることは窺えるからな」
創はフェファイトスさんの荒れ具合から、アイナたちが中に入るのは危険だと判断し、工房の外で待つように言った。
アイナと草薙剣は中の様子から創の指示に従うことにしたのだったが、トワイライトは自分も中に入ると言い出した。
だが、創はトワイライトから聞いた話から、彼女もフェファイトスさんから危害を加えられる可能性は高いので同行を認めなかった。
そのため、トワイライトは何とか同行の許可を取ろうとしたのだが、アイナと草薙剣に無理矢理引き止められたため、トワイライトは創に同行することは出来なかった。
そして、創はフェファイトスさんが暴れ回っている工房の中に入ったのだった。
創は慎重に工房へ繋がる扉を開け、中で暴れているフェファイトスさんに気づかれないように気配を消しながら工房の中に入った。
工房の中に入ると、工房の中はフェファイトスさんが作ったであろう剣やその剣が砕けたことにより発生した塵で埋め尽くされていた。
次に創は工房内の壁を観察してみると、壁にはフェファイトスさんが剣を投げつけたことにより発生した傷が大量に刻まれており、中にはヒビが入り外の景色が少し見えている場所もある。
壁だけではなく天井にも数多の傷が刻まれており、フェファイトスさんが無差別に失敗作の剣を投げつけていることを証明している。
そして、工房の中心には未だに怒り止まずに片手にハンマーを持って暴れ回っているフェファイトスさんの姿があった。
フェファイトスさんは身長が2メートル超えの筋肉隆々の初老の男性であり、顔には胸の当たりまで伸びた白い髭を生やしている。
フェファイトスさんの髪も髭と同様で真っ白であり、髪は腰のあたりまで伸びている。
そして、フェファイトスさんは上半身が裸であり、下半身には作業服のようなズボンを履いており、靴はブーツのような分厚い靴を履いている。
暴れ回っているフェファイトスさんの姿はまるで怒れる鬼神のようであった。
創(おいおい、思ったよりも荒れ具合が酷いなぁ........これはフェファイトスの外を止めるには実力行使を行うしかなさそうだな...........)
創は自分が思っていた以上にフェファイトスさんが荒れていたため、話し合いではなく実力行使で黙らせることにしたのだった。
そのためにはフェファイトスさんに気づかれないように近づかなければならないのだが、彼の周りには大量の剣や剣が砕けた破片や塵が散らかっているため、音を鳴らさずに向かうのは至難の技だ。
だが、普段から任務で暗殺やら機密情報の奪取など隠密作戦をこなして来ている創にとってはフェファイトスさんに近づくのは朝飯前だ。
なので、創は気配を完全に消したまま全く音を立てずに暴れ回るフェファイトスさんの後ろに回った。
フェファイトスさんの真後ろに回った創は彼の肩を手で叩いた。
フェファイトスさんはいきなり肩を叩かれたため、怒りながらも気になったため、振り返った瞬間、
フ「ぶへっぇ!?!?!?!?」
フェファイトスさんはいきなり創に顔面を力一杯殴られ、後方へ吹き飛んだ。
そして、吹き飛ばされたフェファイトスさんはいきなりの出来事であったため、対応することが出来ずに壁へ激突した。
そのままフェファイトスさんは止まるかと思いきや、彼破運が悪く激突した場所が大きなヒビが入っていて今にも壊れそうな壁であったため、フェファイトスさんは轟音と共に壁を突き破って飛んでいってしまった。
創もまさか壁を貫通するとは思ってもおらず、焦りにより身体中に汗が吹き出して来た。
そして、壁を突き破って外へと飛んでいってしまったフェファイトスさんはそのまま何回も地面をバウンドした後、ゴロゴロと転がっていき、最後には家の近くにあった大きな木に激突して止まった。
創は気に激突して止まったフェファイトスさんのことを見てみると、彼は全身が血だらけになっており、大惨事になっていた。
創はフェファイトスさんの今の姿をトワイライトに見せたら大変なことになるので、急いで彼の傷を治療しようと駆けつけようとした時、工房の外にいたアイナたちが辺り一帯に響き渡った轟音を聞いて中が心配になり、工房の扉を勢い良く開けて入って来た。
そして、アイナたちの目に入って来た光景は工房の中で立ち尽くす創と突き破られた工房の壁の先にある木にもたれかかっている血だらけのフェファイトスさんであったのだ。




