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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第三章 オアシス国家『ワカティナ』防衛作戦

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ワカティナ防衛作戦(創視点)二十一

 創とルインは二人でコーヒーを飲みながら様々な話をした。


 どんな経緯で軍に入ったのだとか、どのランクまでの魔術が使えるとか、最近ハマってることはあるのかとか様々である。


 この時に創は廃神(はいじん)状態になってしまったカミラのことについて教えて貰った。


 そして、創はずっと同じ場所でガイエスの左腕を握っているカミラにもコーヒーを渡したのだが、彼女はそれを受け取れるほどの心の余裕はなかった。


 そんな、カミラを見た創は昔の自分の姿と重なり合い、とても心が痛んだ。


 創はカミラのために何かしてあげようと必死に頭を悩ませたのだが、カミラと同じ心の痛みを負った創はカミラの状況と昔の自分を重ね合わせて、今のカミラにはそっとしてあげるのが一番であると思った。


 そのため、創はカミラに体が冷えないように毛布を渡して、彼女の目の前にさっき入れたコーヒーを置いて、ルインと一緒に当たっていた焚き火まで戻ってきた。


 そして、創はルインと親交を深めるために再び色々な話をしたのだが、特にこの二人が一番盛り上がった話題はやはり自分の好きなひとたちの話題である。

 

 この時に限っては創の話には基本、受け身であったルインもカナの話をした瞬間から創に負けないくらいの饒舌になった。


 途中で休憩に来た朔夜は二人のマシンガントークが余りにも早すぎたため、少し引いているようであった。


 そのためか、朔夜は創から貰ったコーヒーをすぐに飲み干し、化け物たちの軍勢の前線へと足早で向かって行ってしまった。


 そして、創とルインが話し始めてから一時間が経った時、創は遂に次の工程へと移行することをルインに伝えた。


創「それじゃあ、ルインくんの神核にカナちゃんの魂が馴染んだみたいだし、次の段階に移ろうか」


 創はそう言うと右手に新しい神核を生み出した。


 ルインは創が新しく生み出した神核を観察してみると、融合する前のカナの神核よりも明らかに周囲に放っている魔力の質と量が桁違いであった。


 その強さはあのアルトラ中将を軽く超えるレベルのものであり、これだけの力を持っていれば、国一つを滅ぼすことも容易いだろう。


 そして、ルインはその強力な神核を生誕の権能により、さも当然かのように生み出す創は本当に規格外の力を持っていることを再認識させられた。


創「ルインくんにはこの神核にカナちゃんの魂を憑依させて貰うんだけど、まずはカナちゃんの魂を認識するところから開始しようか」


 ルインは創にそう言われたのだが、今まで神核の中にある魂の認識など行ったことがないため、方法が分からずに困ってしまった。


 そうして、ルインが己の神核の中にあるカナの魂を認識しようと四苦八苦していると、


創「ルインくんよ、神核の中にある魂を認識するのは瞑想するのが良いよ。それで、己の内なるものを見ようと極限まで集中するんだ」


 創が苦戦しているルインにアドバイスをした。


ル「はい、分かりました。アドバイス通りにやってみますね」


 ルインはそう言うと座禅を組んで、目を閉じた。


 そして、ルインは己の神核の中へと意識を飛ばそうと極限まで集中し、己の神核と見つめあった。


 そうして、ルインは極限にまで集中して神核の中を感じ取ろうとしていると、一瞬だが、己の神核の中に自分とは違う何かを感じたような気がした。


 ルインはその違和感をもう一度感じようと神核に意識を集中させていると、再び今度ははっきりと己の神核の中に自分とは違うものを感じることが出来た。


 そして、ルインがその違和感が何なのか、その違和感の正体をはっきり捉えようと更に意識を集中させると、その違和感の正体がカナの魂であることが分かった。


創「その表情から見るにカナちゃんの魂を認識することが出来たようだね。それじゃあ、次の段階に移ろうか」


 創は先ほど生み出した神核をルイン神核と融合させた。


 ルインはいきなり自分の神核に新しい神核を融合させられて驚いたが、前とは違って痛みなどは襲ってこなかった。


 だが、痛みの代わりに己の神核の中に異物が混入したことにより発生する不快感に襲われた。


 そうして、ルインが気分が悪そうにしていると創はニヤっと笑った。


創「どうやら、自分の神核の中に異物が混入したことにより、不快感を感じているようだね。それは上手くいってる兆候だよ。それじゃあ、次はその不快に感じている異物の中にカナちゃんの魂を移すことは出来るかな?」


 ルインは創にそう指示されてると更に集中して、神核の中に意識を潜り込ませた。


 そうして、ルインは神核に意識を潜り込ませると自分の神核の中にあるカナの魂を創がルインの神核の中に入れ込んだ神核の中に移そうとした。


 だが、思った以上に自分以外の魂を動かすことは難しく、ルインは苦戦を強いられた。


 そうして、ルインは少しずつカナの魂を神核まで移動させていき、何とかカナの魂を新しい神核の中に移すことが出来た。


 創はルインがカナの魂を新しい神核の中に移したことを確認すると、いきなりルインの神核のある部分に左腕を突き刺した。


 だが、ルインの体を突き刺した創の腕はルインの体を貫通することはなかった。


 その代わりにルインは己の神核の中に何か異物が侵入してきたことが分かった。


 そして、その侵入してきた異物はカナの魂が入った神核を掴むとルインの神核の中からカナの新しい神核と共に消えた。


 ルインは驚いて創の方を見てみると、そこには創がさっきルインの神核と融合させた神核が手に握られていた。


創「これで、カナちゃんの治療は完全に終了した」


 そうして、カナの長い治療が終わったのだった。





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