ワカティナ防衛作戦(創視点)十五
創は皆に説明した後、前線キャンプから少し離れた場所にやって来た。
そして、鷹の目と朔夜から放たれる魔力を探ることにより進行方向を確認すると、何かを召喚する魔法陣を展開した。
創が魔法陣にありったけの魔力を流し込むと魔法陣は起動し、魔法陣からは人一人が入れそうなほどの砲身を持つ大砲であった。
創は大砲を召喚するとなんと!その大砲の砲身の中に入ったのだ。
そして、創が大砲の中に入ると大砲の砲身には大量の魔法陣が浮かび上がり、魔法陣は回転を始めた。
魔法陣が回転する速度が加速されるたびに周りに強力な魔力による衝撃波が放たれ、大砲の周りな砂煙が舞い上がっている。
そして、魔法陣が砲身に浮かび上がって数秒が経った後、創は大砲から目にも留まらぬ速さで撃ち出された。
大砲から撃ち出された創は直ぐに音速を超え、どんどん加速しながら鷹の目たちの魔力の発生源に近づいていく。
そして、鷹の目たちの魔力の発生源の真上あたりに近づくと自分から少し離れた場所に魔法障壁を展開し、それを力一杯蹴り、方向転換して真下へと向かっていった。
その時の衝撃は凄まじく、轟音と共に創が展開した魔法障壁は木っ端微塵に粉砕されてしまった。
そして、創は地面に激突する寸前で態勢を整えて足から地面に着地した。
しかし、その時の衝撃はやはり凄まじく、創の周囲一帯には大量の砂煙が舞い上がってしまった。
それに加えて、創の真下には巨大なクレーターまで出来てしまっていた。
創は自分の周りに舞い上がった砂煙が止むと鷹の目たちの方を向いて言った。
創「鷹の目からの要請により馳せ参じた。どうも王直属部隊の隊長を務めさせてもらってます、如月 創です」
創はキリッとしたイケメンフェイスを浮かべながら格好つけて言った。
そして、創は格好つけていると鷹の目の隣に中腰でいる男性が目に入った。
創「あれ?君は確かルイン・グレイラットくんだよね?君って第九小隊の兵士だったんだ」
創は鷹の目の隣にいる男性ルインに話しかけた。
鷹「あれ?隊長って、ルインと知り合いなの?」
鷹の目は創とルインが顔見知りであることに驚いているようであった。
創「ああ、ルインくんはこの前のお見合い企画の時に会ったんだよ。彼はアヴァロン城までの案内役だったようだからね」
創は鷹の目にルインとの出会いについて教えてあげた。
鷹「あー!あの無駄に大きくし過ぎたために色々な問題が発生したあのお見合い企画の時にか!なるほど、それならルインと出会っていてもおかしくないな」
鷹の目はウンウンと首を縦に振りながら言った。
創「いや、無駄に大きくしたのは影虎だからな?俺はべつにあそこまてしろとは一言も言ってないからな?」
創は夕日新聞の記者とは言え、あの企画のせいで一人の命が奪われてしまったため、鷹の目にそのことについて責められるような気がしたので、先に言い訳を並べた。
鷹「別に俺はあのお見合い企画のことについて責めたりしてないのに言い訳なんてして、どうしたんだ?」
鷹の目はいきなり責めてもいないのに言い訳をしてきた創のことが不思議に思った。
創「いや、あの企画のことで責められそうだな........と思って先に言い訳をしたんだが、別にあんまり気にしてないのか?」
創は鷹の目がお見合い企画について何も思っていないことに驚いた。
鷹「ああ、もしかして、夕日新聞の記者が殺されたから、俺に責められると思ったのか?まあ、確かに死人が出たのは良くないが、あれに関しては夕日新聞の記事が全面的に悪いからな。俺は隊長のことを責めるつもりはないよ」
どうやら、鷹の目は夕日新聞の記事が殺されたのは仕方ないと思っているらしい。
鷹「まあ、勇者は少し隊長に怒ってたけど」
創「まあ、あいつは正義感が強いからな。仕方ないとは言え、誰かの命が奪われることは絶対に許さないから、まあ、大人しくあいつに怒られるとするよ」
創は勇者には絶対に怒られると分かっていたので、勇者から怒られることを受け入れているようだ。
創「こんな雑談は置いておいて、重傷を負った兵士というのはルインくんが抱き抱えている少女のことか?」
創はルインが抱き抱えている少女カナの方に視線を向けながら言った。
鷹「ああ、そうだ。神核にだいぶ傷が入っているようで、俺では治すことが出来なかった。隊長なら治せるか?」
創「まあ、傷を見てみないと分からないが、死んでない時点で確実に治せるだろうな」
創は淡々といかにも当たり前かのように言っていることから、創は相当な自信があることが分かった。
鷹「流石の自信だな、隊長。彼女の神核の破損は何とか食い止めることは出来ているが、どれだけ持つか分からない。だから、早速治療に移って貰っても良い?」
創「そういうことなら、早速その子の治療に移るとしますか」
そうして、創はカナの治療を行うことになったのだった。




