ワカティナ防衛作戦(創視点)二
恒星を圧縮して生み出した弾丸は加速の魔法陣を重ねて作った砲台から撃ち出された。
弾丸は創たちの目でも捕らえられないほどの速度で化け物たちの軍勢の方へ放たれた。
そして、弾丸が砲台から撃ち出されたと同時に、強烈な衝撃波が砲台から半径500メートル圏内に放たれた。
衝撃波の威力は凄まじく、創たちの周りの地面を抉り、砂が上空へと舞い上がらせて、創たちの周り一帯は砂煙に覆われてしまった。
そして、たまたま近くを飛んでいたハゲタカは衝撃波により体がぐちゃぐちゃになり、肉片が遥か彼方まで飛ばされた。
創たちは砂煙が舞う中、吹き飛ばされないように魔法障壁などを展開して、衝撃波が収まるまで何とか耐え忍んだ。
衝撃波が収まり、辺り一帯を舞う砂煙が収まった後、創たちの目の前には弾丸が突き進んだであろう一直線にえぐれた地面が広がっていた。
創「流石に威力を出し過ぎたな.........光速どころか十光年位の速度が出てたし」
どうやら、創は恒星を圧縮した弾丸を光速ではなく、更に速い十光年という圧倒的な速さで撃ち出したようだ。
創もそれは流石にやり過ぎたと反省している訳もなく、とても楽しそうに微笑んでいた。
創の表情から察するに十光年で撃ち出された弾丸が一体どうなっているのか、凄く気になっているようであった。
創の隣では顔を真っ青に染めたリヴァイアサンが両手を合わせて誰かに祈りを捧げているようであった。
リ「ううう.......何か起きたらどうしよぉ........助けてよぉ........お母さん...........」
リヴァイアサンは今にも泣き出しそうな声で母であるオリジンに助けを求めている。
そして、リヴァイアサンは罪をなすり付けられるプレッシャーから、精神的にダメージを喰らい、幼児退行して言葉遣いがいつもの丁寧口調ではなくなっている。
ちなみに、リヴァイアサンはオリジンのことが大好きで、オリジンの前では子供のように甘える。
その時は今のように硬い丁寧口調から柔らかい口調になる。
そして、リヴァイアサンはメンタルがやられている時や他の誰かに甘えている時も柔らかいる口調に戻る。
リヴァイアサンは豆腐メンタルなので、すぐに精神的に追い詰められてメンタルがやられる。
それに加えて、リヴァイアサンはとても甘えん坊なので、隙あらば、すぐに誰かに甘えたがる。
なので、リヴァイアサンの柔らかい口調はレーナの柔らかい口調と違って、そこまで珍しくはない。
創「おい、リヴァイアサン?なに泣きそうになっているんだ?」
創は半泣きで体をプルプル震わせているリヴァイアサンを不思議に思い質問した。
リ「私........責任取れる自信がなくて........凄く不安なの...........」
リヴァイアサンは涙ぐんだ声で目をうるうるさせながら創の質問に答えた。
創「リヴァイアサン........お前って、本当に馬鹿だな。だから敵に捕まるんだよ」
創はリヴァイアサンの返答を聞くと、鼻でリヴァイアサンのことを笑いながら、小馬鹿にするように言った。
創「お前に責任をなすりつけるなんて、冗談に決まってるだろ?まず、アイナがオペレーターとして、俺のことを監視している時点でリヴァイアサンに責任をなすりつけることなんて、不可能だろ」
創がそう言うと、リヴァイアサンは今にも泣き出しそうな顔が明るいものへと変わっていった。
そして、リヴァイアサンは満面の笑みを浮かべた後、今までの行動を振り返って恥ずかしくなったのか、少しずつ顔が赤くなっていった。
創「それで、アイナ?敵の軍勢の方はどうなってる?」
創はリヴァイアサンが立ち直ったことを確認すると、楽しみにしていた敵側の被害をアイナに聞いた。
アイ『最初の爆発で半径500キロメートルの敵は全滅、その後にできたブラックホールで半径1000キロメートルの敵は全て飲み込まれているよ』
創「おー!思った以上の威力が出たな!それじゃあ、北側の敵勢力はほぼ壊滅状態じゃないのか?」
アイ『うん、今ガライエ砂漠を侵攻している北側の軍勢のうち四分の三が創くんの攻撃で消滅したから壊滅状態って、言っても過言じゃないね。それに未だにブラックホールは健在だし、被害は更に甚大になりそうだね』
創「これは初っ端にしては上々な結果だな!他の方面を担当している部隊の調子はどうだ?」
創は自分の結果に満足し、他の部隊の調子も気になり、アイナに質問した。
アイ『他の部隊の戦況だね。分かった。今、共有されている情報を教えるね』
そうして、アイナは創たちに他の方面を担当している部隊の今の戦況について、話し出したのだった。
相対性理論では質量がある物体は光速に至ることはできないとさられていますが、神の世界なので、人間界の理論は通じないので、皆さんが持っている知識は全てドブに捨ててください。




