ギルタブルルとタイタンについて
創以外のメンバーが絶望に暮れている中、創はサソリの化け物の映像を机のモニターに映し出して貰った。
創「ほら、気を取り直して次の化け物について説明するぞ」
創がそう言うと、他のメンバーはモニターに映し出されているサソリの化け物を眺めた。
創「このサソリみたいな化け物『仮称ギルタブルル』は今確認できている範囲の中では化け物たちの軍勢の中で最も数が多い。ギルタブルルは身体能力が高く、とてつもないスピードで襲いかかってくる」
創はそう言いながらPCを操作している兵士にアイコンタクトを送ると、ギルタブルルの軍勢が創に襲いかかっている映像が流れた。
次に流れた映像はギルタブルルの大きな口から黄緑色の液体が溢れ出し、地面に垂れると砂が溶けて蒸発しているものであった。
創「この映像を見て貰ったら分かると思うが、ギルタブルルの口から溢れ出す液体は強酸性であり、体にかかれば一瞬で溶けて蒸発してしまう」
ナ「その強酸性の液体って、どれくらい強力なの?」
ナターシャはギルタブルルの強酸性の液体の強さについて質問した。
創「詳しく調べてないから確かなことは言えないが、ミスリル鉱石くらいは余裕で溶かせると思う」
黄「えっ?ミスリル鉱石溶かされちゃうの?」
黄泉は情けない声で呟いた。
創「まあ、黄泉の場合は馬鹿みたいにミスリル鉱石に魔力を込めて硬度をあげてるから大丈夫だと思うよ?」
創がそう言うと、黄泉は安心して大きなため息を漏らした。
創「このギルタブルルで最も厄介なのがこの気持ち悪い尻尾だ。この尻尾に掴まれたら、掴まれた部分と体の接続部を喰われた後、勢い良く引きちぎられるんだ。それに、この尻尾は地面に突き刺して、地面の下から勢い良く突き出して攻撃してきたりもするんだ。俺もこの不意打ちで片腕を持ってかれたしな」
創は自嘲するかのように笑いながらギルタブルルの説明をした。
ナ「それって、創さんはギルタブルルにやられたってこと?」
ナターシャは少し涙目になりながら、創に質問した。
創「ああ、トマホークのレーザーで右腕が吹き飛ばされた後、ギルタブルルの地面からの尻尾強襲攻撃で左腕が引きちぎられて地面をバウンドしながら転げた後、ギルタブルルの強酸性の液体で体を溶かされながら食われたよ」
創がそう言った途端、ナターシャの目から涙が溢れ出し、顔を真っ赤に染めながら泣き出してしまった。
創はいきなり泣き出してしまったナターシャにあわあわしていると、その隣に座っているミサも目をうるうるさせ、今にも泣き出してしまいそうであった。
他のメンバーも複雑そうな表情をしている。
創「いや!俺は神核爆弾を起動させるために食われただけだから!」
創は重苦しい空気を変えようと必死に言い訳をするのだが、全く言い訳になっていない。
創は言い訳するのを諦め、次の映像を流すようにPCの前で待機している兵士にアイコンタクトを送った。
そうすると、兵士はPCを操作して次の映像をモニターに映し出した。
そして、次に映し出された映像には砂漠を覆うほどの化け物たちの軍勢とその後ろに超巨大な生物の影であった。
その生物は遥か遠くにいるためか、その姿を確認することは出来ない。
そんな化け物に創以外のメンバーが釘付けになっていると、創はこの化け物について話し出した。
創「この化け物は映像の通り、あまりにも大き過ぎて影が見えているだけで、この化け物自体は軍勢の遥か遠くにいるんだ。だから、影を捉えることは出来たんだが、その姿を捉えることは出来なかった」
ア「陛下でも無理だったのか..........」
創「すまないな。それで、俺はこの化け物のことを『仮称タイタン』と命名する。そして、このタイタンは影の大きさなどから計算した結果、体長が2キロメートルから4キロメートルもあることが分かった」
ミ「最低でも2キロメートルもあるの!?それじゃあ、大型巨人種とほとんど同じ大きさじゃない!」
ミサはタイタンの大きさに驚きを隠せていないようであった。
シ「その敵は俺たちで討伐可能なのか?」
シンは真剣な表情で創に質問した。
創「俺と黄泉は単独で討伐が可能だろう。シンたちは部隊全員でかかれば普通に討伐可能だと予測している。第七歩兵師団の中ではタイタンと渡り合えるのはアルトラだけだろうな。魔導師団の方はケイネス以外の戦力がイマイチ分からないから何とも言えないがな?」
創がそう言いながら、ケイネスの方を見ると、ケイネスは嫌そうな顔でため息を漏らしながら創の質問に答えた。
ケ「各部隊それぞれ一体ずつ相手するなら勝てるだろう。そして、私と第二十五魔導師団の隊長なら単独で討伐が可能だ」
創「ありがとうケイネス。参考になったよ。それじゃあ、敵の情報も一通り出て分かったと思うが、今日の昼に決めた作戦ではワカティナは絶対に守り切ることが出来ない」
創はそう言いながら作戦会議に参加しているメンバーを見渡すと全員が創の意見に賛同していることが分かった。
創「だから作戦を一から練り直そうか」
そうして、創たちは再び作戦の段取りについて話し合うことにしたのだった。




