作戦会議
リアとベルと出会った創たちはアヴァロン城に向かう前に近くにあった喫茶店の中に入った。
バ「あの創さん?時間があまりないと言っていた気がしたんですが...........」
アストルム・バーラルクスはさっき創が言っていたことと今の行動に矛盾が生じているため気になって質問した。
創「ああ、そうだな。さっきまではなるべく早くアヴァロン城に着きたかったんだが、アイナの機嫌が悪いようだから作戦会議を開こうと思ったんだ」
バーラルクスは作戦会議と聞いて何か分かった様子であった。
他のメンバーもバーラルクスと同じ反応をしていた。
ア「作戦会議?どうして作戦会議をするの?」
一方、アイナのことを知らないシムラクルム・アラネクスは何のことか分かっていないようであった。
創「それはな、アイナの機嫌が悪いと何をしでかすか分からないからだ。もしかしたら、アラネクスに攻撃を加える可能性だってある。いや絶対に加えるな」
創がそう言うと、アラネクスは「嘘でしょ?」と言いたげな表情で周りのみんなのことを見たが、他のメンバーの反応は創の発言に賛同しているようだった。
アラネクスは創の言っていることが冗談ではないと分かると、ブルブル震えだした。
ア「私.......もしかして殺されちゃうの...........?」
アラネクスは目に涙を浮かべながら震える声を振り絞って聞いた。
創「流石にアイナでもそこまではしないから安心しろ。やるとしたら、そこにいるベルくらいだ」
創はそう言いながら、ベルの方に指を刺した。
アラネクスは怖がりながら涙が浮かんだつぶらな瞳でベルのことを見つめた。
その瞳はまるで「私のことを殺すの?」と聞いているようであった。
ベ「なっ!何をおっしゃっているんですか!?私は私利私欲の為に誰かを殺めたことなどありませんっ!私が今まで殺めたことがある方たちはあくまで救いようのない悪党だけです!」
ベルはアラネクスに変な印象がつかないように必死に弁明をした。
ベルは弁明をしている時にちょくちょく姉であるリアに助け舟を出して欲しそうに目でサインを送っていたが、リアはこの前のカミングアウトがあったため、いい言い訳が思いつかないのか弁明の助けができていたかった。
妲「ご主人様?副メイド長は確かに財力と権力にしか目がない方たちに色々と他人に言えないことを行ってきましたが、ほとんどの者は今は平然と元の生活を送っています。なので、アラネクスに危害を加えることは絶対にないです」
リアが助け舟を出すのに苦戦していると、妲己がリアの代わりに助け舟を出した。
妲己の言葉を聞いたアラネクスはどこか安心してそうな顔をしていた。
創「まあ、冗談はここまでにして。アラネクスにはアイナの攻略をしてもらわなければならない。今からはその為の作戦会議を行うぞ」
そうして、創たちはアイナ対策会議を開始したのだった。
創「さて、率直に聞くがアイナのことどうする?」
リ「どうするもこうするも私たちがアラネクスにヘイトが向かないようにやるしか方法はないんじゃない?」
創「確かに、それしか方法はなさそうだな...........アラネクスはメンタル弱そうだし、アイナに敵意を向けられたら即アウトだな」
創がそう言うと、アラネクスはとても申し訳なさそうしていた。
ア「メンタル弱くてごめんなさい...........」
アラネクスは謝罪の言葉を言いながら頭を下げた。
創「別に謝る必要はないから頭を上げてくれ。メンタルが弱いことは悪いことじゃないしな」
創はそう言いながらアラネクスの頭を優しく撫でた。
アラネクスは創に触れられるのに少し慣れたのか、恥ずかしそうにはしているがどこか嬉しそうでもあった。
創「いい作戦を思いついたんだが、俺がアイナのことを虐めまくるから、アラネクスがアイナを虐める俺を止めて好感度アップするのはどうだ?」
ベ「それは絶対やめてください。創さんが本気でアイナを虐めると好感度アップ作戦をするどころではないので」
創「分かったよ.......その作戦は無しにする」
創はどこか悲しそうな表情をしながら小さな声で呟いた。
バ「ですが、アイナの好感度を上げるというのは良い案かもしれません。アイナは気に入った相手にはとことん甘いですからね」
リ「確かにアイナに気に入られれば攻撃の心配もないしね。良い作戦かもしれない。それにアラネクスは見た感じアイナが好きそうなタイプだしね」
どうやらアラネクスはアイナの好みのタイプらしい。
ちなみに、アイナの好みのタイプは創の好みのタイプと酷似している。
創「それじゃあ、アラネクスにヘイトを向かわないように立ち回りながら、できる時にアイナの好感度を上げる作戦でいくか」
そうして創たちは作戦会議を終えて、アヴァロン城に向かった。




