古代遺跡の合同調査六
虚飾は急いで、創の元に駆けつけた。
虚「大丈夫か!創!!」
創「あああぁぁ..........あああああぁぁぁぁ...........。」
創はその場で苦しそうに唸るだけで、返事が返ってこない。
虚「おいっ!創!しっかりしろ!!」
そうやって、虚飾が創に声をかけていると、
創「あああああぁぁぁぁ..........や、やめてくれ..........俺はお前たちの味方だ!!だから、武器を下ろしてくれ!!」
急に創は何かの幻覚を見てるのか、そう叫びだした。
創「お、お願いだ!!信じてくれ!!俺はお前たちに危害を加える気なんてないんだ!!」
創は幻覚の中で何かを説得しようとしているようであった。
そうして、創は何かを説得していたのだが、急に顔を絶望に染めて、大量の涙を溢し始めた。
創「あああああぁぁぁぁ!!!!!どうして..........どうして、俺を庇ったんだ..........俺は不死身だが、お前は違うだろ...........。」
創は幻覚の中で何かに襲われたようだが、創のことを誰かが庇って助けたようだ。
創「お、お願いだ..........俺を置いて行かないでくれ..........俺は.......俺にはお前が必要なんだ..........だから、俺のことを置いて先に行かないでくれよ..........アイナ...........。」
何と、幻覚の中で何かから助けたのはアイナであったのだ。
創は大粒の涙を溢しながら、幻覚の中のアイナに懇願している。
そして、急に創の顔がもう一度、絶望に染まった。
創「おい、嘘だろ..........カイトを置いてきたってどう言うことだよ!!!」
創は急に鬼の形相で、幻覚の中の誰かの肩を力強く持っているようにしながら、怒声を響かせた。
そして、肩を持ったかと思うと、急にその場に崩れ落ちるように倒れ込み、絶望に顔を染め、号泣し始めた。
創「ああぁぁぁ.......カイト..........カイトまで、俺を置いて行かないでくれよ.........どうして..........どうして、俺の大切なものばかり奪われるんだ..........俺はみんなのために頑張ってきたのに...........もう、嫌だ.........助けてよアイナ..........カイト...........俺は一人で生きていけないんだよ...........。」
そう言う創の顔は完全に覇気が無くなっており、抜け殻のようになっているが、目から涙は止まらない。
そして、創は無表情のままで号泣していると、部屋にあるガーゴイルのような像から奥の方に魔法陣が展開された。
虚「これは一体...........。」
虚飾が創を守るように、部屋にあるガーゴイルのような像から奥の方に展開された魔法陣を睨んでいると、魔法陣から何かが召喚された。
虚「何で悪趣味な試練なんだ...........。」
ガーゴイルのような像から奥の方の魔法陣から召喚されたのは、アイナと姿をコピーしたホムンクルスと、それを襲おうとする武器を持った人間の姿をしたホムンクルスであった。
虚「創のトラウマをここで再現しようと言っているのか...........。」
創はその光景を見た瞬間、目にも留まらぬ速さでアイナの姿をしたホムンクルスに近づいていった。
虚飾も創を追いかけようと走っていくが、またしても結界が展開されており、虚飾のいく手を阻んだ。
虚「クソっ!!!また結界か!!!早く結界を破壊しないと取り返しのつかないことになる!!!!」
そうして、虚飾はとても頑丈な結界を破壊するための魔法を構築し始めた。
創「なあ!!どうして俺たちに武器を向けるんだ!!俺たちはお前らの味方だぞ!!だから、武器を下ろしてくれよ!!」
創は両手を広げ、アイナの姿をしたホムンクルスを守るように前に立ち、創の記憶からコピーした人間たちのホムンクルスに抗議し始めた。
創「俺はお前たちと本当に争いたくないんだ!!本当なんだ!!!だから、お願いだから武器を下ろしてくれっ!!」
創はホムンクルスに何度も抗議するが、一切の反応が返ってこない。
創「なあ!!黙ってないで答えてくれよっ!!!俺たちはずっと一緒に支え合って暮らしてきただろ!!なあ!?そんな俺が裏切るとでも思うのか!!」
創はそう言いながら、一歩前に出た瞬間、
『ヒュッ!!』
どこからか、風を切るような音と共に創に向かって矢が飛んできた。
そして、創にその矢が当たりそうになった時、
アイ「創くんっ!!危ないっ!!!」
アイナの姿をしたホムンクルスが創を庇うように押しだけ、矢が肩に刺さった。
そしてアイナの姿をしたホムンクルスの肩に矢が刺さった瞬間、そのかかった場所が少しずつ黒く変色していった。
アイ「ううっ!!ああああああああ!!!!!!」
アイナの姿をしたホムンクルスはあまりの激痛に苦しげに叫びだした。
創「ああぁぁぁ..........あああああぁぁぁぁ..........あああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
創はアイナの姿をしたホムンクルスが苦しむ姿を見て、狂ったように泣き叫びだした。
そして
『パキッ』
創の心は完全に壊れてしまった。
創の心が完全に壊れた瞬間、創の顔が一瞬で狂気的な笑みに変わった。
そして、創の顔が変わった瞬間、創からドス黒い闇のようなものが溢れ出し、人間とアイナの姿をしたホムンクルスの心臓を一瞬で貫き、その闇が地面に衝突すると、
『ドッッッッッッッカカカカカカカカカカァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!』
物凄い轟音と共に、遺跡の地面が大きく切り裂かれ、その闇は遥か地下まで伸びていった。
そして、創が振り向こうとした時、創は背後から虚飾に神核を貫かれた。
創が心臓を貫かれた後、創の顔は狂気的な笑みではなく、優しい笑みを浮かべていた。
創「すまない..........虚飾..........迷惑をかけた..........な...........。」
創はそう言いながら、虚飾の方に倒れ込み、静かに目を閉じたのだった。




