獣狩り十一
アイ「貴方たちに大切な話があります...........。」
アイナはとても辛そうな顔でそう言った。
負「分かっています。私たちは助からないのですよね?」
一人の負傷者がそう言うとアイナは縦に首を振った。
負「分かっていました。あの怪物からの攻撃で怪我をした時に感じていましたから。自分たちは助からないと。だからそう悲しい顔をしないで下さい。これは仕方のないことなんです...........。」
アイ「でも!!アイナは貴方たちに死んで欲しくない...........。」
アイナは大粒の涙を溢しながらそう言った。
負「アイナ様は本当にお優しい方なんですね..........それと横に立っている貴方も。」
レーナ「私ですか?」
レーナはすごく驚いた。
レーナはアイナの演説が始まった時から罪悪感と無力感で胸が押し潰れそうになっていた。
レーナはどうしてアイナのようにうまく出来なかったのか、もしあんなことが自分にも出来たらもっと犠牲が少なくなったかもしれないと自分を責め続けていた。
そしてあの地獄から逃げ出した自分は暴行を加えていた者たちと何も変わらないと思っていた。
だからレーナはどうして優しいを言われるのか分からなかった。
レーナ「どうして私なんですか?私は貴方たちのことを助けることができずにこの場から逃げ出した臆病者ですよ!!貴方たちから罵倒されるべき神物ですよ!!!」
負「確かに貴女は逃げ出したかもしれません。ですが私たちを助けるために頑張ってくれましたから。」
そう言われるとレーナの目から大量の涙が溢れ出してきた。
負「貴女は私たちを助けるために必死になってくれました。貴女が初めてだったんですよ。私たちへ助けの手を差し出してくれたのは。だから私たちは嬉しかったのです。私たちのために必死になってくれる神がいて。」
レーナ「うぅぅ、私は...........。」
負「ありがとうございます、私たちを神扱いしてくて。私たちのことはもう気にしないで下さい。私たちは貴女に救われたのですから。」
そう言うと他の負傷者たちもレーナに向かって感謝の言葉を送った。
負「レーナ様、最後にお願いがあります。」
レーナ「私が出来ることならなんでもします!!」
レーナは泣きながらそう言った。
負「どうか私たちを殺してくれませんか?」
レーナ「!?」
レーナは驚いたがすぐに切り替え
レーナ「わかりました。貴方たちの最後の願いを叶えましょう。」
そう言ってレーナはアトランシアを構えた。
そしてレーナはアトランシアに残ってる魔力をありったけ流し込んだ。
そうするとアトランシアの赤色のラインがよく濃く光り出した。
そしてレーナはアトランシアを上段で構えて
レーナ「ごめんなさい、貴方たちを助けられなくて........そしてありがとう。私のことを許してくれて...........。後はゆっくり眠ってください。」
レーナはそう言ってアトランシアを振り下ろした。
そうするとアトランシアから物凄い熱線が負傷者たちを包み込んだ。
負「レーナ様、最後に会えて本当によかった.......。」
そうして負傷者たちはチリも残らず消しとんだ。
そしてレーナはその場に膝をつき倒れ込んだ。
アイナはそれを受け止めた。
アイ「お疲れ様、レーナ。貴女は本当に頑張ったね。」
アイナがそう言うとレーナは泣きながらアイナに抱きついた。
レーナ「アイナ........私助けられなかった........みんな助けられたのに........私の力不足のせいで助けられなかった...........。」
アイ「レーナは沢山の神を助けたんだよ。あの負傷者さんたちの顔を見たでしょう?みんな満面の笑みを浮かべていたよね。みんな貴女に救われたんだよ。それともレーナはあの神たちの死を無駄にするの?そうやって落ち込んでいたらあの神たちの死は無駄になるんだよ。だからレーナ、辛いかもしれないけど一歩踏み出そ?貴女ならその勇気があるでしょ?」
レーナ「うん、わかった。私、頑張って一歩踏み出すからもう少しだけ...........。」
アイ「もう、レーナは甘えん坊さんなんだから。もう少しだけだよ?」
アイナはそう言っレーナの気が済むまで頭を優しく撫でたのだった。
甘えん坊のレーナと母性があるアイナ、最高じゃないか!!!