獣狩り三
創「さっきからキリがないな。」
創はさっきからあの親子を追いかけているが白き悪魔が行手を阻むため思うように進めていなかった。
そして時間が経つごとに白き悪魔たちの数は明らかに増えていった。
白き悪魔たちは四方八方から建物を突き破り、創に襲いかかってくる。
創はすぐに創造の権能で草薙剣を模造した。
創「八武神流 三式 剣の舞ーーー」
四方八方から襲いかかってきた白き悪魔に向かって草薙剣の模造品が飛んで行き、木っ端微塵に切り刻んだ。
そしてものすごい風圧が発生したため、周りにいた白き悪魔たちも吹っ飛ばされ、壁や店などにぶつかり、破壊した。
白き悪魔たちが壁や店にぶつかって破壊したことにより、そこに隠れていた神たちがその瓦礫や白き悪魔によって押しつぶされ、そのたびに断末魔が西エリアに響き渡った。
そしてその断末魔によってさらに白き悪魔が集まってくる。
創「暴食せし影の捕食者剣型。」
創がそう言うと創の影から大量の漆黒の剣が現れ、白き悪魔たちに向かって飛んでいった。
白き悪魔たちにその漆黒の剣が当たった瞬間、その影が膨張し、白き悪魔が影に完全に飲み込まれると再び剣の形に戻り、白き悪魔たちに向かって飛んで行った。
暴食せし影の捕食者剣型は指定した目標に自動で追尾し、捕食する。
そして暴食せし影の捕食者剣型で白き悪魔たちを一掃し、逃げた親子に向かってものすごい速さで走った。
アイ(どうしてあの親子を追いかけるの?アイナを逃すのが先じゃなかったの?)
創(あの親子を逃すと今よりも圧倒的に被害が大きくなってしまう。だから追いかけてあの子供を殺さなければならない)
アイ(どうしてあの子がそんなに危険なの?)
創(あの子供の中にいる白き悪魔は戦闘特化型だ。あいつは軍の特殊部隊の小隊でも勝てるかどうかの強敵だ。だから戦闘特化型が生まれる前にその宿主である子供を殺さなくてはならないからだ)
アイ(ねえ、創くん.......ほんとに殺すしか方法がないの?他に助ける方法はないの..........?)
アイナはとても苦しくて悲しそうな声で創に言った。
そしてアイナの顔は今にも泣きそうであった。
創(俺たちも研究をしているが今のところは殺す以外に助ける方法がない。すまないが諦めてくれ)
アイ(創くんは辛くないの.......?目の前でたくさんの無実の神が死んでいるんだよ.......?)
創(感情が乱れたら助けられるものも助けられないからな。だから悲しんでいる暇がないだけだ。だから俺だってほんとは目の前で助けを求める者達を無視したり、殺したりするのは精神的にくるし、自分の攻撃のせいで誰かが巻き込まれて死ぬのも辛い。だから俺は無限にある可能性の中から一番最適な選択肢を選ばなければならない。そしてアイナを守り、他の者たちを見捨てることが俺が見た一番被害が出ない選択肢だった。だからその選択がどんなに辛くても俺はアイナを守り、他の者を見捨てる)
そう言う創の顔を見てみると仮面で隠れているのに悲しそうな表情をしているのがわかった。
アイ(アイナのせいで..........ごめんね..........アイナがいなかったらこんなに創くんは辛い思いをしなくてよかったのに..........アイナが創くんに早く会いたいからって自分勝手な行動をしたせいで.........)
アイナの瞳から大粒の涙が溢れ出してきた。
創(アイナはなにも悪くないから自分を責めないでくれ。それにアイナが来てくれなかったら被害が今よりも大きくなっていたからな)
アイ(どうしてアイナが創くんのところに来たら被害が減るの..........?)
創(それはもし、アイナが北エリアにいて、俺が西エリアにいたとすると敵は同時に西エリアと北エリアを襲ってくるからだ。アイナが北エリアにいると俺はアイナを助けに行くために西エリアを離れなくてはならなくなる。そうしたら西エリアは今よりも壊滅的なダメージを負うことになる。だからアイナが俺のところに来たのは最適解だったんだ。だからアイナは悪くないから気にするな)
創がそう言うとアイナは創の体に自分の顔を埋めて静かに泣きながら首を縦に振った。
そして創がアイナを慰めながら白き悪魔たちを暴食せし影の捕食者剣型で一掃しながら進んでいくとやっと親子に追いついた。
創「手遅れだったか...........。」