特級危険神物『如月 創』
ジャンケン合戦の後、それぞれ各グループに分かれて別荘に向かうため、それぞれのグループの車に乗車した。
運転手はフェンリルで助手席にアイナ、後部座席に草薙剣、リア、創が乗った。
フ「それでは出発しますね。」
そうやって創たちはリヴァイアブル島の北東にある別荘に向かったのだった。
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創は別荘に向かって進んでいる間、リヴァイアブル島のどの位置からも見える、神国アヴァロンとツイーテ・フェミラミス帝国の国境沿いにある大きな壁を見ていた。
創「空港にいたときから見えていたが、相変わらずこの壁はでけぇな。こんな高い壁作らなくても攻めないのにな。」
リ「それは仕方ないんじゃない?だって神国アヴァロンは創っていう全種族から特級危険神物認定されてる神が王様をやってる国だからね。」
創「どうして俺ってそんなに危険視されてるんだ?」
リ「えっ?創って自分がどうしてそんなに危険視されてるのか知らないの?」
アイ「アイナもその話知らないんだけど?」
草「草薙も知らない...........。」
リ「えっ?この話しってそんなに有名じゃないの?」
この話は国と軍の上層部や軍の主力部隊などしか知らない。
ちなみにアイナたちは国のトップであるため知っていなくてはならないことだ。
フ「いえ、この話はとても有名なので安心してください。我が主人は自分のことには鈍感なので知らなかったのでしょう。」
創「その話詳しく教えてくれないか?」
リ「いいけどそこまで詳しくないからね?文句言わないでね。」
創「ああ、わかった。」
リ「私も聞いた話だからよく知らないんだけどそれぞれの種族に伝わる言い伝えがあるらしいんだけどそこに共通して神族の三十一代目は世界に災いをもたらすって言い伝えられてるんだって。それと創もよく読んでいる御伽話集の『ムーンライト集』にも同じような内容が書かれているらしいよ。神族にはそういう伝承はないの?」
創「いや、あるよ。」
リ「どんな内容だったの?」
創「アヴァロン王の三十一代目の適正者を見つけ次第、始末しろって内容だったよ。たぶん他の種族の伝承も同じだったと思うよ。確かムーンライト集は違ったけど。」
リ「えっ?」
創の発言により車の中の空気が一瞬凍りついた。
リ「それほんとなの?」
創「うん、ほんとだよ。だけど初代と俺のじいちゃん、三十代目がこの伝承を無視して俺のこと守ってくれたんだ。それのおかげで俺はアヴァロン王になることができたんだ。ならなかったら一生命を狙われることになるからな。」
リ「創ってすごく苦労してるんだね...........。」
創「別にそんなこともないけどな。この伝承のおかげで外交の時、相手に圧力かけられるから今では結構気に入ってる。」
リ「創が気にしてないならいいんだけど何かあったら言いなさいよ?私は創のこと心配なんだから。」
創「ありがとうリア。それにしても今日のリアはなんだか優しいがどうしたんだ?」
リ「いつも優しいと思うけど?」
そう言ってリアは創のことを睨みつけた。
創「そ、そうだな。リアは普段からすごく優しいもんな!うんうん、すごく優しい!!」
リ「わかったならいいけど、次はないからね?」
創「はい!分かっています!」
リ「それで話は戻るけど、その伝承って誰が作ったの?」
創「俺もずっと調べているんだがわからないんだ。分かっていることはこの伝承は古の時代からあるってことぐらいかな。どうして古の神たちがその時代に存在していないアヴァロン王の存在を知っているのか、俺のことをどうしてそこまで警戒しているのかは不明だな。」
アイ「ねえねえ、せっかくの旅行なんだからもう少し明るい内容の話しようよ。」
創「確かにそうだな。だがその前に話しておきたいことがある。」
アイ「それは?」
創「俺が飛行機で席を外していたのは敵から襲撃を受けたからだ。」
そうやって創はアイナたちに飛行機で何があったのか話し出した。