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世界の果てでも愛しましょう  作者: シャカリキブサイク
7/13

1. ベッドの中で愛しましょう

タイトルが直球すぎる。

カフェに散々連れ回されてボロ雑巾のようになった私は再びベッドに倒れていた。

隣を見ればご満悦な彼女が袋から次々と服を出して私の身体に合わせている。

メイドアーマーだけ着たいという私の懇願はカフェにより無視され、様々な服を店員と共に着せ替えられる刑罰を受ける羽目になっていたのだ。

なんの罪かは知らない。引きこもり罪あたり?

そして今現在、彼女は買い漁った戦利品の中から明日私に何を着せてやろうかと嬉しそうにあてがっているのだ。


「モカさんは可愛いから何を着ても似合うよ!」


「その可愛いっていうのが年相応の褒め言葉なら嬉しいんだけどね?私もう少しでアラサーでな?」


「ほら!ちょっと子供っぽいかもしれないけど、このクマの耳かざりが付いた外套なんて店員さんがよく似合いますって言ってたじゃない?」


「いや子供っぽいんじゃなくて子供用なんだよそれ!なんも嬉しかないよ!クマ耳の外套着たアラサーなんて痛々しくてやってらんないよ!」


必死の反論も虚しく明日の服が決まっていく。

心なしか明日着るはずだったタンスの中のメイドアーマー達が泣いているような気がした。

これは私のメイドアーマーへの愛が成せる技なのだろうか。


「龍は目覚めた……龍か……」


現実逃避の為にあの男が私に残した言葉を考える。


龍はこの世に生きるあらゆるモンスターの始祖とされる生き物で神に匹敵するほどの力を持つ存在。

他の追随を許さない圧倒的な力、悠久の時を経て尚衰えを見せない生命力。遥か高みにまで昇華したそれはもはや神々が束になったとしても倒すには至らないと言われるのだ。

まさにこの世の理から外れた存在とでも言うべきモノであるにも関わらず、その龍には子供が存在した。

子供の龍は四体おり、それぞれが海、地、空、そして天に別れ己が住む場所を支配していったとされる。

どの龍にも共通して言えるのが、その力を奮った跡地から龍達の力を宿したモンスターが生まれる事であり、そのモンスター達は龍の力を受け継ぎ、人間達に襲いかかるのだ。

そしてある日勇者が現れ、龍に至る力を神から与えられ、龍達を封印して回ったがついに始祖との相討ちで死に、始祖は永き眠りについた……というのが勇者に関する教えだが。


「龍より勇者が問題だなあ……」


その教えによれば勇者はかなり傲慢とされる。

勇者の力は神々から授けられるという話だが、人の身には余りある力故に人格を壊してしまうという。

クッソ迷惑な話では?まあ世界が龍に支配されるくらいなら人を一人壊した方がマシって事だろうが、周りはいい迷惑だ。

まあ龍に比べたら人間の傲慢さなんかたいしたもんじゃなへっくし!


「カフェ?」


「あ、やっと気がついた!」


やけに寒いと思ったらいつの間にかメイドアーマーを脱がされ下着状態にされていたのだが……え?どうやった?私に気付かれずに脱がした方法が普通に気になるんだけど?


「返事が無いから勝手に着替えさせようかと思ったんだけど。これとかどうかな?」


「いや何で平然と話進めてるのか分からないな私。返事が無くても普通は脱がさないよ?」


「ま、いーからいーから!」


カフェが私に着せているのは水色が基調のゆったりした長袖の上着に同じく水色のゆったりした重力に逆らって広がるスカート。

紺色のマフラーを巻き、最後に同色のヘアバンド……って。


「これカフェの服の色違いだ」


「そ!偶然見つけたから内緒で買っちゃった!私とお揃いだね」


なんかすごい他人事みたいになるけど普通に姉妹みたいで微笑ましいと思うというか、こういうのちょっといいな。


「んー、またちょっと外に出ようか」


「あれ?何か買い忘れたものとかあった?」


ベッドから飛び降りて鞄を肩にかけ、不思議そうにするカフェの手を握りそのままドアに向かう。


「服を見せびらかしにいくんだよ。私のカフェとお揃いだぞってね」


「えっ、なんか恥ずかしくなってきた」


「今更何言ってんの、着させるために買ったんでしょ!」


廊下ですれ違う人達に微笑ましげな視線を向けられるが、今回の視線は何故か心地よい。

それもそのはず、私は今非常に気分が良くなっているのだからなんだって前向きに受け止められる。


少し照れながらも私の手をしっかり握り返すカフェも普段通りの笑顔だが、いつもよりニコニコしている気がする。

ほんまに可愛いな畜生、神はこの生物にいくつ与える気だ。




ーーーーー




そして私は再びベッドに倒れていた。


これでもかとはしゃぎ倒した私はますます地域住民達に『お揃いの服が嬉しくて保護者と手をつないで大はしゃぎしている子供』である事を刻み付けてしまったのだと今になって後悔していたのだった。


「やってしまった……」


「楽しかったね、モカさん」


私のベッドに腰掛け、突っ伏している私の手に指を絡ませたカフェは嬉しそうに言った。

私の頭の真横で。


「カフェ?」


「モカさん」


絡ませた指を更に指で指をなぞるように動かす。


「カフェ、指つきがあの、情熱的に」


「えへ、モカさん」


カフェが私にのしかかるような体勢になり、体格差で私は身動きが完全に封じられてしまう。


「ちょっとカフェ?あの!スカートを捲るのはいくらカフェでもカフェ!?カフェ!!?」


反対の手でスカートの中に手を突っ込み、尻を撫でられた私はある種の恐怖感を覚えて必死にカフェを呼ぶ。

しかし。


「えへへ、モカさん、モカさん」


「カフェーーーッ!?帰ってきてーーーッ!!!」


暴走した獣にそのまま全身を弄られ続け、ついには服も剥かれ興奮覚めやらぬカフェから開放されたのは密着し続けたせいかお互いの体温で汗だらけになった翌日の朝であった。


セクハラは控えようと思いました。

ストライーーーッバッターアウッ!

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