あらすじ
この小説は、夏目漱石の「こころ」の2次創作です。
しかし、かなりの改変をしています。そういうのが嫌いな方、もしくは夏目漱石のファンな方は不愉快に思われるかもしれないので、注意してください。
「なんで?……どうして?」
気がつけば、そんな声が出ていた。
待ち合わせの場所についた時 私は淡い電灯の光の側でで何かを見つけた。
そこには、男が倒れていた、それも自分が見知った人だ。
K 彼はそう呼ばわれていた。
彼は、地面に投げ出されるようにして倒れている。そこからは彼の特徴的な跳ねている髪 そして、私が愛して止まなかった、今はガラス玉のように空虚となってしまった、瞳が見えた。顔はもう白くなっており、苦痛に歪んでいたが、私は確かにそこに彼の面影を認めた。
間違いないと認識した時、不意に視界が歪んだ。 混乱する意識の中 、私は突然、頭部に衝撃を受けた。
地面に叩きつけられた私が見たのは、拡大を続ける 赤いものと、背を向ける何者かの姿だった。
口からは血が出るばかりで、助けも求められず。私は急速な喪失感と、寒さに飲まれ 私の意識は暗転した。
ーーーーーーー不意に誰かの声がした。
「ーーー夏目じゃないか! 生きていたのか! 修繕寺で倒れたと聞いて、心配したんだぞ、で……病気の方は
どうなったんだ?」
ナツメ? アアコレガソウマトウカ……
「すみません… ご心配をかけました。 ……あー 病気ですか? おそらく胃潰瘍です。 ……まだ、治ってはないので、これからは入退院を繰り返すことになりそうです。」
「………そうか まだ体調が悪そうだな…… ところで君は、生死の境をさまよったと聞いているが…
なんか得られる物はなかったかね? 是非伺いたいものだ。」
「…………死生観ですかね 、まず…………………
オワッタ……… アア……モウシヌノカ……………………………あ
不意に強い灼熱のような感情が湧き上がった。 獣のような感情だ。けど、この願いは叶える事はできないだろう。
私がそう諦観を抱いていると……………私はもう感じるはずのない光を感じた。