表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不良の俺、異世界で召喚獣になる  作者: アイビス
2章 『機巧族』の暴走
20/72

7話

『―――『破壊の咆哮(デストロイ・クライ)』』


 『金欲竜(ファフニール)』の口に浮かぶ光球から、破壊光線が放たれる。

 町を巻き込みながら放たれた光線は、浮かんでいた『機巧族(エクスマキナ)』3機を破壊し―――『金欲竜(ファフニール)』の背後に、2機の『機巧族(エクスマキナ)』が回り込んだ。

 その左手に付けられた銃口に光が収束(しゅうそく)し、『金欲竜(ファフニール)』に向かってレーザーが放たれ―――


「させませんよぉ―――『血結晶技巧(ブラッディ・アーツ)』、『大盾(シールド)』」


 『金欲竜(ファフニール)』にレーザーが当たる寸前、アルマが赤黒い結晶の障壁を召喚し、『機巧族(エクスマキナ)』の攻撃を妨害した。


「…………【理解】 『吸血鬼(ヴァンパイア)』の魔法―――」

『ふん―――『追撃の風爪(エア・クロウ)』』


 現状の把握を急ぐ2機の『機巧族(エクスマキナ)』―――と、その体が、障壁ごとバラバラに引き裂かれた。


『……妙だな……数が多すぎる』

「そうなんですかぁ?ボクにはさっぱりですよぉ……」


 気怠そうにため息を吐くアルマ……その顔はいつもより青白く、疲れているのは(あき)らかだ。

 それを庇うようにして飛ぶ『金欲竜(ファフニール)』……疲れた様子のアルマの背後には、2人の『人類族(ウィズダム)』の姿がある。


『……無理はするな『吸血鬼(ヴァンパイア)』、我に任せておけ』

「そうは言ってもですねぇ……ボク、そろそろ倒れそうなんですよぉ……ですから、戦える内に戦っておかないと、本当に役立たずになっちゃうんですよぉ」

『しかし……お前が倒れては、主を守る者がいなくなる。できるだけ無理はするな―――『追撃の風爪(エア・クロウ)』』


 暴れる『金欲竜(ファフニール)』を見て―――アルマは、形容しがたい歯痒(はがゆ)さを感じていた。


 ―――ボクのご主人様を、他の召喚獣に守られるなんて。

 こんな屈辱は、味わった事がない。

 ボクが本気を出せば、ここにいる『機巧族(エクスマキナ)』全部……いや、『金欲竜(ファフニール)』だろうと『地獄番犬(サリス)』だろうと……それこそ、もしかしたら『反逆霊鬼(キョーガ)』ですら倒せるかも知れないのに、こんな『金欲竜(ファフニール)()()()に守られるなんて……!


「……『金欲竜(ファフニール)』……交代ですぅ、ボクが戦います」

『何を言っている?『吸血鬼(ヴァンパイア)』は太陽が出ている間は、力を制限されて―――ッ?!』


 ローブを脱ぎ―――アルマの紅眼が現れる。

 それを見た『金欲竜(ファフニール)』が、恐怖を感じたように身を引いた。


『……お、前……『紅眼吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)』か……?!』

「はい、そうですよぉ」

『…………まさか、20年前に『厄災竜(ディザスター)』を瀕死寸前に追い込んだ『紅眼吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)』と言うのは―――』

「あ、ボクの事ですねぇ―――『血力(けつりょく)解放』」


 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ……何かが脈打つような音が辺りに響く。

 その音が、アルマの体から出ていると気づくのに、さほど時間は掛からなかった。


『く、ぬッ……!主、我の背中に乗れッ!』

「な、ファニア?急にどうしたんだ?」

『良いから早く乗れ!そこの女性もだ!早くしないと、巻き込まれてしまう!』

「あ、ああっ……あああぁああああアああああァあああああああアっ、ァああああアアああぁああああああァあああアッ!」


 と、アルマの体から『赤黒い霧』が放たれ―――青い空を覆った。

 地獄のような光景に、リリアナとデントが息を呑む。

 『金欲竜(ファフニール)』が棒立ちの2人を爪で引っ掛け、上空へと舞い上がった。

 無防備な『金欲竜(ファフニール)』目掛けて、『機巧族(エクスマキナ)』が銃を構えながら近づくが―――


「―――『血結晶技巧(ブラッディ・アーツ)』、『四重紅弾(フィーア・バレット)』」


 空中に、20個以上の魔法陣が現れる。

 そこから『赤い結晶で作られた弾丸』が放たれ―――近くにいた『機巧族(エクスマキナ)』全てが地面に沈んだ。


『……歴代最強の『紅眼吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)』……『アルマクス・エクスプロード』……まさか、あいつが……』


 アルマの体から放たれていた赤黒霧が()み……そこに、幼いアルマは立っていなかった。

 小さい身長はキョーガと同じくらいにまで伸び、穏やかな目付きが三白眼へと変化している。

 短い青髪も腰まで伸び、鋭すぎる牙が剥き出しとなって―――


「……機械風情(ふぜい)が……ボクの前に立つな。()(わきま)えろ」


 アルマとは似ても似つかない女性が、腕を上に向け―――それだけで、倍以上の魔法陣が浮かび上がる。

 それらの魔法陣は―――はるか遠くを捉えていた。


「……『血結晶技巧(ブラッディ・アーツ)』、『四重紅弾(フィーア・バレット)』」


 100発以上の紅弾が放たれ……遠くから、何かが爆発するような音が響いた。

 おそらく、紅弾が直撃した『機巧族(エクスマキナ)』が爆発したのだろう。


「……ご主人、ボクも住民を探しに行きたいのだが、よろしいか?」

「へっ?あ、はい……どうぞ」

「すまない……『金欲竜(ファフニール)』、ボクのご主人を任せる」


 上空に飛び上がり、黒翼で加速を付けて遠くに飛び去る。

 その堂々とした姿は……本当に、いつものアルマには見えなかった。


―――――――――――――――――――――――――


「……なんだこりゃァ……?!」


 空を見上げ―――空を覆っている赤黒霧を見て、キョーガが驚愕に目を見開いた。


 ―――これは、なんだ?

 異世界には、空が赤くなる天気があるのか?それとも、『機巧族(エクスマキナ)』の仕業か?いや、いくら機械と言っても、天候を操る事は不可能だろう。

 となると……まさか、アルマかサリスのどちらかの仕業か?


「はっ……なんだよおい……こんなスゲェの隠してやがったのかァ……!」


 ズキズキと痛む(ひたい)を押さえながら、楽しそうに口元を歪めた。

 ―――天候を操るなんて、もはや人智を越えている。

 普段はなんやかんやでふざけてたり、頼りなかったりするが……さすがは最上級召喚獣と言った所か。


「……にしてもォ、住民どもはどこに―――ッ?!」


 歩いていたキョーガが、ピタリと動きを止めた。

 グルンと振り返り、遠くを見て目を細める。


 ―――なんだ……この気配は……?

 今まで感じた事のない覇気……『金欲竜(ファフニール)』なんかよりずっと強い気配……


「俺と同等……それ以上かァ……!」


 迫る気配に、キョーガはいつぶりになるかわからない感情の(たかぶ)りを感じていた。


 ―――『機巧族(エクスマキナ)』じゃない……ちゃんとした生物だ。

 しかし……妙な気配だな……?

 知らない気配だが、どこかで感じた事があるような気配だ……


「おいおい……まさかァ―――」

「見つけた……キョーガ、住民は見つかったか?」


 キョーガの目の前に着地する女性……見た事のない女性だ。

 だが―――この異様な覇気、鮮やかな青髪。そして、煌々と輝く紅眼……特徴だけで言えば、見知った人物と重なる部分が多い……と、言う事は―――


「おめェ……アルマ、かァ?」

「ああそうだ……それで、住民は見つかったか?」

「……いや……なんも見つかってねェ。っつーかァ、なんのヒントもねェのにィ、住民を探すってのが不可能に(ちけ)ェだろォ」


 普段とは違うアルマの姿に困惑しつつ、キョーガが平静を装いながら答える。


「ふむ……困ったな。早くしないと……」

「あァ?なんだァ、早くしねェとヤベェのかァ?」

「……ボクの力には、時間制限がある……持って、あと10分だ。10分以内に勝負をつけないと、元の姿に戻ってしまう」

「はァ、なるほどなァ……おめェ、本当にアルマなんだなァ」

「ああ……キョーガたちにばかり、迷惑を掛けられないからな。久しぶりに本気を出そう」


 そう言って目を閉じるアルマ―――と、背後から高速で迫る気配を感じた。


「【発見】 『人類族(ウィズダム)』と『紅眼吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)』の姿を確認。おそらく『人類族(ウィズダム)』の方が、『指示者(コマンダー)』の言っていた『得体の知れない何か』と判断」

「おォ……やっと来やがったかァ」

「……たったの1機か……キョーガも舐められたものだな」

「あァん?俺が舐められてんのかァ?」


 (ひたい)を押さえたまま、浮かぶ『機巧族(エクスマキナ)』を睨み付け、尋常ならざる殺気を放ち始める。


「……【理解不能】 ただの『人類族(ウィズダム)』が、ここまでの殺気を放つ事は不可能……『偵察機』から『指示者(コマンダー)』へ。至急、『殲滅組』の派遣を申請」

「さァ……やるか、アルマァ」

「ああ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ