表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/50

なんとかなりそうですが、反対側のようです

 メイの転移で、館に着いた。

 先に念話で話していたのか、扉をノックする前に出てきたリリにメイが捕まっていた。

 一緒に出てきたルルは、メイに飛びつかずにこちらに来た。


「昨日は頑張ったの。お疲れ様なの。」

「はい。無事に終わって良かったです。ルルも力を貸してくれてありがとうございました。」

「どういたしましてなの。」


 ルルの先導で中に入る。

 ラストとロストが見慣れてきた応接室で待っていた。その対面に腰を落ち着ける。

 

「昨日はありがとう!さっそく、呼び出した件なんだけど、レイの契約についてなんだ。」

「他の異世界人が契約満了になったから、ちゃんと伝えた方がいいと思ったんだ。」

「これも、トーコが無茶な改変をしたせいなんだけどね。」

「あんな改変するなんて、思い切りが良すぎるよね。」


 ラストとロストが頷きあっている。

 直感通り、先ほどアサからも聞いた契約の件の話だったようだ。

 原因は、トーコのせいだったのか…。


「契約というと、他の異世界人が契約満了になって私の契約だけそのまま残っている件ですよね。この契約だと、何か問題があるのですか。」

「契約中は、異世界人は死なないの。」

「レイの契約は期限が無いから、満了にならないの。」


 え、死なない?別に問題ないんじゃないか?

 死なないと言っても、戦争中に異世界人が死んでいったようだから、寿命が無いという意味だと思うけど。

 契約満了で異世界人の不老が無くなってしまえば、その方が残念な気がする。


「異世界人には寿命は無いと聞きましたが、契約満了になると寿命が出来るということですか?」

「命の期限は定まっていないの。」

「私たちも異世界人も一緒なの。」

「戦争で命を落としたような外部的要因か、生きる事に満足して終わりたい時に終わりが来るの。」

「契約中の異世界人は、契約が終わるまで満足しても終わらないの。終わりたくなったら、外部的要因で終わらせるしかないの。」


 生きることに満足したら死ぬって…すごい生命体だな。

 つまり魔族も異世界人も不老で、生きたいだけ生きることができる。生きることに満足したり飽きるなりすれば、その時に死ぬということだろう。

 異世界人の契約は、契約が終わるまで勝手に満足して死なないようにするためという事か?契約が終わってないのに死にたくなったら、自殺しろという意味だろう。物騒だ。


「でもレイの契約は、この世界に居ることだから、自分で終わらせるのは契約違反だからできないんだよね。」

「誰かに頼むのも、死にそうな状況を受け入れることも契約違反になるよ。」


 …自殺も、殺害依頼もできないってことか。最終的には事故死待ちになるのか?超直感があれば、大概回避できそうだけど。

 今は死にたいなんて全然思わないし、不老であることはありがたいが、この先永遠に死ねないというのも怖い気がする。

 確か、契約を変える方法はあるんだよな?変えてもらった方がいい気がする。


「アサから、時間がかかるけど契約を変える方法があると聞いています。それをお願いしてもいいですか?」

「幸運だからレイは問題ないかもしれないけど、それをお勧めするの。」

「その時に偶然レイを殺めてしまう相手も可哀想なの。」

「そうだよねー?変えた方がいいと思うんだ。」


 …ちょっと、傷ついた。

 幸運のスキル的に、死にたくなったら誰かに殺される可能性が高くなるいうのはそうだろう。その時に偶然自分を殺すことになる相手が可哀想だとは…確かに、可哀想か。先に契約を変えておけば済む話なのに、変えないことでわざわざ殺人者を作る意味は無い。

 それでも、自分より自分を殺すかもしれない相手を可哀想だと言われてたら、傷ついてもいいと思うんだ…。

 アサにしてもなんだろう。今日はみんな自分を凹ませようとしているのか?今日は、レイヤードを凹ます日なのか?幸運、頑張ってくれ!

 落ち込んでいるとリリの膝の上に居たメイが飛んで来て、自分の膝の上に乗り膝に置いた手を撫でてくれた。慰めてくれてる!カワイイ!そのまま両手で捕まえて撫でる。癒される…!

 

「契約の変更だけど、時間がかかるの。」

「主が起きないと、契約の変更は出来ないの。」

「いつ起きるか分からないの。」

「レイも、待って欲しいの。」

「主が起きたらレイの話をするから、それまで死にたいとか思わないようにしてね?」

「…はい。気を付けます。」


 死にたいと思えば幸運スキルが無理に頑張ろうとする可能性があるから、死にたいと思うなという意味だろう。

 マキアもメイも決まった寿命が無いようだし、元々主と会ってみたかったからそれまで生きるのは問題ないはずだ。すでに200年生きているらしいマキアとメイが、主が起きる前に満足して居なくなることはあり得るだろうか…?そうなったら、自信ないかも。


「マキアとメイは、主が起きるまで一緒に待ってくれますか。」

「いいよ!」

「もちろん、一緒に居るわ。」

「ありがとうございます。」

 

 安心した。主が起きるまで、気にしなくていいだろう。

 しかし、主が起きるのっていつだ?神様スケールで千年後とか言われると、生き飽きてしまいそうだ。


「主の力が溜まれば、早く起きれると言っていたと思いますが、何かした方がいいですか?」

「一応、ぼくたちも頑張ってるんだよー。」

「この森が主の力の主体だから、出来るだけ力を循環させるために夜は寝る習慣を作って、ぼくたちからあふれた魔力で森を満たそうとしてるんだ。」

「多少の魔法なら使った方が、そのロスと個人の力が上がった分で森への還元も多くなるから、推奨してるんだよ。」

「結界外での戦闘と、召喚が無くなったことで、主の消費はほとんど減るの。」

「外の森も回復したし、後は溜まるの待ちなの。」


 ん?12時間寝る習慣と、なんでも魔法で解決する習慣は、主の回復を図るための習慣だったという事か?人間側と違う習慣の意味が分かり、納得した。

 あと、森が主の力の主体?主って、木の妖精か何かなのか?ちょっと違う気がする。


「森に魔力が必要という事は、果物は採らない方がいいのですか?」

「果物は余分に力が溜まった木に生るの。採って食べることで、大気に返すことを推奨するの。」

「こちら側の習慣は、既に最適化された状態という事ですか。」

「そうなの。」

「後は外の土地の開拓にもよるの。」

「外の土地に主の種を撒くことで、主の力の及ぶ範囲も広がるの。」

「それなのに国の一つで開拓を怠った人は怠慢なの。」

「ぼくがビッシっと言ったから、開拓が進むんじゃないかな?」

「頑張って欲しいよね。」


 そういえば、ラストは人間達に開拓せよ!って言ってた。それも、主の力に繋がる話だったのか…。


「それなら、人間達の種まきを手伝った方がいいですか?」

「種だけを撒いても、ダメなの。」

「人も増えないといけないの。」

「開拓にあんまり力を貸しても、また言い掛かりを付けられたら困るよね。」

「森を焼くなんて最悪なことをするから、主が寝ることになったんだよ。」


 種を撒くと同時に人間も増えたほうがいいようだ。人間を増やすことはを手伝えそうにないので、特に出来ることもなさそう。

 よくわからないが、人間は昔に主の森を言い掛かりで焼いたこともあるみたいだな。広い土地があるのに主から頼まれた開拓を途中で止めて、主の森を焼いて主の土地に住む者に戦争を仕掛ける人間。魔族側から嫌われているわけだ。


「そうでしたか。そういえば、ラストが左羽とか言ってたと思いますが、羽は左右ありますよね?どういうことですか?」

「ぼくは主の左羽を基に作られたんだ。だからぼくの羽は2枚だけど、元々は主の1枚の左羽だったってこと。」

「ちなみに、ぼくは右羽だよ。」

「ルルは左目なの。」

「リリは右目なの。」

「そうですか。え?目ですか?では主には目が無いという事ですか!?」

「目といっても、色なの。」

「色とそれに付随する力をもらったの。」

「そうでしたか。」


 白い部屋で会った少年には、羽も無ければ目の色も薄い灰色だった。

 つまり主の元々は、白い左羽と黒い右羽、青い左目と緑の右目ということだな。なかなか目立ちそうな外見だが、目立つ部分はこの4人にバラバラ分けてしまったという事か。

 あとは、ここに眠る主は髪の色が青緑とか言っていたか。あの少年が白髪だったのも、髪(色とそれに付随する力)をベースにここに形代を作ったからなのかな?そんな気がする。ストレス白髪じゃなかったみたいだ。

 ずいぶん気前よく自分のパーツを分けている主だが、大丈夫なのか?

 …いや、大丈夫じゃないから寝てるのか。ほとんど力を分けてしまって、非力になってしまったから人間の攻撃であっけなく眠りについたという感じか?直感は正と言っている。

 思わずため息が出た。

 主は何を思って、そんなことをしたんだ?なんにせよ、主が起きるのを待たないといけないので、その時に本人に聞こうと思う。何年後か分からないけど、覚えていられたら。


 主の目覚めは反対側の土地の頑張りにもよるみたいだし、ユーナにでも伝えておけば上手く煽って開拓を進めてくれるかもしれないな。はっきりと神のためになることだし、聖女様に活躍をお願いしようか。

 今度、アサに聞き忘れた他の異世界人のその後の話を聞きながら会いに行こう。この先の時間はたっぷりあるし。


「あと、サイトとトーコはどうなりましか?」

「二人と相談して、召喚陣に関する記憶を消したよ。研究していたこととか、関係のない部分を残したりとか、注文が多くて大変だったよー。」

「お疲れさまでした。」

「二人ともこっち側に住むみたいだから、また会うと思うよ。」

「トーコも心配なの。」

「主のことは内緒なの。」

「わかりました。気を付けます。」


 トーコもサイトと似た性格なのか?ちょっと不安だ。この前会った感じだとサイトと張り合っているようだったから…やっぱり、不安かも。バトル好きじゃないといいな。





 そういえば、ここから出た人間はここに近い土地で国を一つ作ったようだが、開拓すべき広い土地があるようだ。つまり、この世界の歴史は思ったより浅いかもしれない。人間の土地の歴史は確実に浅いだろう。

 今回の(天使)ラストと(聖女)ユーナは、この世界の聖書や創世記に入る事案だったんじゃないか?タクシー代わりをするだけで、そんな面白い現場を目撃出来てラッキーだった。

 主が起きるまで生き続けるなら、人間の作る創世記的なものを読む機会もあるだろうか?そんな気がする。楽しみだな。


 などと思いながら、すっかりその場面で自分も舞台に上がっていたのを忘れていた。それを思い出すのは、もう少しだけ先。さらに、この後の人間達の作る創世記に登場するシーンが他にもあるなんてことは、この時は想像すらしていなかったわけだ。

ここで一区切りです。

あと少し、広げ過ぎた風呂敷を回収していくので、良ければお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ