表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/50

失礼だったようですが、なんとかなりそうです

 戦争を終わらせるという壮大な作戦を終え、マキア達との関係を深めた翌日。

 基本的な生活に必要なものは魔法で済まされてしまうとお手軽な習慣があることで、特にするべき仕事も無くこのままニート生活に突入すると思っていた。


 何をしたいかを聞かれ、とりあえず家にお風呂場を作りたいと相談した。

 アサの自室の浴室について聞くと、空間魔法で作られた湯船に、水と火属性の魔法を使ってお湯を溜める方式だったらしい。それに倣おうにも、空間魔法最大レベルでないと出来ず両生体の時に作ったとしても、他の性別に変わった途端に維持が出来なくなると直感で判明したため断念。

 しかしその様子を見たマキアが、家の中の一部屋を土属性の魔法で石作りの浴室にあっさりと変えてしまった。

 魔法、万能すぎる。

 数分で今日の予定を終え、メイとじゃれながらマキアに抱き込まれてどれくらいたっただろう。

 体感としては短かったが、たぶん数時間はたった時、上機嫌で手を這わせていたマキアの動きが止まった。

 

「アサが、レイに話があるって言っているそうよ。会う?」


 話がある。そう言われて思い出した。

 そういえば、ラストからも話があると言われていた。すっかり忘れていた。

 昨日、後を頼んだアサの話も気になる。洗脳されていた異世界人とかジョンはどうすることになったのだろう。


「ラストからも話があると言われていたのを思い出しました。後日でいいと言っていたので、今からアサの所に行きますか?」

「サリアーノがこっちに連れてきてくれるみたいね。アサ達の用事が終わったら、館に行きましょうか。」

「はい。」

「そーだね!」


 ラストの話を忘れていたのに、何事も無かったように予定に組み込んでくれた。優しい。

 アサはサリアーノが連れてきてくれるらしい。戦争が終わって契約の強制力が無くなったので移動できるようになったのだろう。これからは、こちら側に住むということだろうか。


 コンコンコンと、ノックの音がした。

 念話と転移、便利だ。早速着いたようだった。

 マキア達と玄関で出迎えると、サリアーノとアサと…赤い髪のかわいい少女がいた。

 誰だ?もしかしてアサの彼女か?直感が正と告げている。まさかアサが監禁していた彼女を連れ出すなんて…信じがたい。


「いらっしゃい。」

「入ってー!」

「お邪魔します。」

「…おじゃま、します。」


 マキアとメイと共に先導し、ソファに腰かけ、対面のソファを進める。

 アサの心境の変化が想像つかずに、動揺したままマキアにくっつくように横に座り、膝の上に置かれた手を握る。手を握り返され安心する。

 メイはマキアの頭の上で、サリアーノは自分の頭の上に乗った。この頭の重みにも慣れてきた。これだけ密集していると安心する。


「なんかレイって、すごいよな…。」

「どうかしましたか。」

「その動じないところもすごいよ。話なんだけど…とりあえず先に、この隣のがフェリーチェだ。昨日付き合うことになってまぁ…俺の彼女なんだけど、よろしく。」

「…わたし、フェリーチェ。よろしくね…?」

「ええと…おめでとうございます?よろしくお願いします。」


 動じていないように見えたようが、現在も頭には盛大に?が飛び交っている。

 頬を染めて自己紹介してくれた。アサも照れたように彼女だと言い、微笑みあう二人はまさに初々しいカップルだ。

 この少女がアサの彼女で間違いないだろう(直感もそうだと言っていた)が、昨日付き合うことになっただと?監禁している元々の彼女はどうしたんだ。ハーレムを作る気なのか?直談判をされても、マキアもメイも渡す気はない。


「うん、まぁ…俺の話はいいとして、レイの契約の件なんだけどさ。」

「待ってください。」

「なんだ?」


 アサもフェリーチェも、不思議そうな顔をしてこちらを見ている。 

 不思議なのはこっちなんですけど!?契約の話だって?アサの彼女の話じゃねぇのかよ!?

 もしかして、ユーナから監禁している彼女の話を聞いているとは知らないのかもしれない。浮かれているフェリーチェには可哀想だが、現実を伝えようと思う。


「アサには、彼女が居ますよね。監禁している彼女が。」

「はぁ!?何の話だよ!?」

「ユーナから、アサに彼女がいることは聞いています。その彼女が行方不明らしいじゃないですか。

 私のスキルで、アサが彼女を空間魔法で隔離していることは知っていますよ。」

「…なんでそうなった…。」

「リョータ…?」


 頭を抱えて背を丸めたアサ。図星をつかれて困っているようだ。

 フェリーチェはあわあわとしながら、アサの背を撫でている。他に彼女がいると知っても、引いた様子を見せないので、元々の彼女のことは先に聞いていたのかもしれない。健気だ。

 …あれ、そういえばアサが監禁している彼女の名前って…あれ?


「誤解だよ!契約の関係で自由意思が無くなっていたフェリーチェを止めるために、空間魔法で隔離していたんだ。確かに監禁って言えばそうかもしれないけど…ともかく、変なつもりで閉じ込めていたわけじゃない!

 あと、彼女とか…ユーナから聞いたんだろ?それも、誤解だ。ユーナが付き合ってるって誤解していただけで、その時には別に付き合ってなんか無かった。

 まぁ…今回戦争が終わって契約が満了になったからフェリーチェを出したわけだけど、俺が勝手にあの状態のフェリーチェを閉じ込めていたんだから責任取れってユーナに言われて、付き合うことになったんだ。」

「…リョータ、嫌だった…?」

「嫌とか!そんなことは無い!…ユーナにいろいろ言われたのがちょっとアレだったけど、付き合うことになったのは…その、嬉しいよ。」


 フェリーチェは、顔を真っ赤にしたアサの手を握って嬉しそうに笑っている。

 二人の両片思い状態を見たユーナが、両想いだと誤解したという所だろうか。相手の同意なく隔離したのは監禁と言って差し支えないだろう。思い描いていたアサの像とは全然違ったけど。

 ともかく、ハーレムを作ろうとしているわけじゃなのは、一安心だ。

 

「そうでしたか。誤解していたようですみません。これから、よろしくお願いします。」

「とんでもない誤解だったけどな。ダルに相談したらこっち側で家をもらえそうだし、人間側と行き来してると思うからよろしく。あと、今までの空間魔法で作っていた拠点もしばらくしたら無くすから、転移出来なくなると思う。」

「そうでしたか。気を付けます。」


 無くなった空間に転移しようとすれば、どうなるか不安だ。アサの空間に転移しないように気を付けようと思う。

 …普通に話しているようにも見えるが、フェリーチェに握られた手を何度もチラ見しては顔を赤くしている。アサとフェリーチェの間の空気は初々しいカップルそのもので、これが演技だとは思えない。アサのダークサイドな一面は完全に誤解だったようだ。残念。


「そうして欲しい。それで…そう、レイの契約の話をしに来たんだった。一応全員の契約が満了になってるか確認したんだけど、レイの契約だけ満了じゃないような気がして来たんだ。やっぱり、違うな。」

「え?」


 スキル無効があるはず、と思ったが昨日の話なら最後は男性体だった。

 自分だけ契約が満了ではないということは、異世界人の中で一人だけ契約が続行中という事ではないのか。


「理由はわからないけど、俺達の契約は”満了”に変わってて、レイだけは”この世界に居ること”だ。もしかすると、俺達の契約にはあった戦争中みたいな期間が契約されいないことが原因かもしれない。満了とそうじゃない状態がどう違うのかは分からないけど、わざわざ変化があるくらいだから違うんだと思う。

 前にダルから、いつか分からないけど時間が経てば契約を変えることも出来るって聞いた事があるから、詳しそうな魔族に心当たりがあれば聞いた方が良いんじゃないかと思うんだ。もちろん、レイが気にならなければそのままでもいいと思うけどな。」


 そんなの、気になるに決まっているじゃないか!!

 他の異世界人たちが、契約満了なんていう明らかに解放されたようなのに、一人だけ違うなんて…!

 今までは、戦争への縛りが無くてラッキーくらいに思っていたが、こうなってくると、契約の効力が気になって仕方がない。

 時間が経てば変えられる方法というのも、妙な言い方だ。詳しいとなると館の4人か?この後行くので、その時に聞こうと思う。


「そうでしたか。ラストと会う予定があるので、その時に聞いてみます。」

「ラストか…隠しスキルが左羽だったか。スキル借用とか、かなり強いスキルだよな。今まで会ったこと無かったけど、魔族の中で偉い立場なのか?」

「偉いかどうかは分かりませんが、一目置かれている感じですかね?」


 ラスト達は可愛いが、主のいる館を守っているくらいなので、特別ではあるんだと思う。

 マキアの方を見ると、頷いて同意してくれたのでこの回答で合っているようだ。


「そうなんだ。契約、問題ないといいな。」

「はい。ところで、その隠しスキルって何ですか?」

「そうそう。鑑定を魔力で威力上昇すると、隠しスキルっていうのか通常より優れた能力があれば分かるようになるんだ。」

「え?」


 契約の件は気になるが、隠しスキルも気になる。

 鑑定の威力上昇するとスキル攻撃無効を超えて鑑定出来るのだろうか?そんな気がした。さっきも、やっぱりという今鑑定したような言葉を漏らしていたし…メイやサリアーノには思考をさらしているくらいだし、鑑定されるくらい全然平気だ。すでにスキルを知られているのに、今更隠すほどでもないし。

 鑑定能力って、面白いな。自分の隠しスキル気になる。


「サイトと半月に一回戦うっていうのも、嫌になるよな…完全記憶と魔力感知と演算だってさ。それはあれだけ強いわけだよ。知り合いらしいトーコのスキルと被ってるもの気になるし、あの二人は結局どうなったんだ?」

「え?サイトとトーコがどうなったかは分からないですが、後で聞きに行きますので次の機会にでも伝えます。それより、今のはサイトの隠しスキルということですよね?」

「そう。ユーナも八方美人とかっていう隠しスキルだし、不公平だよな。レイも隠しスキルは無いみたいで安心したよ。日本人に無いなら、元の世界でのスキルを引き継いでるのかもしれないよな。元々のスキル持ちにとっては強くてニューゲムって感じなんだろうな。」

「…。」


 サイトの隠しスキルが多くて最強そうというのは分かった。

 そしてついでのように、自分に隠しスキルがないことを明かされるやるせなさ。

 テンション下がるー。


「まぁいいや。とりあえずレイには伝えたし、フェリーチェの紹介もしたからここらへんで帰るよ。サリアーノには悪いけど、新しい里だっけ?頼むな。」

「まかせとけ!」

「じゃあ……レイ、本当にフェリーチェは俺の彼女だからよろしく。」

「わかってます。念押してどうしたんですか。」


 仲良さそうに手を繋いで…そんなの、見れば分かる。


「なんかレイって心配なんだよな…ハーレム作るとか言い出しそうじゃん。フェリーチェ、レイは手が早いから二人にならないように気を付けろ。」

「……?気を付ける…ね?」

「失礼ですよ。どうしてそんな結論になったのですか。」

「マキアとだって、すぐに同棲とか言ってただろ?狙わないで欲しいという意味もあって、今日は連れてきたんだけど。」

「失礼です。アサだって、結局フェリーチェと同棲するのでしょう。」

「俺の場合は、3年越しだしだからすぐじゃない。…まぁ、フェリーチェからしたら、すぐかもしれないけど。」


 そういって照れたように笑う姿は甘すぎて、砂を吐きそうだった。

 誤解を解くのも、面倒くさくなる。

 似たような誤解をしていたことだし、この件は水に流してあげようか。


「わかりました。とりあえずフェリーチェと二人にならないようにしますよ。会う時は出来るだけマキアと一緒に居るようにします。」

「そうしてほしい。」


 即答だけど、手が早いのは自分じゃなくてマキアだからな?今は安心しているがいいさ。

 ほっとした表情のアサと、嬉しそうにアサと繋いだ手を揺らすフェリーチェを、サリアーノが転移させるのを見送った。


 それにしても、この契約に強制力は感じないけど、どんな影響が出るんだろう。

 ラストから呼び出されていた話の内容も気になるし…もしかして、この契約の件か?そんな気がする。

 ラスト達に相談するので正解だったようだ。元々教えてくれる予定だったみたいだし、何とかなるのだろう。


 契約内容が違う事を気にして(彼女を紹介しつつ)伝えに来てくれたアサは、(自分には隠しスキルが無いと言って凹まされた事を横に置けば)優しいよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ