反対側のようですが、なんとかなりそうです
なんとなく問題ないと感じるので微笑んでうなづく。
「はい、よろしくお願いします。」
「よろしく!ところで君って、容姿いじってるよね?性別はどっち?」
またその質問か。この日本人顔を見るからに、容姿の指定をしないと元と同じ容姿になるのかもしれない。転生なのに。
正直に性別が分からないと言うのも、ここに居るワイルドダンディなマントの彼に悪いだろう。
「失礼ですよ。見ての通りの性別です。」
「ん?」
「見ての通りですから。ところで。」
納得していない顔に、秘儀”笑ってごまかして次の話題を振る”を選択。
「ところで、お名前伺ってもいいですか?」
自己紹介がまだだったな。自己紹介大事だよ!
ごまかされてくれることにしたのか、彼はにっこり笑ってくれた。
「ああ、自己紹介か。俺はアサヒナ・リョータ。”アサ”か”ヒナ”で呼んで。」
「ついでに俺も。影種族のダルという。よろしくな。」
「では私は…レイでいいです。よろしくお願いします。」
同じ回答に満足したのか、どうなのか。ワイルドマントな彼も笑って自己紹介してくれた。
マントは影種族と言うらしい。なるほどそういう感じか。
これでダルからの呼ばれ方に困らないな。お前とか言われて、実は気になっていたのだ。
「え。苗字じゃんとかって突っ込みないの…まぁいいけど。
この世界の名前はファミリーネームが後になるよ。一応説明するけど、俺の場合初めに苗字から名乗ったから苗字で通しているわけじゃなくて、人間側でリョータで通してたから念のため苗字呼びにしてるんだ。
だから”アサ”か”ヒナ”でよろしく。」
「わかりました。では、アサさんと呼ばせてもらいますね。」
「あ、さん付け要らない。魔族側はそういう習慣ないから。」
「わかりました。気を付けます。」
名前と呼び方について説明してくれたけど、苗字呼びにすることについて特に気にしてなかったとか言えない。とりあえず、あえて聞かなかった風に微笑んでおこう。
アサが人間側に居たのに魔族側についたということは、やはり魔族側のほうが待遇がいいのだろうか。同じ元日本人として、それほど待遇についての感覚の違いもないだろう。
とすれば、召喚位置が間違えられていたというのは、かなり運がよかったのかもしれない。もらうことにした運が早速いい仕事してくれたような気がする。
「説明だけど、まずは種族の見分け方だな。基本的には、左手の甲から契約陣があるのが異世界人、ダルを見ての通りの真っ黒マントが影種族って感じかな。」
「確かに俺達はマントだな。このマントは影種族の”種族スキル”になる。フードまで被ることで同種族以外に認識疎外の効果がある。
この辺りは俺達のいる所を出てすぐの森だから、人族が来たら対処できるように影種族が見張っているんだ。
ちなみに、確かに元々はこのマントを脱ぐことができないけど、もう一つの種族スキルの影魔法の成長で、脱げるようになるんだ。マントを脱ぐと外見的特徴は人間とほぼ変わらないから、必ずマントとは限らないよ。」
そういってダルは、マントを外して見せた。外したマントは陰に沈むように消えた。
なるほど、怪しさ一切なしのベテラン冒険者風である。この世界の人間たちも基本は外国人風な顔立ちなのだろう。先ほどの中肉中背からの変身を見ているせいか、潜入捜査とかも得意そうだと思う。
ついでに、マントを外して見せて…高レベルアピールですね。わかります。
大体にして、初めに会った時から集団の中で一人だけ話しかけてきて、先頭に立って連れてくるのを決めたところで、勝手にこの集団の中のリーダーっぽいイコール一番強そうと感じていた。
「そうそう。その”種族スキル”がなー。魔族はみんな生まれた時から種族スキル持ってるんだっていうんだから、チートすぎるよな!人間には種族スキルは無いし固有スキルも持っている人は少ないし、ステータス低いし…戦争吹っ掛けるのバカじゃないかって思うよな!矢面に出す異世界人を召喚するくらいなら、戦争やめてもっと違うことに力を使えって話。
しかも戦争って言っても、人間側が魔族側の土地が聖地だから独占するなだの、魔獣を出したのは魔族だとか…勝手なこと言って勝手に攻めてきて、魔族側は基本的に手加減して人間をあしらっているだけ。まぁ、勝手な人間に怒ってる魔族も居るみたいだけどな。」
「奥にいくほど魔力濃度が高くて人族では行けないし、魔獣と呼んでいる獣は人間たちが原因だ。人族の言うことはよくわならないが、攻めてくるなら対応するのは当り前さ。交戦が続いている時は、俺としても、ひと思いにきれいに片づけてしまいたいと思ったのは確かだな。」
「そうだったんですね。」
つまり戦争といっても、戦力差が歴然すぎるし、理由も不明確。
本当に人間サイドは何を考えているだろう。人間側のトップが何を考えているのか逆に気になる。
聖地だのと言っているということは、宗教的な話なのだろう。そんな気がする。
クリスマスも正月もやる無信教の自分が、知らない宗教の理由で負け戦をしている人間側に予定通り着いていたなら、どうしていたのだろうか。
神様と言えばあの白い部屋の白い少年は、やっぱりこの世界の神様でこの戦争に関係あったりするのか?
とりあえず、魔族側にいれば戦力過剰のようだし、自由が確保できそうだ。